みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0579「海賊島13」

2019-06-23 18:17:27 | ブログ短編

 島の若者(わかもの)たちが三人を見つけるのにそう時間はかからなかった。――若者たちは砂浜(すなはま)を見渡(みわた)せる木陰(こかげ)にかくれて、三人の様子(ようす)を窺(うかが)っていた。誰(だれ)から言うともなく、
「なあ、あいつら何やってんだ。砂浜を掘(ほ)り返そうっていうのか?」
「まったく馬鹿(ばか)な奴(やつ)らだ。もう掘り尽(つ)くされてるのに、何も出る訳(わけ)ないじゃないか」
「そもそも、何(なん)にも埋(う)まってなんかいないんだから。ハハハ、ご苦労(くろう)なことだ」
「おい、どうすんだよ。当分(とうぶん)やめそうにないぞ。どうやっておびき寄(よ)せるんだ」
 リーダーは黙(だま)って三人の様子を見つめていた。が、突然(とつぜん)立ち上がると、
「ありゃ、掘ってるんじゃない。埋(う)めてるんだ。穴(あな)を…」
 若者たちは三人の方へ目を向ける。いつの間にか、リーダーが砂浜へ歩き出していた。若者たちがそれに気づいたとき、もう止めることができないところまで行ってしまった。
 砂浜では、まだ作業(さぎょう)は続いていた。林田(はやしだ)も、黙々(もくもく)とスコップを動かしている。だいぶ陽(ひ)が昇(のぼ)ってきて、三人は汗(あせ)だくになっていた。伊集院(いじゅういん)はタオルで汗をふきながら言った。
「さあ、休憩(きゅうけい)しよう。このままじゃ、ぶっ倒(たお)れちまう」
 この合図(あいず)を待ちかねていたように、林田も久美子(くみこ)も砂浜にどっと腰(こし)を降(お)ろした。
 久美子は思わず呟(つぶや)いて、「こんなことになるんなら日焼(ひや)け止め塗(ぬ)っておけばよかったわ」
 その時、久美子は誰かが近づいて来ているのに気がついて、思わず声をあげた。
<つぶやき>リーダーはなぜこんな行動(こうどう)に出たのでしょう。せっかくの計画(けいかく)が台無(だいな)しに…。
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