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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1275「しずく170~決意」

2022-07-13 17:37:05 | ブログ連載~しずく

 アキは治療(ちりょう)を終(お)えると川相初音(かわいはつね)に言った。「骨(ほね)は治(なお)したけど二、三日は安静(あんせい)にしてて」
 初音はアキにお礼(れい)を言うと琴音(ことね)に目をやった。琴音は気まずそうに近寄(ちかよ)って、
「もう、無茶(むちゃ)するからよ。でも、あの男は何だったの…。幻覚(げんかく)だったのかな?」
 水木涼(みずきりょう)が口を挟(はさ)んだ。「幻覚だったら、きっとあずみ先生なんじゃ――」
 そこへ柊(ひいらぎ)あずみが入ってきた。みんなの視線(しせん)が向けられて、あずみは訳(わけ)が分からず、
「えっ、なに…。どうかした? もう、初音さん。大丈夫(だいじょうぶ)なの? 心配(しんぱい)させないでよ」
 初音は率直(そっちょく)に訊(き)いてみた。するとあずみは目を丸くして、
「私じゃないわよ。こんなケガをさせるようなこと、するわけないでしょ。私はずっと、千鶴(ちづる)と協力(きょうりょく)して、日野(ひの)さんを捜(さが)してたんだから…」
 初音は納得(なっとく)したように、「そうですよね。で、あまりは見つかったんですか?」
「ダメだったわ。私が駆(か)けつけた時には…誰(だれ)もいなくなってた」
 琴音が消(き)え入りそうな声で言った。「ごめんなさい。あたしのせいで…」
 しずくが口を開(ひら)いた。「あなたのせいじゃないわ。あなたは、初音と一緒(いっしょ)にここから離(はな)れて。初音も、そうしたいでしょ?」
「何を言ってるの?」初音は困惑(こんわく)したように、「あたしは…、そんなこと…」
 しずくは何かを決意(けつい)したように、「危険(きけん)すぎるわ。ここからは、私一人で――」
 ずっと黙(だま)っていたつくねが叫(さけ)んだ。「バカ言わないで! これは、あたしたちの戦(たたか)いよ」
<つぶやき>これからどんな戦いになるのか…。彼女たちは生き残(のこ)ることができるのか?
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1270「しずく169~修復」

2022-07-03 17:35:49 | ブログ連載~しずく

 川相琴音(かわいことね)は、初音(はつね)のところへ戻(もど)って来ると無愛想(ぶあいそう)に言った。
「お姉(ねえ)ちゃんも、やるじゃない。怪我(けが)は…大丈夫(だいじょうぶ)なの?」
 初音は足を動かそうとするが痛(いた)みで顔をゆがめて、「ちょっと、ムリみたい…」
 いつの間(ま)にか、男の身体(からだ)は消(き)えていた。そこへ、月島(つきしま)しずくが現(あらわ)れた。しずくは、初音の具合(ぐあい)を見ると言った。「心配(しんぱい)ないわ。アキのところへ飛(と)ばすね。あとは任(まか)せて…」
 しずくが手をかざすと、初音の姿(すがた)はかき消えた。しずくは、身構(みがま)えている琴音に言った。
「あなたも一緒(いっしょ)に行きましょ。初音のこと心配なんでしょ」
 琴音は強(つよ)がるように、「そ、そんなんじゃないわよ。わたしは、あなたたちとは…」
「気にしないで。あなたのしたいようにすればいいわ。その前に――」
 しずくは琴音の頭に手を置(お)いた。すぐに光が現れて、琴音を包(つつ)み込んだ。琴音は、突然(とつぜん)のことに身動(みうご)きすることもできなかった。光が消えると、しずくは微笑(ほほえ)んで、
「あなたの重荷(おもに)を取り除(のぞ)いたわ。もう、黒岩(くろいわ)のところへ戻らなくてもいいのよ」
「何を言ってるの…。そんなこと、できるわけないわ」
「あなたは自由(じゆう)よ。監視(かんし)されることもないし、好きなことをしてもいいの」
「ほんとに……。なんか…信じられない。また、お姉ちゃんと会っても…」
「もちろん。じゃあ、一緒に行きましょ。私の手を取って――」
<つぶやき>姉妹(しまい)を引き離(はな)していたものがなくなったようです。また、仲間(なかま)が加(くわ)わるのか?
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1265「しずく168~新たな能力」

2022-06-23 17:36:55 | ブログ連載~しずく

 川相初音(かわいはつね)の変化(へんか)に呼応(こおう)したように、琴音(ことね)の身体(からだ)からも同じ光が出てきた。琴音は叫(さけ)び声をあげると、男の手から逃(のが)れようと手刀(しゅとう)を振(ふ)り下ろした。するとどうだろう。男の腕(うで)が刀(かたな)に切られたように切断(せつだん)され、琴音の身体は地面(じめん)に落下(らっか)した。琴音はすぐに起き上がると、切られた腕を男めがけて投(な)げつけた。そして、初音の方へ駆(か)け出した。
 不思議(ふしぎ)なことに、男の傷口(きずぐち)から血(ち)が流れ出ることはなかった。男は腕を拾(ひろ)い上げると、元(もと)の場所(ばしょ)に押(お)し当てた。すると、元通(もとどお)りにつながった。そして、男の身体が大きくなっていく。軽(かる)く二メートルは超(こ)えただろうか――。
 初音は、足を骨折(こっせつ)していて起き上がれなかった。琴音は、初音を抱(だ)き起こすと、
「お姉(ねえ)ちゃん、しっかりしてよ。あいつ、いったい何者(なにもの)なの?」
 男は地面に転(ころ)がっている岩(いわ)を拾い集めると、二人に向かって力いっぱい投げつけた。琴音には二人で飛(と)ぶだけの気力(きりょく)は残(のこ)っていなかった。それは一瞬(いっしゅん)のことだった。初音が手を広げて空(そら)にかざすと、光の壁(かべ)が現(あらわ)れた。岩はその壁にぶつかりはね返(かえ)された。
 初音は痛(いた)みをこらえながら叫んだ。「あなたならできるわ。あいつを倒(たお)して…」
 光の壁が消(き)えると、琴音はまるで鳥(とり)のように飛び上がった。男の頭上(ずじょう)まで来ると手を振(ふ)り下ろした。すると、男の身体が真(ま)っ二つに切り裂(さ)かれた。
<つぶやき>二人とも覚醒(かくせい)して新たな能力(ちから)を…。でも、これで戦(たたか)いは終わるのでしょうか?
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1260「しずく167~邪魔者」

2022-06-13 17:28:24 | ブログ連載~しずく

 川相姉妹(かわいしまい)の戦(たたか)いは熾烈(しれつ)を極(きわ)めた。初めのうちは互角(ごかく)に見えたが、次第(しだい)に琴音(ことね)が優勢(ゆうせい)になっていく。初音(はつね)の動きが鈍(にぶ)り出すと、琴音はとどめを刺(さ)そうと倒(たお)れた初音に股(また)がり首(くび)に手をかけた。そして、両手に力を込めていく。
 邪魔(じゃま)が入ったのはその時だ。見知(みし)らぬ男が突然(とつぜん)現れて、琴音を蹴(け)り上げたのだ。琴音の身体(からだ)は宙(ちゅう)を飛(と)び、地面(じめん)にうちつけられた。琴音は激痛(げきつう)に顔をしかめる。琴音が目をあげると、ちょうど大男が倒れている初音の胸(むな)ぐらをつかんでいるところだった。男は軽々(かるがる)と初音を持ち上げると、地面に投(な)げつけた。初音はまったく身動(みうご)きしなかった。男は初音に近づいて行く。琴音は、叫(さけ)び声をあげると男に飛びかかっていった。
 力の差(さ)は歴然(れきぜん)だった。琴音の攻撃(こうげき)は何のダメージも与(あた)えなかった。男は琴音を捕(つか)まえると、拳(こぶし)を腹(はら)に打ち込んだ。琴音の身体は高く浮(う)き上がり、落ちて来たところを男につかまれた。男は、琴音を引き寄(よ)せると、大きな拳を振(ふ)り上げた。
 琴音は、ここで初めて恐怖(きょうふ)を感じた。これで自分(じぶん)は死(し)ぬんだと思うと、今までの出来事(できごと)が走馬灯(そうまとう)のように浮かんできた。そして、初音と過(す)ごした幼(おさな)い日々(ひび)も――。
 男は琴音の顔に容赦(ようしゃ)なく拳を振り下ろした。だが、どういう訳(わけ)か、寸前(すんぜん)で拳は止まった。
「させないわよ」初音のか細(ぼそ)い声が聞こえた。初音の身体から青白(あおじろ)い光が発(はっ)していた。初音が能力(ちから)を発動(はつどう)させたのだ。男の拳が少しずつ押(お)し戻(もど)されていった。
<つぶやき>どこから現れたのでしょうか? これは幻影(げんえい)なのか、それとも現実(げんじつ)なのか…。
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1255「しずく166~因縁対決」

2022-06-03 17:35:51 | ブログ連載~しずく

 川相琴音(かわいことね)は、どこまでも続く長い廊下(ろうか)を走っていた。すべてが白一色(しろいっしょく)なので、どれだけ走ったのかまったく分からなくなっていた。琴音は立ち止まると、後ろを振り返った。誰(だれ)も追(お)っては来ないようだ。琴音は息(いき)を整(ととの)えながら呟(つぶや)いた。
「これって…、どうなってるの。どこまで行けば出口(でぐち)があるのよ」
 その時、突然(とつぜん)、目の前に扉(とびら)が現れた。琴音は警戒(けいかい)しながら扉をゆっくりと開けた。中から急に眩(まぶ)しい光が射(さ)し込んできた。琴音は思わず目を閉じた。光が消(き)えて目を開けると、そこは荒涼(こうりょう)とした枯(か)れ野原(のはら)になっていた。琴音は、その場に座(すわ)り込んでしまった。
「くそっ、どうなってるのよ。逃(に)げ道はどこにもないってことなの」
 琴音の目の前に、初音が姿(すがた)を現した。琴音は立ち上がると、
「懲(こ)りない人ね。また、あたしの前に現れるなんて」
 初音はゆっくりと琴音に近づきながら言った。「もうあきらめたの?」
「はぁ? なに言ってるの。そんなんじゃないわよ」
「じゃあ、ここで決着(けっちゃく)をつけましょ。ここなら、誰にも邪魔(じゃま)されないし、誰にも知られることないから…。あたしたち二人だけよ。思う存分(ぞんぶん)やり合いましょ」
「そんなこと言っていいの? わたしに勝(か)ったことないくせに…。お姉(ねえ)ちゃんはバカよ。逃げ出せばよかったのに。じゃあ、ここで、わたしが楽(らく)にしてあげるわ」
<つぶやき>いよいよ因縁(いんねん)の対決(たいけつ)が…。初音は、琴音を救(すく)うことはできるのでしょうか?
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