みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1270「しずく169~修復」

2022-07-03 17:35:49 | ブログ連載~しずく

 川相琴音(かわいことね)は、初音(はつね)のところへ戻(もど)って来ると無愛想(ぶあいそう)に言った。
「お姉(ねえ)ちゃんも、やるじゃない。怪我(けが)は…大丈夫(だいじょうぶ)なの?」
 初音は足を動かそうとするが痛(いた)みで顔をゆがめて、「ちょっと、ムリみたい…」
 いつの間(ま)にか、男の身体(からだ)は消(き)えていた。そこへ、月島(つきしま)しずくが現(あらわ)れた。しずくは、初音の具合(ぐあい)を見ると言った。「心配(しんぱい)ないわ。アキのところへ飛(と)ばすね。あとは任(まか)せて…」
 しずくが手をかざすと、初音の姿(すがた)はかき消えた。しずくは、身構(みがま)えている琴音に言った。
「あなたも一緒(いっしょ)に行きましょ。初音のこと心配なんでしょ」
 琴音は強(つよ)がるように、「そ、そんなんじゃないわよ。わたしは、あなたたちとは…」
「気にしないで。あなたのしたいようにすればいいわ。その前に――」
 しずくは琴音の頭に手を置(お)いた。すぐに光が現れて、琴音を包(つつ)み込んだ。琴音は、突然(とつぜん)のことに身動(みうご)きすることもできなかった。光が消えると、しずくは微笑(ほほえ)んで、
「あなたの重荷(おもに)を取り除(のぞ)いたわ。もう、黒岩(くろいわ)のところへ戻らなくてもいいのよ」
「何を言ってるの…。そんなこと、できるわけないわ」
「あなたは自由(じゆう)よ。監視(かんし)されることもないし、好きなことをしてもいいの」
「ほんとに……。なんか…信じられない。また、お姉ちゃんと会っても…」
「もちろん。じゃあ、一緒に行きましょ。私の手を取って――」
<つぶやき>姉妹(しまい)を引き離(はな)していたものがなくなったようです。また、仲間(なかま)が加(くわ)わるのか?
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