みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0303「割り切れない女」

2018-08-28 18:45:33 | ブログ短編

 会社(かいしゃ)の仲間(なかま)との飲み会。これは職場(しょくば)の人間関係(にんげんかんけい)を良くするのには必要(ひつよう)なことよ。それに、私の得意技(とくいわざ)を見せることができるし。私、こう見えて暗算(あんざん)が得意なんです。会計(かいけい)の時、一人分の飲み代をパッとはじき出してしまうの。みんなから凄(すご)いねって、よく言われます。
 今日も飲み会で楽しく過(す)ごしていると、私の携帯(けいたい)の着(ちゃく)メロが鳴(な)り出した。あーぁ、また彼からだ。今度(こんど)は何よ。私は席(せき)を外(はず)して電話(でんわ)に出た。彼は甘(あま)えるような声で、
「なあ、今から行ってもいいか? 会いたいよ~ぉ」
 なに言ってるのよ。私はダメって言ってやった。彼がこういうしゃべり方をするときは、何かお願(ねが)いがあるときだけなんだから。私は、すでに彼の行動(こうどう)は見切(みき)っていた。
「いいじゃないかぁ。俺(おれ)のこと、嫌(きら)いになったのか? 俺は、お前のことこんなに――」
 もう、うざい。私は、どうして恋愛(れんあい)に関(かん)して割(わり)り切れないんだろう。こんなヤツ、早いとこ切り捨(す)てて、もっと良い男と――。
「遅(おそ)くなってもいいから。俺、表(おもて)で待ってるから。なあ、いいだろう? 頼(たの)むよ、なっ」
 もう、何なのよ。私はこういう時、どうしたらいいか迷(まよ)ってしまう。彼はそれを見透(みす)かしたように、「じゃあ、今から行くから。愛してるよ~っ!」
 彼は、私の返事(へんじ)も聞(き)かずに電話を切った。あーっ、もう。こうなったら、今日こそあいつと別れてやる。絶対(ぜったい)、絶対、絶対…。私は席に戻(もど)って、ビールをグッと飲み干(ほ)した。
<つぶやき>こういう人って、得(え)てしてズルズルといっちゃうんですよね。切っちゃえ!
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