川相初音(かわいはつね)は黒岩(くろいわ)の拠点(きょてん)になっている施設(しせつ)を調(しら)べていたようだ。その女とは、別の施設で一緒(いっしょ)に訓練(くんれん)を受(う)けたことがあった。初音はその頃(ころ)のことを思い出して身体(からだ)が震(ふる)えた。
「その娘(こ)、まるで死神(しにがみ)のようだったわ。人を殺(ころ)すことを楽(たの)しんでるみたい…。訓練中に、何人も仲間(なかま)を殺しかけたわ。その娘(こ)、変わった能力(ちから)を持ってたの。顔(かお)とか体格(たいかく)を変えることができた。でも、誰(だれ)かとそっくりには、まだなれなかったけどね」
「だとすると…」柊(ひいらぎ)あずみが言った。「神崎(かんざき)のところにも変身(へんしん)して入り込んでるってことね。しずく、これからどうするの? またここにも来るかもしれないわよ」
月島(つきしま)しずくはみんなを安心(あんしん)させるように、「大丈夫(だいじょうぶ)よ。姿(すがた)は変えられても、心まで変えることはできないわ。私たちには、心を読(よ)むことができる〈あまり〉がいるじゃない」
日野(ひの)あまりは驚(おどろ)いてどぎまぎしながら言った。
「そ、そんなの、ムリですよ。わたしなんかが、そんなこと…」
「心配(しんぱい)ないって」水木涼(みずきりょう)があまりの肩(かた)を叩(たた)いて言った。「明日から特訓(とっくん)なっ」
「そんなぁ。わたし、初心者(しょしんしゃ)なんですよ。先輩(せんぱい)、ちゃんと分かってます?」
みんなが和(なご)んだところで、しずくは言った。「じゃあ、つくねを迎(むか)えに行きましょ。もう元(もと)に戻(もど)ってるはずだから。早く行かないと、なに言われるか分かんないからね」
その時、扉(とびら)が開いてアキが出てきた。その姿を見て、みんなは驚いた。急に成長(せいちょう)したのか、子供(こども)らしさがなくなってしまったようだ。
<つぶやき>子供はいつの間にか大人(おとな)になってしまう。いつまでも子供ではいられない。
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