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山田宏一『山田宏一のフランス映画誌』

2009-05-09 16:21:00 | ノンジャンル
 山田宏一さんが'99年に出された「山田宏一のフランス映画誌」を読みました。'98年から'99年にかけての「日本におけるフランス年」に合わせて、それまでフランス映画に関して山田さんが書いてきた文章を、年代順、監督別にまとめた本です。
 607ページにもなる大著で、題名になっている監督の数だけでも何と38人! 別の本にまとめるということでトリュフォーとゴダールに関する文章は省いてのこの数字ですから、驚きます。絶版になっていたり、品切れになっている既刊本からの転載もかなりあるので、一度読んだ覚えのある文章もありましたが、山田節とも呼べるような、映画に狂った、映画的なあまりに映画的な文体を最後まで楽しく読めました。この本を読んで見てみたいと思った未見の映画は、マルセル・カルネ監督の「愛人ジュリエット」、ジャン・ルノワール監督の「小間使いの日記」と「十字路の夜」、ジャン・グレミヨン監督の「白い足」、ジャック・ベッケル監督の日本語字幕付きの「エドワールとキャロリーヌ」、アルベルト・カバルカンティ監督の「腹話術師の人形」(「夢の中の恐怖」の中の一編)、アンドレ・マルロー監督の「希望―テルエルの山々」、ジョルジュ・フランジュ監督の「ジュデックス」、クロード・シャブロル監督の「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」、ジャン=ポール・ラプノー監督の「プロヴァンスの恋」、フランシス・ジロー監督の「見憶えのある他人」、エリック・ロシャン監督の「哀しみのスパイ」、アラン・レネ監督の「恋するシャンソン」、そしてジョルジュ・メリエス監督の「妖精の王国」でした。最後にはフランスにおける映画誕生前夜から戦前までの歴史も述べられ、巻末には山田さんの本では恒例の詳細な索引が掲載されていて、充実した映画体験を得られる本です。「ラジカル」という言葉も久しぶりに読みました。映画好きな方には文句無しにオススメです。