みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0639「夢の生活」

2019-08-27 18:24:36 | ブログ短編

 私には夢見(ゆめみ)ていた生活(せいかつ)があった。理想(りそう)の彼氏(かれし)と結婚(けっこん)して、甘(あま)い甘い新婚(しんこん)生活。休日(きゅうじつ)の朝は、彼の愛(あい)のささやきで起こされて、食卓(しょくたく)には彼が作った朝食が並(なら)んでいる。そして…。
 分かってるわよ、そんな生活なんてあり得(え)ないことぐらい。私も、もう大人(おとな)なんだから、現実(げんじつ)を受け入れる準備(じゅんび)は出来(でき)てるわ。出来てるけど――。
 私はけたたましい目覚(めざ)ましで眠(ねむ)りから引き戻(もど)される。それでも起きない時は最終兵器(さいしゅうへいき)の攻撃(こうげき)だ。母親(ははおや)が足音(あしおと)を立てて突入(とつにゅう)し、私を優(やさ)しく包(つつ)み込んでいた布団(ふとん)を容赦(ようしゃ)なくはねのける。そして言うのだ。「いつまで寝(ね)てるの! 休みの日ぐらい家の仕事(しごと)を手伝(てつだ)いなさい!」
 朝食はいつものご飯(はん)にお味噌汁(みそしる)…。たまには優雅(ゆうが)に食事(しょくじ)をしたいのだけど、そんな要望(ようぼう)がかなうはずもなく。「食べたかったら自分(じぶん)で作りなさい」とバッサリ切られてしまう。
 私にだって、好きな人ぐらいいたわよ。結婚まで行かなかっただけで…。けど、あきらめたわけじゃないわ。――今のところ、私にまとわりついてくるのは…。
 さっきから私の足元(あしもと)に、うちのバカ犬(いぬ)が座(すわ)り込んでいる。こいつは、私のことを見下(みくだ)している。それは目を見れば分かるわ。母親が私に言った。「今日は、あなたの番(ばん)よ。メグちゃんを散歩(さんぽ)に連(つ)れて行きなさい。さっきからずっと待ってるんだから」
「はい、はい」私は生返事(なまへんじ)で答(こた)えると、ご飯を口いっぱいに頬張(ほおば)った。
 私の夢の生活はいつ実現(じつげん)するのか? それは、いまだに未定(みてい)である。
<つぶやき>諦(あきら)めなければ実現するかもしれません。まずはメグちゃんと仲良(なかよ)くしましょ。
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