徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

スペイン旅行記~マドリード(4)UNESCO世界遺産アルカラ・デ・エナーレス

2018年10月18日 | 旅行

Alcalá de Henares(アルカラ・デ・エナーレス)へ出かけたのは2018年9月29日。マドリードから近いし、UNESCO世界遺産に登録されているし、ということでなんとなく足を延ばした次第です。下の写真を見てお分かりのように、天気は快晴。気温は28~29度でした。

Alcalá de Henares(アルカラ・デ・エナーレス)はマドリード州東部にある小都市で、Recoletos駅から鈍行で約45分のところにあります。「アルカラ」はアラビア語の「城」という語に由来し、一般名称のようなものなので、区別するために「デ・エナーレス」が追加されています。エナーレスは川の名前です。ローマ帝国時代もエルアンダルス時代も特にこれと言って意味のある街ではなかったのですが、12世紀にトレド司教のイニシアティブの下でイスラム教徒から奪還され、1498年にシスネロス枢機卿がここに大学を創立したことで、一躍大学都市として注目を浴びることになりました。スペインで2番目に古い大学で、ヨーロッパ全体でもかなり古いうちに入ります。その由緒正しい校舎Colegio Mayor de San Ildefonsoは素敵なルネサンス様式の建物です。ファサードは1537年、Rodrigo Gil de Hontanónによるもの。上の写真もこの校舎を写したものです。

 

アルカラ・デ・エナーレス大学は中世から現在に至るまで継続してきたわけではなく、1836年にマドリードに移設されました。これによって町は以前の意味を失い、また首都マドリードから近すぎるためにかえって地方都市としても力を付けられなかったようで、スペイン内戦による荒廃も手伝ってそのまま朽ちていくかのように考えられましたが、1973年再び大学を招致することが叶い、経済的文化的に復興したそうです。現在のアルカラ・デ・エナーレス大学は厳密には中世の大学とは別物なのですが、同校は「正統な後継者」みたいに考えているようです。

アルカラ・デ・エナーレス駅から寄り道をしなければ徒歩10分くらいです。でも、寄り道しないなんてもったいないことです。

駅から旧市街に向かう途中にはイスラム建築のお城Palacio de Laredoがあります。小さいですが素敵なお庭があって、覗いてみる価値は十分にあります。建物自体はそれほど古いものではなく、1882年に昔のムデハール様式に倣ってネオムデハール様式で建てられたものです。

  

そこからさらに旧市街の方へ向かって歩くと、Via Complutenseという大通りに出ます。その通りを渡らずに右折し、ちょっと通りに沿って歩くと涼しげな公園があり、その修道院か何かの中庭のような公園の奥に区役所が隠れています。ま、区役所はどうでもいいのですが、カンカン照りの日差しの中で、このうっそうと気が生い茂り、噴水のある公園はまるでオアシスのごとくつかの間の憩いの場を提供してくれます。

先述の大通りを渡るとアルカラ・デ・エナーレス旧市街に至ります。

大学からすぐ近くに「ドン・キホーテ」の作者に因んだセルバンテス広場があります。

  

12世紀にキリスト教の手に落ちて以来キリスト教会に支配されてきたため、現在でも修道院や教会がたくさんあり、この街の特徴となっています。

セルバンテス広場の北端に面し、南西に走るCalle Mayorはこの街のメインストリートで、実はヨーロッパで一番長いアーケード付きの道なんだそうです。柱の種類や太さや高さなどがまちまちで、歴史を感じるということもできますが、統一感のなさはやはりなんか変です。

  

この通りにある「Cocina La Bienvenida」というタパスバーでお昼にしました。ランチメニュー(Menu del dia、前菜、メイン、デザート、飲み物のセット)は外の席だと2€の追加料金が取られて17€でしたが、美味しゅうございました。

    

さて、このメインストリートを西南に向かうと、セルバンテスの生家らしい博物館「Museo Casa Natal de Cervantes」があり、前庭にはドン・キホーテとサンチョパンサがベンチに腰かけていたりします。

 

「ドン・キホーテ」はまともに読んだことないのですが、読んでみたら面白いかも知れませんね。

Plaza de los Santos Niños

 

Palacio Arzobispal

Convento de San Bernardo

残念ながら、大学以外の建物の由来等の説明はあってもスペイン語だけだったりするので、この街ではあれこれ蘊蓄を聞くことも読むこともなく、なんとなく散歩して回って終わりました。

 

ここからマドリード方面へ2駅のところにTorrejón de Ardoz(トレホン・デ・アルドス)という街があり、そこの市立歴史博物館がマルチメディアをふんだんに使った展示方法でいいらしいという情報を得たので、ちょっと覗いてみることにしました。入館料はありません。

Torrejón(塔)という名の通り、この街はアルカラ・デ・エナーレスの防衛の要所として12世紀に要塞と数多くの見張り塔が作られました。17世紀まではアルカラ・デ・エナーレスに属していましたが、その後はトレド司教の所領として農業を主とする共同体でした。1960年ごろから米軍空港周辺に工場や研究機関などが設立され出し、そこそこ発展してきたようです。

 

博物館入口

ローマ人のヴィラを説明するインタラクティブなスクリーン

  

アルカラ・デ・エナーレス~トレホンの防衛システムを説明するビデオもありました。映像主体でしたので、説明がスペイン語でもおおよその内容を掴むのには問題有りませんでした。

 

ただ、上の階に行くと近世の出来事が割と詳細に説明されていて、スペイン内戦の際にトレホンでどの勢力がどう衝突したかなどを語るビデオはさすがにスペイン語だけではいかんとも理解しがたかったのですが。説明されている事情が複雑すぎるのと、私のスペイン近代史に関する予備知識が少なすぎるのが敗因ですね。

スペインだから仕方ないんですけど、スペイン語オンリーでした。何度もスペインに旅行に行っているからといってスペイン語ができるわけではないので残念ですね。食べ物の名称やいくつかの重要単語は覚えましたけど、本格的にスペイン語を勉強する気力まではないので。。。。

 

スペイン旅行記~マドリード(3)観光名所その2」へ戻る。

スペイン旅行記~マドリード(5)UNESCO世界文化遺産トレド」へ続く。


スペイン・アンダルシア旅行記(1)

スペイン・アンダルシア旅行記(2):セビリア

スペイン・アンダルシア旅行記(3):モンテフリオ(グラナダ県)

スペイン・アンダルシア旅行記(4):グラナダ

スペイン・アンダルシア旅行記(5):グアディックス(グラナダ県)

スペイン・アンダルシア旅行記 II(1):マラガ

スペイン・アンダルシア旅行記 II(2):グラナダ~アルハンブラ宮殿

スペイン・アンダルシア旅行記 II(3):シエラネヴァダ山脈

>スペイン・アンダルシア旅行記 II(4):アルメリア

スペイン・アンダルシア旅行記 II(5):カボ・デ・ガータ(アルメリア県)

スペイン・アンダルシア旅行記 II(6):アルムニエーカル

スペイン旅行記~マドリード(1)

スペイン旅行記~マドリード(2)観光名所その1

スペイン旅行記~マドリード(3)観光名所その2