みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0671「元カノ」

2019-09-28 18:30:35 | ブログ短編

「えっ、いま、何て言ったの?」
「だから、あたしたち、やり直(なお)さない?」
 三年前に別れた彼女からの…、これは告白(こくはく)なのか? 僕(ぼく)は戸惑(とまど)った。だって、あのとき別れてから僕たちは一度も会うことはなかったのに。それなのに突然(とつぜん)僕の前に現れて、こんなことを言うなんて…。彼女は、僕が困(こま)った顔をしているのを見てくすくす笑った。僕は、この彼女の笑顔(えがお)にやられてしまったのを思いだした。彼女は言った。
「変わんないね。いま、付き合ってる人いないんでしょ?」
「いや、それは…。そんなことは…」
 僕は何で動揺(どうよう)してるんだ? 変だ…。もう彼女のことなんて、忘(わす)れてしまったはずなのに…。彼女は恋人(こいびと)だった頃(ころ)のように話しかけて来る。
「この間(あいだ)、久しぶりに良樹(よしき)と会ったの。あなたの話も出たのよ。そしたら、懐(なつ)かしくなっちゃって…。来ちゃった。あの頃は楽しかったわね」
 良樹というのは僕の幼(おさな)なじみで、彼女とも友だちだった。僕は、いまも暇(ひま)があると良樹と飲みに行ったりしている。彼女と会ったなんて、聞いてないぞ。
 彼女は僕の目をじっと見つめて微笑(ほほえ)んだ。僕は、僕はどうすればいいんだ? ここは、彼女の誘(さそ)いに乗(の)るべきなのか、それとも…。彼女は、僕の手にそっとふれると、
「考えといてね。あたし、あなたのこと忘れたことなんてなかったわ。また来るね」
<つぶやき>彼女には、何か他の目的(もくてき)があるのでしょうか? ここは…、どうするんだ!
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