ねむいんじゃない

仕事帰り、６時にはまっこにお迎えに行った。
先生に「こうくん、ねむかったみたいで、何度かねっころがってましたよ～」と言われる。
顔を見て、「うっ！」と思った。
ねむかったんじゃない。
熱があるんだ。
私は母親だからわかる。

帰り道、泣きそうな声でこうたろうが言う。
「学校に行ってるときからしんどかったの」
「体育で走ったり平均台するのもつらかったの」
おでこをさわると熱い。
「寒い、寒い」と言っている。
歩くのもしんどそうだけど、ごめん、もう抱っこはしてあげられないや。

子供の体調に敏感だった保育園とはもう違うんだなと思った。
保育園だったら、ちょっとでも様子が変だったらすぐ検温して
熱があれば速攻で電話がかかってきていたろう。
こうたろうも、もっと気楽に、先生に「しんどい」と言えたろう。
学校生活ではそれも言えずにがんばったんだな……

なんとか家にたどりつき、部屋に入るなりばったりと倒れこんで
眠ってしまった。
もう限界だったんだ……

呼び出されなかったから仕事が一日できたのだ。
それは良かったんだけど、でも……。

しんどいときはしんどいって言っていいんだよ。
保育園とはちがうけど、でも、お母さんはお迎えに行くよ。
会社が遠いから、時間はかかってしまうけど、でも、がんばって急いで行くよ。

こうやって強くなっていくんだと知りつつも、
ちょっとせつない気持ちでいる。


WEB小説、第３話更新してます。
⇒ジャパラリア

夏の終わり。

すとん、と秋がきた。
今年は夏もそうだった。
梅雨があけたらいきなり暑くなって。
ドアを開けたらいた、って感じだった。
なのに去り際もあっけなくて、
突然秋とバトンタッチした。

私は夏が好きで好きで好きなので、
急にいなくなってしまった夏に
今、ちょっとした喪失感にさいなまれている。
また来年、必ず会えると知っていても、
やっぱりさびしい。

今日、こうたろう、夏明け初の長袖。
私はサングラスをしまった。

夏がいってしまった。