山田宏一さんが著書『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』の中で言及していた、アンソニー・マン監督の'58年作品『西部の人』をビデオで見ました。
町に馬でやってきたリンク(ゲーリー・クーパー)は、自分の町に作る学校のために先生を雇おうと、その町から列車に乗りますが、列車は途中で強盗に襲われ、リンクは町の人々から預かった金をカバンごと奪われた上、酒場の歌手のビリー(ジュリー・ロンドン)といかさま師のサムとともに、列車にも置いていかれます。次の列車が1週間後だと知ったリンクは2人を連れて、昔住んでいた小屋を訪ねると、そこには先ほどの強盗団が待っていました。その首領ドック(リー・J・コッブ)は、リンクの育ての親で、リンクも以前は彼の元で無法の限りを尽くしていたことが明らかになります。ドックの部下の一人コーリーは、ビリーにストリップを強要し、それを止めようとしたリンクをナイフで脅しますが、ドックはコーリーに思い留まらせます。ドックは傷ついた手下を他の手下に殺させて埋葬し、ビリーはリンクに心寄せますが、リンクは自分には家庭があると言います。翌朝にはドックが唯一信頼している部下のクロードが到着しますが、彼は駅でリンクを見た保安官が彼の素状に気付き、ドックらの身元も割れてしまっていることをドックに報告します。ドックは鉱山の金が集まっている町の銀行を襲う計画を実行しようとする一方、クロードはその前に足手纏いになるとしてリンクらを殺そうと主張しますが、未だにリンクのことを信じようとするドックに阻まれます。銀行の様子を見に、リンクとドックの手下一人が先に出発しますが、銀行には年老いた女性が一人いるだけで、彼女は既に鉱山は閉鎖され、町の者は皆去った後だと言います。ドックの手下はその女性を射殺してしまい、リンクはその部下を撃つと、その手下は腹を押さえながら町の果てまで走って行き、息絶えます。そこへやって来たコーリーともう一人の手下をやっつけたリンクは、ドックの待つ場所へ戻ると、ビリーは乱暴された後で、山の上でドックは待ち構えていました。リンクは他の手下は皆死に、ドックも保安官に引き渡すと言うと、ドックは自分を撃てと挑発し、結局リンクに撃たれて山から転がり落ちます。幌馬車で隣に座るリンクに、ビリーはまた歌手の生活に戻っても、彼を思う気持ちはこれからも変わらないと言うのでした。
暗い情念に取りつかれた話で、決して笑うことのない登場人物たち(唯一の例外はいかさま師のサム)の表情にもそれが徹底して現れていました。ラストの決闘のシーンはまさにアンソニー・マンならではの斜面が登場し、また山田さんが言及しているように、町の果てまで走っていって息たえる手下のシーンも印象的でした。ゴダールも絶賛している映画です。オススメです。
町に馬でやってきたリンク(ゲーリー・クーパー)は、自分の町に作る学校のために先生を雇おうと、その町から列車に乗りますが、列車は途中で強盗に襲われ、リンクは町の人々から預かった金をカバンごと奪われた上、酒場の歌手のビリー(ジュリー・ロンドン)といかさま師のサムとともに、列車にも置いていかれます。次の列車が1週間後だと知ったリンクは2人を連れて、昔住んでいた小屋を訪ねると、そこには先ほどの強盗団が待っていました。その首領ドック(リー・J・コッブ)は、リンクの育ての親で、リンクも以前は彼の元で無法の限りを尽くしていたことが明らかになります。ドックの部下の一人コーリーは、ビリーにストリップを強要し、それを止めようとしたリンクをナイフで脅しますが、ドックはコーリーに思い留まらせます。ドックは傷ついた手下を他の手下に殺させて埋葬し、ビリーはリンクに心寄せますが、リンクは自分には家庭があると言います。翌朝にはドックが唯一信頼している部下のクロードが到着しますが、彼は駅でリンクを見た保安官が彼の素状に気付き、ドックらの身元も割れてしまっていることをドックに報告します。ドックは鉱山の金が集まっている町の銀行を襲う計画を実行しようとする一方、クロードはその前に足手纏いになるとしてリンクらを殺そうと主張しますが、未だにリンクのことを信じようとするドックに阻まれます。銀行の様子を見に、リンクとドックの手下一人が先に出発しますが、銀行には年老いた女性が一人いるだけで、彼女は既に鉱山は閉鎖され、町の者は皆去った後だと言います。ドックの手下はその女性を射殺してしまい、リンクはその部下を撃つと、その手下は腹を押さえながら町の果てまで走って行き、息絶えます。そこへやって来たコーリーともう一人の手下をやっつけたリンクは、ドックの待つ場所へ戻ると、ビリーは乱暴された後で、山の上でドックは待ち構えていました。リンクは他の手下は皆死に、ドックも保安官に引き渡すと言うと、ドックは自分を撃てと挑発し、結局リンクに撃たれて山から転がり落ちます。幌馬車で隣に座るリンクに、ビリーはまた歌手の生活に戻っても、彼を思う気持ちはこれからも変わらないと言うのでした。
暗い情念に取りつかれた話で、決して笑うことのない登場人物たち(唯一の例外はいかさま師のサム)の表情にもそれが徹底して現れていました。ラストの決闘のシーンはまさにアンソニー・マンならではの斜面が登場し、また山田さんが言及しているように、町の果てまで走っていって息たえる手下のシーンも印象的でした。ゴダールも絶賛している映画です。オススメです。