みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

ハーブティー

2013-06-25 | people
知人と会うことになって、馬車道に出かけた。
知人の友人が経営しているコーヒーショップに、案内された。

知人の友人であるマスターは、50歳すぎの男性で、
カウンターの向こうでにこにこしていた。

わたしたちのテーブルに注文をとりにきた。
メニューに「ハーブティー(ブレンド)」とある。

「このハーブティーは、何にいいんですか?」
と、わたしは尋ねた。
リラックスできるとか、しゃっきりするとか、血行促進とか、
ハーブティーっていろんな効能が書いてあることが多いから。

マスターは、人のよさそうな顔をちょっとかたむけて、
「ええと、体にいいです」
と言った。

冗談ではない。真顔で答えたのだ。

それでわたしは、そのブレンドのハーブティーを注文した。
そうして、体にいいお茶を、知人と話しながらゆっくり飲んだ。


ジュース

2013-06-20 | kid

ファストフードのドリンク。
私はこうたろうに「S」しか与えたことがなかった。

先日、こうたろうはようやく
「Sとは、一番小さなサイズのことだ」
という事実を知ったらしい。

「Sって、スペシャルのSだと思ってた!」

と、驚いている。
さらに、

「М」については「まあまあ」だと思っていたというのだ。

(「L」は存在を知らなかったみたい)


「スペシャル」と「まあまあ」。
いつもいつも、スペシャルを注文する母親はどう映っていたのかな。
ちょっと申し訳ない気持ちになっている。


「幸せのちから」

2013-06-13 | movie

「いい映画」というのは、感動するとか画像が美しいとか、いろんな要素があると思うけれど、
「どのタイミングで観たか」ということが実はとても重要な気がする。

昨晩、TBSの水曜プレミアムで「幸せのちから」を観た。
序盤、特に思い入れもなく観ていて、主人公クリスが駐車違反で警察に一泊拘留されるあたりで
「あれっ、私これ観たことある」と気がついた。
つまり、観たことないと思って観始めたのである。

クリスには5歳の息子がいるのだが、
奥さんが出て行ってしまっていて、父子家庭だった。
クリスは警察署から奥さんに電話して息子を明日まで預かってくれと懇願する。
奥さんはクリスに愛想をつかしており、
「俺の子だから俺がひきとるとかえらそうなこと言っといて何よ、知らないわよ」
ってな対応である。
私はそのシーンを初回で観たときに
「親が家にいられないとき幼い子供をどうするかは古今東西たいへんな課題である」
と思った記憶があり、それで印象的だったのだろう。

でもそのシーン以外はまったく覚えていない。
もしかしたら、以前テレビでやっていたときにそこまで見て
「つまらないな」と見るのをやめたのかもしれない。

しかし、昨日はおもしろかった。
内容について細かいことを書くのは控えるけど、
どのシーンもどのセリフもどの登場人物も興味深かった。
私は瞬きも惜しいくらいこの映画に引き込まれた。

クリスはそこそこ実力がある。
しかし、時折、ヌケている。ばかなこともしてしまう。
そして、考えられないくらいのラッキーに遭遇する一方で、
目もあてられないくらい間が悪い。
基本的に人が好いので、いろんな人に広く愛される一方で、
それゆえに、偉ぶってるヤツにこき使われたりする。
断ったり手を抜いたりもできず、
それで損をしたりもする。

ネタバレなしの前提で感想だけ言うと、
ラストで私は号泣した。
「泣いたからいい映画」というわけではないけれど、
私はクリスをほんとうの友達みたいに思って見守っていたので、
「あたしもお金ないけどご馳走するよ! 何が食べたい?」って
抱きつきたい気持ちでいっぱいだった。

私がこの映画でクリスから受け取ったこと。
それは、絶望してはいけないという決意だ。

映画の中でクリスがそう言っているのではない。
私が勝手にそういうふうに、クリスからもらったのだ。
クリスはどんな状況に陥っても決してうなだれなかった。
いや、もちろん何度も落ち込んでいたけど、それでも必ず、何かをしていた。
ふさぎ込んで立ち止まったり、八つ当たりもしなかった。とにかく動いていた。
ガッツとユーモアがいつもあった。そして息子を、心をこめて愛した。
寝る場所もなくなって駅のホームで座り込んでいるとき、
息子と「タイムスリップごっこ」してるシーンも良かったな。

私にとって、この映画は、ちょうど今フィットする作品だったと思う。
このタイミングでの出会いに、感謝したい。