最悪(さいあく)だ。僕(ぼく)はベッドの中で天井(てんじょう)を見上げて思った。昨夜(ゆうべ)から何だか熱(ねつ)っぽいなと思っていたが、こんなことになるなんて…。頭がぼーっとして、身体(からだ)が熱(あつ)い――。起き上がろうとしても、どうにも身体(からだ)がいうことをきかない。
このまま死(し)ぬのか…。誰(だれ)か…、助(たす)けを呼(よ)ばないと。僕はスマホに手をのばした。誰(だれ)だ、誰に…。僕はアドレスを見ながら、ダメだ、こんな平日(へいじつ)の昼間(ひるま)に…。みんな仕事(しごと)してる時間じゃないか――。
僕は、彼女のことが頭に浮(う)かんだ。そうだ、ユミちゃんなら、結婚(けっこん)して専業主婦(せんぎょうしゅふ)をしてるって……。待(ま)て、それはまずくないか? いくら旦那(だんな)が友だちだからって、一人暮(ぐ)らしの男のところへ――。僕は迷(まよ)いながら、メールの画面(がめん)を呼び出していた。
僕の記憶(きおく)は、そこからぼやけていてはっきりしない。チャイムの音がして…、玄関(げんかん)まで行って鍵(かぎ)を開けて…、それから、名前(なまえ)を呼ばれて……。それから、誰かが僕の身体を拭(ふ)いてくれて、頭に冷(つめ)たいものが……。ユミちゃん……、あれはユミちゃんだったのか?
何だか、いい匂(にお)いがしてきた。僕はキッチンの方へ目を向けると、そこにいたのは――。
「よかったわ。何ですぐに連絡(れんらく)しないのよ。ユミちゃんから聞いてびっくりしたわ」
「ばあちゃん…?! 何で…、どうして?」
僕は何で思いつかなかったんだろう。近くに、祖母(そぼ)が住(す)んでいることを――。
<つぶやき>一人暮らしで困(こま)ることの一つだよね。普段(ふだん)から連絡(れんらく)するとこ決(き)めときましょ。
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