みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1467「つながる」

2024-08-04 17:13:51 | ブログ短編

 それは突然(とつぜん)だった。誰(だれ)だか分からない人の感情(かんじょう)が自分(じぶん)の中に飛(と)び込んできた。これには驚(おどろ)いた。急(きゅう)に涙(なみだ)がこぼれそうになって…。僕(ぼく)は慌(あわ)ててトイレに駆(か)け込んだ。
 こんなこと初(はじ)めてだ。自分ではどうすることもできない。どうやら、これは女性(じょせい)のようだ。恋人(こいびと)に別(わか)れを突(つ)きつけられたのか…。強(つよ)い悲(かな)しみの感情(かんじょう)が僕の中に充満(じゅうまん)している。しばらくすると、ウソのように悲しみが消(き)えていった。
 この日から、同じようなことがたびたび起(お)こった。ある時なんか、殺意(さつい)がわいてきて…。部屋(へや)で一緒(いっしょ)にいた彼女に手をかけるところだった。何とか踏(ふ)みとどまったものの、彼女には本当(ほんとう)のことは言えなかった。僕は必死(ひっし)に誤魔化(ごまか)した。もし、こんなこと知られたら、別れると言い出すに決(き)まっている。
 何でこんなことになったのか? 僕はその原因(げんいん)を考(かんが)えた。何かきっかけがあったはずだ。そして思いついた。最初(さいしょ)の異変(いへん)があった二日前のことだ。会社(かいしゃ)の飲(の)み会の帰りに、僕は変(へん)な人に出くわした。そして、そこで…何かがあったんだ。でも、それが何だったのか…。
 ダメだ。思い出せない。あの時はけっこう酔(よ)っ払(ぱら)ってて…、記憶(きおく)がはっきりしない。でも、僕はその人のことを知(し)っていた気がする。以前(いぜん)、どこかで会(あ)ったような…。
 これ以上(いじょう)考えてもムダのようだ。そうだ。病院(びょういん)に行けば…。でも、なに科(か)に行けばいいんだ? 症状(しょうじょう)を話したところで、きっと誰も信(しん)じてはくれないだろう。こうなったら自分で何とかするしかない。対処法(たいしょほう)をひねり出すんだ。
<つぶやき>いったい何があったのか…。思い出せるといいですね。がんばってください。
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