どういうわけか、前回に引き続き、また耳の話。
こうたろうの風邪が治りきらないようで、水曜日にまた呼び出し。
昨日も保育園を休んで、耳鼻科に行って来た。
小児科ではなく耳鼻科にした理由は、風邪はそんなにたいしたことなさそうだし、
小児科に行って他の病気が移っちゃってもいけないと思ったのと、
大音量の鼾をかくからだ。
起きているときは特に鼻水が出ているというわけでもなく、本人も元気なのだが、
眠りに入るととたんにすごい音になる。
それで寝苦しいということはないようで爆睡しているんだけど、
おかげで私のほうがすっかり寝不足……。これはなんとかしなくては。
普段、風邪くらいならめったに病院にも行かせないのだが、今回は行くことに。
戸塚に来て、困っていることのひとつは、歩いていける距離に病院が少ないことだ。
個人の小児科、耳鼻科というものがほとんど見あたらない。
よって総合病院に行くことになるんだけれど、何科に行っても激混み。
小児科・耳鼻科は完全予約制でそれもなかなか思うような時間には取れず、
予約時間に行っても30分くらい待たされる。
しかも、終わる時間も早いから「いつもどおり迎えに行って、保育園の帰りに寄る」
ってこともできない。
戸塚も子供多いと思うんだけどな……なんでだろう。
不毛な話だが、病院の選択肢がいっぱいあったセンター南が恋しくなってしまう。
でもお子様天国(というかママ天国)のセンター南と比べるのが間違っているのであって、
静岡に住んでいたころはどの病院に行くにもバスに乗らなくちゃいけなかったから
歩けるだけでもありがたいと思わないといけないかな。
で、朝イチで電話して「一番早い時間で」とお願いして、とれた予約が3時半。
さらに、病院に行ってハッとした。
ここの病院は耳鼻科と小児科の待合室が同じで、しかも狭いということを忘れていた。
空気も悪い。
そこで30分。ちびちゃんたちがゴホゴホやってる。うーん、大丈夫かな。
やっと名前が呼ばれて診察。
鼻水を吸引してもらって、喉を診てもらう。
「のどもあんまり腫れてないみたいだし、軽い鼻づまりだと思うのでお薬で様子をみましょう」
との診断。
そのまま先生は診察を終えようとしたのだが、せっかくだからと
耳掃除をお願いした。
子供の耳掃除って、自分ではこわくてなかなか難しいからこの機会に。
耳鼻科なんて、めったに来ないしね。
が、このあと、思いがけない事態に。
耳掃除を終えたあと、先生の声色が変わった。
「耳に問題がありますね」
……問題? その言い方に、血の気が引く。
こうたろうは、滲出性中耳炎という症状を起こしていたらしい。
簡単に言うと、鼓膜の中に水がたまってしまう状態。
主な原因は風邪で、幼児の耳管は狭いうえに上手に鼻がかめないので、
鼻水が滞ってばい菌が入りやすく、6歳くらいまでの子供に多いそうだ。
急性中耳炎と違って痛みも発熱もなく、ただ、水があるぶん振動が伝わりづらくて
聞こえにくいらしい。名前を呼んでも振り向かなかったら要注意だという。
最近、こうたろうが「え?」とよく聞き返してくるのが気になっていたのだが
このせいだったのだ。
聞こえにくいって、どれくらい聞こえてなかったんだろう?
保育園での歌も上手に覚えてくるし、テレビ観て笑ったりしてるのに。
本人は元気なものの、滲出性中耳炎というのはあまり楽観視できない病状で、
放置しておくと将来的に大変なことになる。
治療としては、鼓膜を切開して水をぬくことが一番。
子供はこわがってうまく手術ができないので、全身麻酔をかける。
それでも再発してしまうようだったら、鼓膜にチューブを刺す。
先生が症例写真を見せながら説明してくれたのだが、
ビジュアル的にかなりエグくて、失神しそうになった。
「今は2~3ヶ月ほど抗生物質を投与して経過をみる方法もとられているので、
とりあえず薬を飲みましょう。1週間ごと、できれば1週間に2回、
長期的に診察に来てください」と言われる。
こんな小さな子供に、手術も全身麻酔もチューブも恐い。
でも3ヶ月も抗生物質を飲み続けるというのも、どうなんだろう。
あれこれ考えてしまうが、ここは信じて専門家にまかせるしかない……。
あっさり治るというものでもなく、数年という単位でじっくりつきあっていかなくては
ならないらしい。
滲出性中耳炎は、痛みがないのは救いだが、そのせいで発覚が遅れることが多いとか。
今回の場合も、たまたま耳掃除をしたのでわかったけど、
あのまま「軽い鼻づまりですね」の診断だけで終わっていたら……と思うと
ちょっとぞっとする。
まして、内科に行っていたら絶対わからなかっただろう。
だから、見つかってよかった、とは思う。思うんだけれど、やっぱり、へこむ。
あの受診しにくい病院に、これから何度も行くことになるのだ。
鼻水吸引と耳掃除が相当痛くて恐かったらしいこうたろうを、どうなだめていけばいいのか。
夏には保育園でプールが始まるだろうけれど、ひとりだけ見学になるかもしれない。
ネットでたまに行くママの掲示板を検索したら、子供がかかったという話がけっこう
載っていた。経験談を読むにつれ、やっぱり長期戦覚悟でのぞまないといけないと悟る。
とにかく治るのに時間がかかるのだ。
一度完治しても、風邪をひくたびに再発を疑わなくてはならない。
私のもっとも苦手な「根気」という言葉が何度も出てくる。
予防としては「風邪をひかせないこと」とあるが、そりゃあそうしたいのはやまやまだけど
それもむずかしい。
自分の健康管理だけでいっぱいいっぱいなのに、育児って手強いな……などと
久しぶりに自信をなくしてしまう。
こういう時、母親としての度量が試される気がする。
こんなことくらいで(そう、たかが「こんなこと」だ)ブルーになってて、
これからちゃんと育てていけるのだろうか。
夕方病院から帰ったら、夜勤シフトの相方がいたのでこの話をするものの、
「じゃ、悪いけど行ってくるね~」と仕事に出かけてしまった彼を玄関で見送りながら、
ぽつんと残された気になる。
今まで私は、これを「さびしい」という感情なのだと思っていたが、
そうではなくて「嫉妬」なのだとようやく気が付いてしまった。
ドアをばたんと閉めたら、もう身軽になってしまう彼に対して。
「一緒にいてほしい」というよりは、「代わってほしい」のだ。
相方があのエグい写真を見ずにすんだことすら、うらやましいと思ってしまう。
そんな母親のダメっぷりを知ってか知らずか、にこにこと寄ってきて
「おかあさん、好き~!」とほっぺたをくっつけてくるこうたろうに泣けた。
……ごめんね。
一緒にがんばろう。ちゃんと治そうね。
ものすごい長文になってしまった。
読んでくださった方、どうもありがとう。