みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

ドラマ考

2013-01-22 | television
ドラマ「とんび」を家族で観ていたら、こんなシーンがあった。
献身的な妻、美佐子(常盤貴子)と、無骨だが根は優しい夫、安男(内野聖陽)。
妊娠中の美佐子は、毎日、おかずをたくさん作って安男の帰りを待ち、
安男が眠っている間に足の指の爪を切ってあげるくらいの尽くしぶり。
絶えずにこにこ、ほよほよしている。
ふたりの間に息子の旭が生まれ、すくすくと育つ。(3歳くらいだっけ?)
ある日、家族で動物園に行く約束をしていたのだが、あいにくの雨降り。
旭は「雨でも動物園に行きたい」とだだをこねる。
最初は優しくとりなしていた安男だが、旭のわがままに、
大人げなく突き放したような物言いをする。

それを見ていた美佐子が、イラッとした表情を見せる。
そんな態度とらなくったって、みたいなセリフがあったかどうか忘れたけど、
まあそんな感じ。
朝食用に炊飯器のスイッチを入れていなかったことに気づき、
自分自身にも苛立ちながら「パンでいいですか?」と尋ねるが、
安男は「朝はめしじゃろうが!」とパン全否定。
美佐子は「ごはんだと小一時間かかりますけど、いいんですねっ!」と
眉間にしわを寄せる。

この一連の流れを、私は「うわ、リアルだなぁ」と思いながら見ていた。
ところが、相方がぽつんと
「常盤貴子(の役)、こんなに性格が変わっちゃってさぁ。
子供生まれる前は、あんなにふわふわした人だったのに」
と言い出したので、びっくりしてしまった。

私には美佐子の苛立ちがとてもよくわかる。
夫婦ふたりなら何事もなくクリアになることが、
子供を介すると急に許せなくなったりするのだ。
「この子に何すんのよ!」って腹立たしくなってしまうのだ。
パンかごはんかっていうケンカも、ネタとしてはどうでもよくて、
むしろスイッチ入れてなかった自分が悪いんだけど、
「旭にあんな言い方した父親としての安男」に怒ったままだったので
つい言い合いになっちゃったのね。

でもそういうの、男からしたらさみしいんだろうなぁ。
女として、妻としての美佐子だけじゃなくて、
自分の息子の母親としての美佐子も愛せるか?っていうところで
夫婦がうまく育っていくかが決まるんだろうなと思う。
もちろん、逆も然りで。

内野聖陽さんは昔から好きな役者さんですが、JINからすごく
骨太になったよね。それもステキだけど。
私は「ハル」という映画が大好きで、あのころの好青年イメージのまんま
「ミセス・シンデレラ」に没頭していたので、
私の中では「王子様」だったんですね。
実際の内野さんって、たぶん、そっちが素じゃないかなぁと想像しています。
乱暴なこと言ってても、気品が隠せないもん。
引き続き観ます。佐藤健くんもいい!


そして、私が今クールのイチ押しは、「泣くな、はらちゃん」。
これ、ものすごくいい脚本だなあと思ったら岡田惠和さんでした。
設定はコメディなんだけど、セリフの裏に隠された意味が深い。
私たちだって、あのマンガの登場人物みたいに狭い世界で生きてるのかもしれない。
ギターの弦は3本だと思いこんでいるのかもしれない。
メロディってものを知らないで、歌ってるつもりでいるのかもしれない。
そんなふうに一生を終えるのかもしれない。
「神様」に会えたはらちゃんが、「はらちゃんです!」って涙ながらに見せた笑顔。
うれしかったんだろうな。
越前さんだって、それが本当だとわかったらやっぱりうれしいだろうな。
初回は3回、(私にとって)泣きのポイントがあって、エンディング曲を聴きながらまた
じわーんと泣いてしまったんだけど、いっしょに見ていたこうたろうが
「こんなに面白いドラマなのになんで泣くの?」と不思議がっていた。
その涙の理由を、わかる人になってほしいような、ほしくないような。
「あなたが笑えば、世界は変わるんです。少しでも幸せでいてほしいんです」と叫び、
誰かに幸せを気付かせるような、はらちゃんのような男の人になってくれたらいいなと思う。
私の神様も、幸せでいてくれますように。そんなことを思った初回でした。


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