「ちょっと待(ま)った!」と叫(さけ)んで、イケメンの男子(だんし)が飛(と)び込んできた。式場(しきじょう)は騒然(そうぜん)となった。まさか、ドラマでよくある花嫁(はなよめ)を奪(うば)いに来たのか?
「やっぱりねぇ」スタッフたちは思った。どう見ても、この二人は釣(つ)り合いが取れていない。花嫁は美人(びじん)なのに、何で花婿(はなむこ)はこんなに不細工(ぶさいく)なんだ?
花嫁は、まさか自分(じぶん)にこんなことが起(お)きるなんて思ってもいなかった。しかも、ドラマに出てくるようなイケメンの男性。まるで、夢(ゆめ)のような情景(じょうけい)だった。
でも、花嫁は首(くび)をかしげた。「この人って…、誰(だれ)なんだろう? あたし、会ったこと…」
花婿は、気が気でない感じで花嫁を見た。そして、思った。
「こ、これはどういうことだよ。他(ほか)にも付き合ってたヤツがいたのかよ」
スタッフたちは顔を見合わせて、「どうする?」って感じでアイコンタクトを――。いちばん近いところにいたスタッフに全員(ぜんいん)の目線(めせん)が向(む)いた。向けられたスタッフは心の中で、
「えっ、あたし? あたしに…止(と)めろって言うの? そ、そんなの無理(むり)だよ」
飛び込んできたイケメンは、花嫁の顔をじっと見て首をかしげた。そして、やっと気づいたようで、いきなり頭を下げて言った。
「すいません! 会場(かいじょう)を間違(まちが)えてしまいました! 失礼(しつれい)しますっ」
イケメンは走り去っていった。残(のこ)された面々(めんめん)には、もやもやっとした感情(かんじょう)が――。
<つぶやき>笑(わら)い話で終わるといいのですが…。これが元(もと)で不仲(ふなか)にならないで下さいね。
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