前巻で予告された通り、赤奏国の「研修」から白楼国の首都に報告に戻ってきた茉莉花は、州牧の不正と州牧補佐の自殺について御史台が調査に入るという湖州に州牧補佐として派遣され、到着早々、翔景(しょうけい)と大虎(たいこ)という二人の男と出会います。翔景は御史台から監査のために湖州に入った役人ということで正体はすぐに明らかになりますが、大虎のほうは「湖州生まれでつい最近州庁舎で働くようになった胥吏」という身分にはそぐわない言葉遣いが怪しいので茉莉花は警戒します。
州牧補佐の死には謎が多く、事故とも自殺とも他殺とも言い切れるだけの決め手がないため、「自殺」として処理されたらしいのですが、溺死体で顔が潰されており、服装や持ち物で本人確認したということで、ミステリーファンにはすぐに「あ、これは死んでないな」とピンときます。もちろん茉莉花も御史台の翔景もその結論に至るまで結構な時間を要するのですが。また、茉莉花は些細なことから隣国のシル・キタン国が何か仕掛けているのではないかと疑いを持ち調査を始めます。
茉莉花官吏伝は紙書籍で揃えているので、5巻が届いた時まず「薄っぺらいな」と思わずにはいられませんでした。案の定湖州のエピソードの前編らしく、不穏な空気を残したまま「次巻へ続く」になっているので、後編が早く出ることを切に望みます。