先日の「サザエさん」で、
波平がこんな話をしていた。
ある小説に出てくる父娘の話。
事情があって、長い間会えずにいたふたりが再会する。
父は娘に、「鞄の中を見せなさい」と言う。
娘が鞄を開くと、きちんと物が整理されている。
それを見て、父は「内面も美しく育ってくれた」と喜んだという。
「人となり」が鞄の中に表れるというのは、
たしかにその通りだと思う。
それはいい娘さんに育ってよかったですね、と思う。
私なんか、ぐちゃぐちゃだ。
こんなの見たら、私の父はさぞ嘆くことであろう。
でも、どういう事情か知らないけど、
長年会えなかった娘に対して「鞄の中を見せろ」と言う父親って、どうか。
私は、すごく下品だと思う。
携帯メールを見られるより、私は鞄の中を探られるほうがずっといやだ。
もちろんやましいことは何もないけど、
着ている洋服に突然手をつっこまれるような嫌悪感が沸く。
携帯メールは「外に向けたもの、外から来たもの」だけど、
鞄の中は「自分の中身」でもあるんだから。
逆にいえば、人の鞄の中って、きっと見たらおもしろいんだと思う。
その人が持ち歩くものって、深層心理とか出ちゃうんだろうなあ。
見せてくれるもんなら見てみたい気もする。
でもだからこそね、
人の鞄の中なんて楽しそうなものは見ちゃいかん、ってことです。