徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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スペイン・アンダルシア旅行記 IV(2)カルモナ

2019年09月28日 | 旅行

9月3日にセビリアを出て、カルモナには2泊しました。宿泊先は憧れのParador De Carmona Hotel。2泊朝食付きで285.60ユーロ。さすがに4つ星ホテルで豪華朝食ビュッフェはお値段が張りますね😅
古いお城を改装したホテルなので独特の中性的な雰囲気がありますが、バスルームはモダンです。高台なので窓からの見晴らしもいいです。
   
レセプションが3階で部屋が一階というのも変な感じがしますが、斜面に建っているので入り口が高い方にあり、部屋は斜面を降りたところにあるわけです。
プールに行くには1階から出てさらに外の階段を降ります。
 

カルモナは小さい街なので観光もそこそこにこのプールを堪能させてもらいました。😊 9月とは言えずっと33~35℃だったのでプールがありがたく感じられましたね~。

ホテルのレストラン
 
2日間の朝食。1日目。
   
2日目。

パティオもすてきです。昼間は真ん中の噴水でハトがたくさん水浴びをしていましたが…


カルモナ概要
カルモナはセビリアから北東に43kmのところにある、Guadalquivir川沿いの人口3万人に満たない小さな街です。高台にあり、周囲を見渡せる戦略的に重要な地形のため、先史時代から間断なく人が住み、古代では商都として栄えました。カルタゴの植民地としてKar-Hammonと名付けられたのがCarmonaの語源です。ローマ帝国時代はCarmoと呼ばれていました。ローマ時代の名残としてセビリア門、橋、ネクロポリス(死者の街)、円形劇場が残っています。セビリア門とコルドバ門を結ぶラインにローマ時代の道路の名残があり、途中の円形広場もForumの名残です。ローマ帝国崩壊後西ゴート族がスペインに「民族移動」し、西ゴート王国を打ち建てたことは世界史で習いましたが、カルモナにも西ゴート族の遺跡が発見されています。しかし、観光名所になるようなものは残されていません。
8世紀以降のモーロ人支配下で城壁や城が造成され、今日のカルモナの基礎ができました。
1247年にカスティリャ王フェルディナンド3世がカルモナを落とし、ドン・ペドロ残酷王が王城 Alcázar de la Puerta de Marchena を拡張し、好んでそこに滞在しました。カルモナは1630年に都市特権を獲得しました。

カルモナ観光
カルモナではガイド付きツアーに参加しました。セビリア門 Puerta de Sevilla のところにあるツーリストオフィスがセビリア門の入場料2ユーロだけで門の他に教会や市庁舎(中にローマ時代のモザイクがある)なども案内してくれます。
セビリア門は、門だけでなくAlcazarが併設されているのでなかなか規模の大きな建物です。
       

城壁の中核をなすのはイスラム様式ですが、ローマ時代の古い層も残っており、キリスト教王による拡張部分も併せて3層となっています。城壁で囲まれた中庭のような広い敷地にはローマ時代の神殿跡が発掘されています。


塔の上からカルモナが一望できます。たまたま運悪く曇りの日にあたってしまって残念でしたが眺めは良かったです。
 

パノラマ撮影。中央に写っている塔は Parroquia San Bartolomé de Carmona のものです。


セビリア門からこれとは逆方向に Calle Prim という商店街を通って上って旧市街の中心に向かいます。

この通りを上りきると Plaza San Fernando という元ローマ時代のフォーラムだった円形広場に出ます。


この広場にはルネサンス様式のファサードを持つ旧市庁舎があります。

レストランやカフェもたくさんあります。ツアーではここを通り抜けて聖マリア教会 Iglesia de Santa Maria というモスクの跡に建てられた教会へ行きました。この教会にはモスクだった頃のパティオがそのまま残されています。
 
教会の中は普通にキンキラキンです。😅 とはいえ、主祭壇はお祭り用に赤い布が張られていてキンキラはその後ろに隠れてしまっていたのですが。
 
こちらはチャペル。
 
側廊にも祭壇が。
聖マリア教会の向かいにある修道院。
カルモナは小さい街なのに、教会が7つもあるそうです。人口3000人当たりに1つの教会という割合(?)。
教会見学の後は Plaza San Fernando の方に戻って新市庁舎の中に入りました。ここの中庭には道路工事の際に発掘された大きなローマ時代のモザイクが保管されています。
 
小さめのモザイクは会議場に飾られています。
   
カルモナはちょっと掘るとすぐにゴロゴロと遺跡が出てくるような土地柄で、出土品はすべて市が引き取るそうです。市役所に飾れない分は市の博物館に保管されるそうです。

この後市場として建てられたスクエア型の広場 Plaza de Abastos (Mercado) へ。残念ながら市場としては失敗作で、テナント不足にあえいでいるようです。
 
数件入っているレストランが閉まっている時間ということもありますが、シャッターが下りていて人気があまりないのが残念ですね。白いアーチの回廊はすてきだと思うのですが。
ここでガイド付きツアーは終了しました。
この後暑い中ネクロポリスへ向かいました。城壁の外の街並み。
 
ネクロポリスの敷地はかなりの広さなのですが、私たちが着いたのは閉館1時間弱前だったので全部は見ることができませんでした。もっとも墓穴ばかり見てもあまり面白くはないと思いますけど。😅
入り口近くには古墳のような墳墓があります。
ここのハイライトは裕福な家族の墓所と考えられている「La Tumba del Elefante 象の墓」です。儀式を行う場所でもあったらしく、貯水池の他台所や食堂と思われる場所もあります。写真で左側に岩を掘ったエリアがあり、そこの入り口に象の彫像があったらしく、それがこの墓所の名称になっています。
 
紀元前1世紀から紀元後2世紀までに作られた墓穴群の一部は屋根付きで説明パネルがあります。
  
ローマ時代の神殿跡もあります。
 
ネクロポリスの隣は円形劇場の発掘現場です。発掘中のため、一般公開されていませんし、外から見たところそれっぽい形跡がちょっと見えるだけです。

ネクロポリス見学終了後、暑い中またてくてく歩いてランチを食べられるところを探しました。結局ネクロポリスとセビリア門の間にはろくなレストランがなかったため、セビリア門まで戻ってしまいました。そこで L'Antiqva Bodega Abaceria というレストランを見つけ、ちょっと遅いランチをいただきました。タパスの種類が多くて選ぶのが楽しかったです。😀
Melva canutera con pimentá + Mojama de atún + Ensaladilla 真ん中のマグロの燻製はこの地域の特産物らしいです。お皿じゃなくてただシートに載せてサーブする辺りが面白いですね。
Pulpo a l'Antiqva タコは美味しかったですが、ちょっと辛すぎな感じでした。
Berenjenas gratinadas con jamón y gambas 茄子のグラタンが激うまでした。

タパスでお腹いっぱいで満足した後はホテルに戻ってプールサイドでゴロゴロしながら読書しました。もちろんちょっとくらいは泳ぎましたけどね😏
日没後、9時過ぎくらいにホテルを出てレストラン探し。昼間見た市場の Plaza de Abastos のレストランの1つで手を打ちました。TripAdvisorに載ってないようなところですが、やはりタパスが安くて美味しかったです。
Alino de tomates con vinagre de Jerez へレスのお酢とはシェリー酢のことでしょうね。シンプルですが美味しいトマトサラダ。
 
Alcachofas con jamón アーティチョークとハムはちょっと脂っこかったですがスペインらしい味がしました。
 
Chipirón braseado con migas extremenas 小さいイカとミガスというパンくずの揚げ物。これも美味しかったです。
 
Solomillo de cerdo ibérico al whisky イベリコ豚ヒレのウイスキー焼きも美味。
 
Tarta de manzana リンゴケーキはどちらかというと素朴な味でした。
 
これだけ食べてチップ込みで20ユーロ!安くて種類がたくさんあって美味しいというのが一番満足感がありますね😃

翌日9月5日はホテルのチェックアウトを済ませてから隣接する王城跡 Alcazar del Rey Pedro へ。入場料2ユーロ。陰になるところがほとんどないので小さな日傘を貸してくれたのですが、あまり役に立ったとは思えませんね…😅
     
Puerta de la Piedad 「慈悲の門」ってどこらへんが?という感じですが…
 
向こう側はパラドールホテルの敷地。
 
塔の上から撮影。真ん中の塔が貯水塔、その右手がバルコニーの間、その手前の平らな部分が噴水の庭だったそうですが…😶
 
深く掘ってある部分は Aljibe と呼ばれる水槽跡。
 
パラドールホテル
下のはどこの門を撮影したのかよく分かりません。
このペドロ王城跡はカルモナで最も高い所に立っています。元はマウリヤ朝時代の要塞でしたが、14世紀、ペドロ残酷王で知られるペドロ1世が拡張し、新しい住居エリアを作りました。セビリアの美しいイスラム建築で知られるアルカサルは残っているのに、カルモナのアルカサルはパラドールホテルとして改装された部分を除いてただの城址になってしまっているのが残念ですね。15・16世紀にはカスティリャ王国女王イザベラとアラゴン王国の王フェルディナンドのレコンキスタを完成させた有名カップルがまたこの城を建て増しし、王の間やバルコニーの間などを作ったそうです。もう見る影もありませんが。
1942年にはナチス軍が駐屯していたらしいです。スペインは中立だったとはいえフランコはヒトラーシンパだったからですかね。

王城見学の後は Museo de la ciudad 市の博物館へ。入場料は2.50ユーロ。16世紀の貴族の屋敷を改装した建物で、パティオが素敵です。1階に先史時代からローマ時代・西ゴート王国時代あたりまでの出土品やカルモナの歴史をまとめたビデオがあり、2階は中世の道具類や近世の絵画などが展示されています。
              
コルドバ門のモデル

元馬小屋はレストラン Abaceria Museo Restaurante になっています。博物館が開いている時しか営業してないせいか割高です。
 
Variado de Croquetas チキンコロッケとほうれん草+鱈のコロッケのセット。ほうれん草+鱈の組み合わせが絶妙でした。
Tomates con Aguacate y Anchoas トマトとアボカドとアンチョビ。盛り付けからしてちょっと高級レストランぽいですね。
このちょびっとと飲み物で27ユーロでした。😨 美味しかったですが、量が少ないので割高感が半端ないですね。
食後にまた博物館見学をして、ダンナの気が済んだところで博物館を出てコルドバ門を見に行きました。
  
Puerta de Cordoba
コルドバ門を出たところから見た風景

なんか、日影がないですねー。😅
このコルドバ門をもってカルモナ観光を終了しました。

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