お台場の未来館で開催されている「世界の終わりのものがたり」に行ってきた。
狭い部屋の中で、73の「問い」が投げかけられる。
「正解」は用意されておらず、行った人が自分なりのアンサーを残していく参加型の企画展である。
二者選択でマグネットを置いていくもの、
ポストイットに答えを書き込んでボードに貼っていくもの、
設置されているコンピューターに入力していくもの。
問われる。
考える。
他人の考えも読む。
また考える。
答える。
ひとつひとつ、おおまじめに頭を悩ませながら進んだ。
「どんな病気になるかあらかじめわかるとしたら、知りたいですか?」
迷わず「いいえ」を選んでマグネットを置く。
「あなたにとって永遠なものはなんですか」
少し考えて、「想い出」とポストイットにマジックで書く。
「あなたが世界に残したいものはなんですか」
しばらく考えて、「解決策」と入力する。
部屋の隅っこに、黒いコンピューターがあった。
「あなたの今の年齢」の横に、「あなたの希望する寿命年齢」を入力する欄がある。
ここで私はかなり唸ってしまった。
誤解を恐れずに言うと、私自身は、もう明日死んでも悔いはないといつも思っている。
でもそれは、自分の死を「受け入れている」というだけのことで、「希望している」のとは少し違う。
だから自分で終わりの日を決められない。
照明を落とした暗いブースで、不思議な音楽が流れる中、
そのコンピューターに自分の死ぬ年齢を「設定」するのは勇気がいった。
ネットで買い物することに慣れてしまったからだろう。
ここで数字を打ち込んでしまったら、
CDや本が注文通りに届くように、
私の死ぬ日も決定するような気がしたのだ。
なんだか、「世にも奇妙な物語」の世界みたいで、
裏にタモリがいるんじゃないかと思うくらいの緊張感ある雰囲気だった。
考えた末に決めた二桁の数字を、慎重に入力する。
瞬時に、画面にたくさんの文字と数字が表れた。
あと○○回、眠ることができます
あと○○回、ごはんを食べることができます
あと○○回、旅行に行くことができます……
軽く脱力した。
そんな不確実な目安はどうでもいい。
なんだ、旅行って。そんなの人それぞれじゃんか。
この企画展の中で、唯一くだらないと思ったコーナーだったが、
でも一番強く心に残った。
自分が出した結論に、自分の本当の死生観を見たから。
自問自答で、潜在意識を引き出すというのがこの企画のおもしろいところなんだろうな。
他、印象的だったのは、ゾウの寿命。
動物園のゾウの寿命は16.9年なのだが、野生のゾウは56年も生きるという。
動物園のゾウがなぜ短命なのかというと、肥満や母親からの隔離によるものだとか。
「母親からの隔離」がそんなにいのちに影響を及ぼすということや、
動物にとって「不自然」な状態で生きる環境についてまたいろんなことを思う。
開催は6月11日までです。
世界の終わりのものがたり 企画展
狭い部屋の中で、73の「問い」が投げかけられる。
「正解」は用意されておらず、行った人が自分なりのアンサーを残していく参加型の企画展である。
二者選択でマグネットを置いていくもの、
ポストイットに答えを書き込んでボードに貼っていくもの、
設置されているコンピューターに入力していくもの。
問われる。
考える。
他人の考えも読む。
また考える。
答える。
ひとつひとつ、おおまじめに頭を悩ませながら進んだ。
「どんな病気になるかあらかじめわかるとしたら、知りたいですか?」
迷わず「いいえ」を選んでマグネットを置く。
「あなたにとって永遠なものはなんですか」
少し考えて、「想い出」とポストイットにマジックで書く。
「あなたが世界に残したいものはなんですか」
しばらく考えて、「解決策」と入力する。
部屋の隅っこに、黒いコンピューターがあった。
「あなたの今の年齢」の横に、「あなたの希望する寿命年齢」を入力する欄がある。
ここで私はかなり唸ってしまった。
誤解を恐れずに言うと、私自身は、もう明日死んでも悔いはないといつも思っている。
でもそれは、自分の死を「受け入れている」というだけのことで、「希望している」のとは少し違う。
だから自分で終わりの日を決められない。
照明を落とした暗いブースで、不思議な音楽が流れる中、
そのコンピューターに自分の死ぬ年齢を「設定」するのは勇気がいった。
ネットで買い物することに慣れてしまったからだろう。
ここで数字を打ち込んでしまったら、
CDや本が注文通りに届くように、
私の死ぬ日も決定するような気がしたのだ。
なんだか、「世にも奇妙な物語」の世界みたいで、
裏にタモリがいるんじゃないかと思うくらいの緊張感ある雰囲気だった。
考えた末に決めた二桁の数字を、慎重に入力する。
瞬時に、画面にたくさんの文字と数字が表れた。
あと○○回、眠ることができます
あと○○回、ごはんを食べることができます
あと○○回、旅行に行くことができます……
軽く脱力した。
そんな不確実な目安はどうでもいい。
なんだ、旅行って。そんなの人それぞれじゃんか。
この企画展の中で、唯一くだらないと思ったコーナーだったが、
でも一番強く心に残った。
自分が出した結論に、自分の本当の死生観を見たから。
自問自答で、潜在意識を引き出すというのがこの企画のおもしろいところなんだろうな。
他、印象的だったのは、ゾウの寿命。
動物園のゾウの寿命は16.9年なのだが、野生のゾウは56年も生きるという。
動物園のゾウがなぜ短命なのかというと、肥満や母親からの隔離によるものだとか。
「母親からの隔離」がそんなにいのちに影響を及ぼすということや、
動物にとって「不自然」な状態で生きる環境についてまたいろんなことを思う。
開催は6月11日までです。
世界の終わりのものがたり 企画展