みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

夢をかなえるゾウ

2008-02-28 | book

「夢をかなえるゾウ」水野敬也

久しぶりに本の衝動買い。
新書なんてほとんど手を出さないで文庫待ちするのに、
なぜかこの本、平積みしてあったのを中身も読まずに
迷わずレジに持っていってしまった。高かったのに!
神様のお告げでしょうか。

そう思いつつ読んでみたら、このゾウが神様でした……。
お恥ずかしながらこの本、全然知らなかったんだけど、
現在40万部突破中のベストセラーらしい。

結論から言って、衝動買いしてアタリでした。おもしろかった!
電車の中とか、ツタバとかで読んじゃだめです。
笑っちゃうし、泣いちゃうし。

このゾウは、インドの神様、ガネーシャ。なぜか関西弁をしゃべる。
あるとき、うだつの上がらないサラリーマンのもとに現れ、
さまさまな教えを伝授していく、というストーリー。
ガネーシャと「僕」とのやりとりが、なんともいい。

主人公「僕」は素直なヒトだ。
なんだかんだ言いながら、ちゃんと話を聞いたり納得したり、
教えを実行していく。この姿勢がいいんだろうな。
私などは、読んでいてたまに「えー、でもさぁ」と
ガネーシャに反論したくなるところもあったんだけど、
きっと私のそういう卑屈さがダメなんだろうなあ。
もしガネーシャが私のところに来てくれても
「そんなんやからあかんのやで、自分」って去られちゃうかも。
やっぱり基本体勢として大事なことなんだよな、「素直」って。
タイトルは「夢をかなえるゾウ」だけど、
神様は夢をかなえてくれるわけじゃなくてサインをくれるだけで、
それをちゃんとキャッチして、夢をかなえるのはやっぱり自分なんだ、
とあらためて思ったりもしました。

先日、「R30」に著者の水野敬也さんが出ていたので見たら
この本が「自己啓発本」として紹介されていた。
えっ……これって……自己啓発本だったの??
私は「ドラえもん」みたいな感覚で読んでいたので驚いた。
自己啓発本としてとらえてみると、この本の優れている点は
「どうすれば成功するか」というよりは、
「どうして成功できないのか」という側から
レクチャーしているところだと思う。

水野氏の「温厚な上司の怒らせ方」という
DVDもすごくおもしろかった。
「どうやったら人に気に入られるか」じゃなくて
「どうやったら人を怒らせることができるか」という視点。
反対側を見せることによって全体像を映す、
三面鏡のような発想を持つ人だなあと思う。

この本、売上げの一割が慈善団体に寄付されるそう。
ガネーシャの課題に「募金する」というのがあるんだけど、
本を買ったというだけでそれをひとつこなすことになる。
「R30」ではこの件(寄付されること)については一切触れず、
水野氏がいかにユニークなヒトかが前面に出ていたけど、
こういうことはもっとアピールしていいのにな。
まあ、さりげなくやってるのがいいのか。

今年テレビドラマになることが決定しているそうで、
これを読んでいる途中で「ガネーシャにはキム兄希望」という
ブログ記事を見て「わはは、ハマリ役だ!」と思ってしまったばかりに、
以降、ガネーシャがキム兄にしか思えなかった……
マジで、キム兄にやってほしい。
でも「デスノート」みたいに、CGになっちゃうかもなあ。
顔だけ出して着ぐるみっていうのもおもしろいと思うけど。

ということで、「素直」に読んだ結果、
★★★★★です。
巻末の「ガネーシャ名言集」、私は違うところに感動したけど。



卒業制作展

2008-02-27 | monologue
帰社途中、御茶ノ水駅までの道すがら、
日本大学藝術学部デザイン学科の
卒業制作展覧会をやっていたので寄ってみた。

想像以上にすごい。
イラストもポスターも漫画本も、
どれもすばらしかった。
なんていうか、何かが爆発する寸前の緊張感みたいな、
凝縮されたエネルギーにあふれていた。
大成してしまったアーティストの個展では
なかなか受け取れない種類のパワーだと思う。

卒業制作の作品集が置かれていたので一部もらって帰る。
そこに展示はされていなかった「インダストリアルデザインコース」の
作品たちが、ほんとうにおもしろい。
細部にわたって工夫されたキャリアバッグ(女性用)とか、
画期的な収納力を持つオシャレな自転車(シティサイクル)とか。
子供シートが脇にあって、親子で乗れる大人用三輪車は感動したし、
「肥満解消のための子供遊具」なんてのは、うーむ、時代だねぇ。

今すぐでも欲しいぞ!と思うようなものもあったのだが、
この作品たちがこんなに素敵なのは、もしかしたら
まだ「商品」になっていないからなのかもしれない。
つまり「アイディア」の段階だから。
お客さんにお金を出させて買わせるためには、
もっともっと安全性や機能性を重視しなくてはいけないし、
コストの面、流通の面、他にも考えることがいっぱいある。

作品のひとつに、入院中の子供用にと考えられた
「点滴用アームレスト」があった。
針を刺すのががこわくないように。
長い点滴の時間が苦痛じゃないように。
手先が冷たくならないように。
特徴が書かれた説明文を読んでいるうち、涙が出てきてしまった。
やさしいなあ……。

この学生たちは、こんなにがんばって卒業制作を完成させたところで
一銭のお金も入ってこない。ビジネスじゃないから。
ただ、ものづくりが好きで、学生生活の集大成として残すべき発想があって、
何より、「誰かのため」を本当に考えていると思う。
彼らには、上手に社会人になってほしい。

このごろカタクなっていた頭が、ちょっとやわらかくなりました。
ぜんぜん関係ない私だけど、みなさん、卒業おめでとう。

急成長

2008-02-21 | monologue

私は髪の毛が伸びるのが異常に早い。
伸びる、というか、増える。
横浜に来てからはだいたい1ヶ月に1度、美容院に行っているのだが、
それは別にオシャレさんなのでもリッチなのでもなく、
単に、そのあまりのボリュームに耐えられなくなるからだ。
とにかく、美容院に行ったら髪の毛を減らしてもらう。
「切る」というよりは「削る」という感じ。
抜けにくいならまだ話はわかるが、ものすごく抜ける(そんな気がするだけか?)。

独身時代はショートにしていたこともあったのだが、
私の場合、短いとかえって広がってしまう。
(当時は朝シャンして濡れたままジェルで固めていた。若かったねえ。
今そんなことしたら間違いなく風邪ひくね。)
ある程度長さがあれば重みで落ち着くし、
家事などする時はしばることができたほうが何かとラクなので
今は「ひとつにくくれるくらいの長さ」をキープしている。
これ以上長くしてしまうと、お風呂の排水溝掃除がそりゃもう大変で。

だからいつもお願いしている美容師さんとは
ほとんど毎月会っていることになるのだが、
あっというまに伸びてしまう私の髪に
「あれっ、前いらっしゃったのって、いつでしたっけ?」とか
(先月です……
黒くなってる生え際を見て
「あれっ、カラーリングしたのって、3ヶ月くらい前でしたっけ?」とか
(いや、それも先月なんですけどね……
よく言われる。冗談じゃなくて、本気で。

先日、前髪カット(500円)だけお願いしたら
「1ヶ月たたないでこんなに伸びる人って珍しいですよね~」と笑われた。
いや、その……
前髪は一度自分で切ってます。

どうしてなのだろう。
脳みそに行くはずの栄養が全部髪の毛に流れてしまっているのだろうか。

そういえば、最近気が付いたのだが、
私は爪が伸びるのも異常に早い。
考えたら、髪の毛と爪って成分似てるもんな。
髪が伸びやすい人は爪も伸びやすいのだろうか?
コレによって、なんか特典はあるのだろうか?

これを書きながら今、ふと爪を見たら、
左の薬指に「爪の星」が2つもできていてびっくり!
これがある間はラッキーなんだよね?? ヤッター!

……でも私の場合、爪が人より早く伸びちゃうから、
その分、幸運期も短いってことか……。
やっぱりなんか損している気がする。


お風呂の壁画

2008-02-19 | kid
バスタイムにて。
最近の、私とこうたろうのブーム。

お風呂にいつも持っていくガーゼタオルを、
お湯で濡らして壁に投げる、というもの。
べちっと壁にくっついたガーゼタオルの形が、
何に見えるかをお互いに言い合うのだ。

ふたりで湯船につかりながら、
「次お母さんね」「今度こうくんね」などと言いながら
かわりばんこに投げる。
タオルは一度として同じ形にならないので、
そのつど新しい意見が出ておもしろい。

たとえば、ななめに広がっている三角形の下部に
ガーゼの縁取りがくしゅくしゅとくっついている場合。
私が「イルカが海から出てきたところ」と言うと、
こうたろうは
「こうくんは、もぐらが土から顔を出してるように見えるよ」
などと言う。
おお、もぐらか!
イルカは比較的すぐ思いつきそうだけど、そう来たか。

他にも、「鬼が優しく笑ってるの」とか
「ぴゅーっと空を飛んでるサンタさん」とか、
こうたろうにかかると必ず
「○○をしている△△」になるのが楽しい。
今のところ、発想の愉快さ、奇天烈さではかなわずいる。

思うに、これはただの白いガーゼだからいいみたい。
模様とか色とかあると、想像の枠が狭まる気がする。
ずっと前、積み木は色がついているより白木のほうが
考える力がつくって聞いたことあるけど、
そういうことなんだろうな。

今までお風呂にはオモチャ持参のこうたろうだったけど、
このゲームが始まってからは「今日も『べちっ』やろうねー!」と
うれしそうにガーゼタオルを持っていく。
飽きるころには体があたたまっているという、いい案配だ。

こうたろうと一緒にお風呂でこれができるのって
あと何年だろう。
大きくなっても覚えていてくれるといいなあ。

携帯哀歌

2008-02-14 | monologue

さよなら、さよなら。ありがとう。

このたび、わたくし、携帯電話を変えました。
ご覧の機種は、今まで4年半使用していたもの。
新しい携帯電話での、記念すべき初撮影でございます。

先日、Cちゃんと会ったとき、この旧携帯を見た彼女が言った。
えっ、J-PHONE?
おおー、うれしいリアクションですな。
ビミョーすぎるのか、この件あんまり人につついてもらえなかったんだよな。
さらに、私が
「そうなの、アンテナあるんだよ~」と得意げにアンテナをひっぱると、
なのにワンセグじゃない!?
というツッコミ。いや、マジで好きだ、Cちゃん。
「それよりもこのストラップがチェーンだけっていうのが気になる!
いったい、ナニがついてたの?」とも。
ぎゃははは、これも、今まで誰も指摘してくれなかったなあ。

私は携帯電話というものを持つようになってから、
一途にずっと携帯会社を変えずにいる。
コロコロ変わっていくのは携帯会社のほうだ。
東京デジタルフォンから始まり、J-PHONE移行に慣れたころ
vodafoneに変わり、今ではsoftbank。
機種としては、私はvodafoneを通らなかったことになる。

私がいつまでもJ-PHONEを大事に使っているうち、
携帯業界はどんどん動いていたんですね……。
私は今まで「スカイメール」を頻繁に利用していたのだが、
これはJ-PHONEの機能だったようでsoftbankには
スカイメールは存在しないらしい。

スカイメールって、一通120文字程度なんだけど、
送信に3円しかかからないの。(普通のロングメールは8円)
おまけにJ-PHONEって、120文字くらいまでは受信無料で、
それ以上の文字量でメールが来ると教えてくれて、
迷惑メールなんかはそこで削除してしまえば受信料かからなかったの。

もうそんなに優しくはしてもらえないのね……
今まで私の携帯代って、ひと月2800円前後だったんだけど、
これからはそうはいかないだろう。いくらになるんだろうなあ。
妹には「システム的にはvodafoneやsoftbankに変わったはずなのに、
まだスカイメールが使えたってことのほうがびっくり」と言われたけど。

新しい携帯電話は、薄くて白いのにした。
またアンテナあるけど、今度はホンモノのワンセグよ、ワンセグ!
キャメロン・ディアスがCMで使ってるのと同じ機種らしい(色は違う)。
都会の女って感じで、オトナっぽくていいわ!と思いこれにしたのだが、
今までが今までだったせいか(分厚くて赤いので目立った)よく見失う……。
白っぽい本や紙の上に置くとすぐわかんなくなるし、
OA機器にまぎれるとなんだか同化してしまって。
これは、派手なストラップをつけないとダメだなあ。

そうそう、皆さまにお知らせが。
実は今まで、私の携帯では絵文字は読めなかったんです!
携帯を変えたと知らせていない友人から来たメールに
絵文字がいっぱい使ってあってびっくりした。
みんな、あたりまえに絵文字ばんばん取り入れてるんだよね。
きっと今までは、私の携帯画面上では勝手に文字に変換されたり、
はしょられたりバケたりしていたに違いない。
このあいだは背景までついたのが届いてほんとうに驚いた。
ずっと、こんなにカラフルなメールを送ってくれてたのね……ごめんね。

旧携帯は、出産間際に購入したもので、だから思い出がいっぱいつまっている。
産院で大活躍した携帯電話。
こうたろうが生まれてからこんなに大きくなるまでを
この携帯が見守り続けたといってもいい。
なので、ばかみたいだが手放すことにちょっと感傷的になったりも。
でもいいかげん、そろそろバッテリーもあぶないので
すべてパアになる前に引退いただくことにした。
ホントにありがとうね。おつかれさまでした。

近いうちにアドレスも変更するつもりでいますので、
そのときは携帯にお知らせします。



青春の友

2008-02-12 | people
先日の帰省、もうひとつ、私にとってちょっと重要なイベントがあった。
それは、大学時代からの友人、Kとの再会。

私はKから多大な影響を受けながら20代を過ごしたと思う。
学生時代はもちろん、私が愛知を出てからもずっとだ。
彼女の選ぶ言葉にはいつも私の知りたい「核心」があり、
私は何か思い悩むとまず「Kに聞いてみよう」と思っていた。

学生時代、小さなゼミ室で論議したテーマや、
夜の電話でKが私にアドバイスしてくれたこと、
読んだ本の感想、恋愛相談、美味しいごはんの話。

子供がドロップの空き缶にドングリやきれいな小石を集めるように、
私は彼女から受け取った言葉のひとつひとつを
自分の中にあるお気に入りの箱に大切にしまっている。
そして、時々、そっと蓋を開けて手に取ったりもする。
Kにはなにしろ、名言が多い。

メールや電話では懇意に思っていたものの、
ここ数年、都合が合わなくてなかなか会えずにいたのだが、
久しぶりに会ったKは、変わらず美しくて、聡明だった。
そして、私たちはお互いに小さな子供の手を引いていて、
「青春時代」の私たちが見たら、びっくりするような光景だった。
こんなことが起きるなら、もう何があってもおかしくないね、
なんて笑いあった。
妊娠から出産・育児まで、いろいろと話は聞いていたから、
ナマの「Kの娘」に会えたことが感慨深かった。
そして、この子たちが同じ時代を生きていくのだということも。

彼女の娘、Rちゃんはこうたろうとふたつ違いの2歳。
最初は照れていたこうたろうも、しだいにほぐれて
ふたりでずいぶん遊んでくれていたおかげで、
Kとも落ち着いて話ができた。
そのまま横浜に帰るというタイミングで会ったので、
お別れの時は、新幹線のホームまでお見送りに来てくれた。

横浜に戻って1週間して、Rちゃんの話をしていたら
こうたろうが言った。
「Rちゃんの顔、わかんなくなっちゃうなあ」
写真くらい撮ればよかったね、と言いながら、
そういえば年賀状にRちゃんの顔写真があったのを思い出し
それをこうたろうに見せる。
こうたろうは、あー、Rちゃんだねえ、と笑っていたが、
少ししてぽつんとつぶやいた。

「写真じゃ、動かないししゃべらないからつまんないよ……」

いつも会える友達の写真を見るときとは、まるで違う反応。
びっくりした。
いくら大人が「また遊ぼうね!」と言っても、
そう簡単には会えないということを、
こうたろうなりに感じ取っているんだなあ、と思った。

大丈夫だよ、しばらく会えなくても、想像することはできる。
Rちゃん、何してるかな? ごはん食べたかな? 元気だといいな。
こうたろうがそう思うことで、Rちゃんが近くなるんだよ。
お母さんにとって、Kがそうであるように。

今度はそう遠くない未来に、また家族で会える気がする。
そして、もっともっと時間がたって、
子供たちが親の引く手を必要としなくなったとき、
またKとふたりきりで会えるかな。
そんな日を楽しみに、Kとそれぞれの持ち場で、
育児奮闘期をしっかり味わおうと思う。


ドキドキ

2008-02-08 | people
授賞式に行ってまいりました、本編。

ご家族もご一緒にどうぞ、というアットホームな式だったので
最初はこうたろうと母も出席するつもりだったのだが、
まあそんなこんなで私だけ単独出席。
名古屋まで行くのめんどくさいと思っていたけど、
結果的にはこうたろうを見てくれる人(母)がいて助かった。
これ、東京で行われてたら、私も出席できないところだった。

会場は名古屋市公館という、迎賓館的な建物。
バブル時代に建てられたそうで、かなり高級感あふれるつくり。
最初、子連れということで担当の方と電話でお話ししていた時に
「いい絨毯なのでお気を付けてくださいね」と言われていて、
汚すなってことだと思っていたのだが、
私が昔から親しくさせていただいている姉的存在のセレブに話したら
「ええっ!? それ、いい絨毯は毛が長くて深いから転ばないように
足もとに気を付けてって意味よ!
」と笑われてしまった。
そっかあ。庶民には縁遠い世界なのでわからなかったわ。

今回、表彰うんぬんよりずっとドキドキしていたのが、
選考委員のひとり、映画監督熊澤氏にお会いできる!ということ。
あらかじめ担当の方に「ファンなんですぅ」と話していたのだが、
表彰式が終わって懇談会のテーブル席についたら、な、なんと、
私の左隣に監督のネームプレートが……! キャー!
監督がテーブルに来る前、担当さんがこっそり
「お隣にしておきましたよ」と耳打ちしてきた。
あああ、あんた、いい人だ。

そしてなごやかに懇談会が行われたのだが、
監督、隣すぎる。近すぎて顔も見られないわ。
もう、左半身がちがちで、出されたケーキもまったく食べられない状態に。
もっぱら、斜め向かいに座っていらっしゃった堀田あけみさんと
しっかりお話しさせていただきました。
ほんわかした雰囲気の、大変に気さくでやさしい方でした。

そして解散となり、監督が脚本・監督をなさった
「ニライカナイからの手紙」のDVDを差し出し、
ずうずうしくもサインをお願いしてしまいました。
そこでやっと対面でお顔を拝見することが……。
メイキングにも少し登場なさっていたので顔は知っていたけど、
実物のほうが数倍素敵。
彼は私より3つ年上の40歳。久しぶりに生身のナイスガイにお会いした。
はー、思い出すとまたどきどきしちゃうわあ~。
映画のファンだったけど、本人の大ファンになってしまった。

監督は快くサインに応じてくれたうえ、
「うれしいです、(観てくれて)ありがとうございます」(←サワヤカ!)
なんて、監督のほうからそんなもったいないお言葉を!

でも監督、サインしようとして、
キャップのあいてる油性ペンを床に落っことす、というお茶目な事態に。
か、かんとく、ここ、いい絨毯らしいですよっ。
(事なきを得ましたが)

賞金もいただきましたが、私にとっては、
監督に会えてサインをいただけたことが一番うれしい副賞でした。
あー、エネルギー充電した。
育児も仕事もがんばるぞ~!


仏様

2008-02-05 | people

月末、授賞式に行ってまいりました。
その前に、うれしいことがあったのでそっちを先に。

名古屋での授賞式を木曜に控え、月曜の夕方いきなり具合が悪くなった私。
式前日の水曜には子連れで実家(岐阜)に行くことになっている。
むむ、まずい。しかし火曜の出社はなんとしても行かねばならん。
そして火曜日、なんとか仕事を終えて保育園に迎えに行くと、
こうたろうが布団に寝かされているではないか!

「こうちゃん、おなか痛いって言っていて。熱も37度9分あります。
ちょっと前に下の階(こうたろうは上の階)でおなかの風邪が
流行ったので、もしかしたらそれが移ったかも……」と先生談。
今回流行ったおなかの風邪、下痢と微熱が続き、
子供によっては吐くこともあるらしい。

今朝まで元気だったのに!
明日からばーばんちだよ、大丈夫か?
しかも、病院はもうとっくに閉まっている。

1日ずらして当日の朝に行こうかとも思ったが、
なにしろ遠いので直前にバタバタするのは避けたい。
思い切って水曜の朝、決行することに。

幸いなことに、おなかはゆるめだが下痢というほどではない。
熱も38度にはいかない程度。そして本人はいたって元気だ。

タクシーに乗って戸塚駅まで行き、東海道線と市営地下鉄を
乗り継いで新横浜まで。
新幹線の時間ぎりぎりになってしまったので2人で走り、
やっとこ窓際でとった指定席まで行くと、3人席。
車内はビジネスマンであふれ、お昼どきだったので
お弁当の匂いが充満し、そして暑かった。

2人並んでいるビジネスマンの前を「すみません、すみません」と
頭を下げながら通って窓際の席に腰を下ろしたものの、なんとも窮屈。
もう席ひとつにこうたろうと2人は無理だな~。
気を紛らわせようと窓の外を見ようにも、
陽射しがあまりにも強くてシェードが開けられない。

持参したミニカーで遊んだりもしていたのだが、
そのうちこうたろうが
「きもちわるい……」と言い出した。
ただでさえ具合が悪いうえ、もともと乗り物に弱い子なのだ。
そしてこの、とてもじゃないけど快適とは言えない環境。

とにかく席を立とうと、トイレまで連れて行く。
リバースするならしてしまったほうがいいかも、と促すが、
彼のほうは出そうで出ないという非常につらい状況らしい。
車両のつなぎ目のところに2人でしゃがみ、
持参したビニール袋を差し出すが、どうにもこうにもならない様子。

そのうち、「あったかいポカリが飲みたい」と言い出す。
これ、うちでたまにやるのだ。粉末にお湯入れて。
自動販売機を求めて1号車まで行ったが、温かい飲み物は
一切売っていない。
かろうじて冷たいアクエリアスがあったので購入するものの、
「冷たいのじゃイヤだ!(おなかがゆるいので当然だが)」と
訴えるこうたろう。
苦肉の策として、少量をキャップに取り、
「ほ、ほらっ、お母さんが手であっためてあげるから!」と
キャップをにぎりしめてみたのだが、私の手は電子レンジじゃないのだ、
納得のいく温度にあたたまるはずもない。

自由席に乗り切れなかった若者たちが
じべたにヤンキー座りしている中にまじって、
「きもちわるい、きもちわるい、きもちわるいーーー!
しゃがみこんで頭をかかえるこうたろう。
つらいよね~、痛いより苦しいんだよね、これ。
金曜の夜、駅のホームにこういう人いるよなあ……とか、
とりあえずこの子をなんとかしなくちゃいけないのは私だよなあ……とか、
呆然としながらしつこくキャップをにぎっていたら、

「どうかされましたか? 大丈夫ですか」

という慈悲深い声が!!

顔を上げると、車掌さんが2人、こちらを見ている。
「気分が悪くなってしまったみたいで」と答えると、
なんとなんと、
「横になれるお席までご案内しましょうか」
とおっしゃるではありませんか!

そして車掌さんたちは私ら親子を個室に連れて行ってくれたのだ。
おまけに、荷物まで持ってくれて……
個室には椅子を倒したような簡易ベッドがあって、
こうたろうを寝かせたら一秒で眠りに入った。


こんな感じです。

広々としているうえ、気温も湿度も快適。
陽射しの強い席とは逆側だったので、窓から見える浜名湖の美しいこと!
ほどなくして車掌さんがまた現れ、手には
お湯の入ったカップと、氷と、おしぼりと、ビニール袋が。
そして「何かあったらブザーで呼んでくださいね。ごゆっくりどうぞ」
とドアを閉めてくれた。
まるで、ここは一流ホテル!?というような扱い。

あのまま我慢して指定席にいたら、どうなっていたことか。
ほっとひと息ついたら、そういえば自分も体調が悪かったことを
思い出して、こうたろうの隣でしばし丸まる。

おかげで、名古屋から実家の最寄り駅までの中央線40分も
持ちこたえ、駅から家までの自動車15分もリバースなし。

地獄で仏とはこのことだった。
ありがとう、JR東海さま。

しかし、帰りの新幹線に乗ろうとした時、こうたろうが
「こうくん、またあのお部屋で寝たいの~」
と言い出したときにはまいった。
そりゃ~お母さんだって許されるものなら毎回あの個室をお願いしたい。
でもね、あれはね、そう簡単にはたどりつけないマボロシの間なのだよ。