gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ジャン・ヴィゴ監督『アタラント号』その3

2020-12-31 08:16:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 花嫁「行って。洗濯物よ」親爺「休ませてくれてもいいだろ? 疲れちまった」「出てってよ」「嫌だね。絶対に嫌だ」「親爺さん、パリだ。水門を開けて。船長が急げって」「船長? 船長が何だ。まだあいつが船長かね」。
 水門を開けるジャンと少年。音楽。花嫁、外に出て笑顔。縄を引っ張って船を曳くジャンと少年。桟橋に出た花嫁、船中に。船、曳き終わる。
 親爺、花嫁に音を出すおもちゃを見せる。オルゴール。おもちゃの車。「仲間を紹介する」。布を取ると人形。指揮をする人形。「カラカスで見つけた。革命の後でな。いつだったかな」。
 花嫁「こんな部屋だったのね」「まるでガラクタ市だろ? だがここより素敵な部屋なんてありえん。ハバナだ。ドロシーとの“いざこざ”もあってな」。象牙。「それは標本だ。狩りをした」「蓄音機ね」「壊れてる。直さんとな」。巨大な扇。「日本のだ。描いてあるんだ。全部手描きだ。すごいだろ?」「あら、ナイフね」「違う。ナバハって言うんだ。よく切れる」。手を切り、血を吸う。「痛くない?」「平気だ」「待って。布切れを探すわ」「いらん」「またネコね」。古い写真。「これ、あなた?」「いや、3年前に死んだ友だちだ」。瓶に入った手首。「これ、何?」「奴の手だ。形見だよ」「これは?」「この首飾り? これか? イレズミだよ。見せよう」。全身に稚拙な絵。「防寒具になる。1曲弾こう」。アコーディオン。「“タランテラ”だ」。花嫁に「きれいな髪だ」「あんたもきれいよ。立派な髪ね」「そうでもない」「分け目をつけてあげる」「優しいな。くすぐったい。優しくされるのは苦手だ」。ジャン「二人で何やってる? ガラクタの山だ。網なんか置いて。船に持ち込むなと言ったろ? 部屋が臭うぞ。ネコのせいだ」。ネコを放り投げる。「お前は何してる? 何だ? これは?」。ヌード写真。「昔のわしだよ」「昔の? 馬鹿にするな。子供の頃からこんな髪の毛が。面をよく見ろ」。ジャン、去る。笑う花嫁と親爺。ネコ。
 ジャン「早く出ろ。その目は何だ?」。ジャン、花嫁を殴る。「ギャー」。ジャン、皿を次々に割る。「やめてよ。バカなことしないで。他人の部屋でしょ?」「そうさ、じゃあお前の部屋か?」親爺「ほら」「頭を丸めてきたのか?」。
 犬の床屋。「変な奴だったな」。
「出よう」「割られてない皿がまだ残ってる」。
 ジャン「怒るなよ。あんな奴の髪なんか、いじってるからだ。見たがってたパリだぞ。仕事も終えた」。
 片づける親爺。割れた鏡。「縁起が悪い」。
 花嫁「用はないわよ。出かけましょう」ジャン「わざわざ着替えて?」「街に行ってみたいの」「そうか、支度するよ。ぶらつこう」。
 親爺、少年に「ホコリを立てずに掃け。箒を濡らすんだ」。
「新しいドレスを着るわ。あなたは? 着替えて。早くしてよ」「そんなに引っ張るなよ」。
 親爺「わしの首飾りは?」少年「あのお守り?」「壊れちまった」「直せるよ」「直ってもムダだ。効き目がない。不吉なことが始まる。服をよこせ。急がねば」。
 ジャン「これは?」「ナフタリンよ。それ結婚式の服ね」「変な臭い」。親爺「船長!」「驚かすんだから。どうした? 火事か?」「治療してくる」「病気か?」「違うけど、行ってくる。行くぞ」と少年と出かける。
「準備できたわ」「親爺さんを待つ」「一緒に行くんじゃないの?」「出かけてった」「出かけた?」「医者だってさ。小僧と出てった。船を放って行けない」「つまり外出しないのね」「するよ。もう少し後になったら」「“まだ”出かけないのね。わかったわ」「脱ぐことないだろ?」「他に手がある? ここで待つんでしょ? あの人を信じてればいいわ」。ドアを乱暴に閉める花嫁。
 占い。「でもお守りが壊れた」「平気さ。いいカードよ」「いいカード…そうか」「手を出して」「え?」「手相だよ」「カードの他に?」「安心しなってば。あんた、色ごと好きだろ? 女を大勢泣かせたね」「まあな。当たってる」「大食漢だ。でも安心しな。いい手相だ。ああ、うまくいくよ」「将来が?」「面倒もない。うれしい? もっと見てやろうか?」。親爺、少年に「外にいろ」「何で?」「わしを占ってるんだぞ! 出てろ!」「わかったよ」。親爺、占い師に「やるかい?」「お望みなら」「頼むか」。
 落ち着きのないジャン。「ずっと待ってるの?」「もうすぐさ」「もう出かけたくない」。
 親爺、少年に「お前は帰って早く寝ろ。今日はツイてる」。
 ジャン「親爺さん!」少年「用があるから遅くなるって」「やっぱり」。上着を脱ぐジャン。
 酒場。親爺は蓄音機のホーンを盗む。
 親爺「パリよ♪時には安っぽく時には上品な街♪」。

(また明日へ続きます……)

 →「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

 →FACEBOOK(名前を入れて、FACEBOOKに登録しておけば、ご覧になれます)(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135

ジャン・ヴィゴ監督『アタラント号』その2

2020-12-30 07:18:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 上陸してラスプーチンと歩く親爺と少年。
 首回りを洗うジャン。頭を押さえてふざける花嫁。「水の中で目を閉じるの?」「当然だろ? 何を言い出すんだ。何かあるのか?」「“何かあるのか”って本当に知らないの? 好きな人が見えるのよ」「冗談だろ?」「本当よ。小さい時何度も見たもの。去年はあんたを見たわ。うちに初めて会いに来た日だった」「ほんと?」。バケツに首を突っ込む。「見えない。待って」。ボートへ飛び降りる。「ジャン、やめて」。川に首を突っ込む。「顔を上げて。バカやらないでよ」「見えない!」「ジャン、ジャン」「見えた。君が見えたぞ。見えたぞ」。花嫁を追いかけるジャン。
 親爺と少年、大きな荷物を運んでくる。
 新郎新婦は背中合わせて腕を組み、ジッタンパッタンする。親爺「レスリングかね? グレコローマン・スタイルを見ろ。ポンスとラウルの構えだ。フランソワのタックル。次は寝技。次は腕固め。それからブリッジだ。(二人、こそこそと逃げ出す。)次はアルパン流に頭を回し、ブリッジの体勢へ。最後はフォールだ。どうだ? いないな。なんて奴だ」。
「おバカさん」「君を見たかった」「見れば?」「水の中でさ」「信じないのね。でも本当よ。まじめにやればいつか見えるわ。これで拭いて。温まるわよ」。抱きしめるジャン。
 花嫁「ジャン、まだ寝ないの?」。舵を取るジャン。油を差す親爺。「ジャン、もう朝の5時よ。休みましょ。雨も降ってる」ジャン「俺の責任か?」親爺「花嫁に悪いよ。掛け布団だけじゃね。もういいから寝るこった。おも舵少々、とり舵少々」。(中略)
 ジャン「退屈かい?」「別に」。胸囲を測る花嫁。ジャン「今度出港したら、あちこち見られる」「岸ばかり…ねえ、もうすぐ着く?」「どこに?」「さあ、どこでもいいの。大きな街ならどこでも」。ラジオ「こちらパリ」。「ジャン、パリよ」「そうさ、驚いた?」「遠いの?」「無線は距離に関係ないんだ。(中略)」。「こちらはパリ。最新情報をお伝えします。オスマン通りで開かれているバーゲンでは…」「またうまい話か」
ジャン、ダイヤルを回し音楽。「パリに戻して」(中略)ジャン、ベッドへ。花嫁、ラジオを付ける。「今年の夜会服は赤のラメやサテンが流行、帽子はベレーを色っぽく左側に傾ける。こちらはパリ」。
 鐘の音。「親爺さん、錨を降ろせ」。もや。警笛。「他船に気をつけろ」。鐘を鳴らすジャン。「灯火の用意を」「女房を探してくる」。親爺、他の船の男に「この前、わしらと喧嘩した奴だな」「そうだよ。だがすごい霧だな」「ああ、落ちるなよ」。
「ジュリエット! ジュリエット!」。
 少年に「奥さんはどこにいる?」手前にネコが現われる。「ジュリエット!」。花嫁は船主に座っているところを発見される。「なぜ返事しない?」。キス。抱き合いながら移動。親爺「どうした?」ジャン「別に」「別に?」「構うな」「構うな?」「働いてろ」「我慢するにも“ほど”があるんだ。“働け”だ? “エンジンを磨け”だ? 一日中キスするか? ケンカしおって! もうわしは逃げ出すぞ。うんざりだ。降りる」。
 親爺、ネコに「かわいい子だ。子ネコちゃんや」。
 ジャン「怒ったかな?」「大丈夫よ」「でもいない」「いなくならない訳ないわ。心配しないで。すぐ来るわよ」。親爺、ネコたちと現れる。「食事の時間に遅刻だぞ」。テーブルの上を歩くネコに親爺「こら、人様のうちだぞ」。寄り添いほほ笑む二人。「ふくれっ面するなよ。もうすぐ霧も晴れる。遅れた分、急ごう。親父さんは食べてな。行くぞ」「ぼく?」「そうだ」。
 親爺「何してんだ?」花嫁「ミシンよ」「ミシン? ミシンか」「ミシン見たことないの?」「見たことないだと? いいかい、少し詰めてくれ」と言って椅子に座る。ミシンを操る親爺。「上手じゃない」「そうさ。うまいだろ? この手はいろんなことをやってるぞ。ある時はシャンハイでこうやって」。花嫁の首を絞める親爺。「ほら、バカはやめて」。親爺、倒される。「大げさだな。(中略)」「手加減しないんだもの。スカートを当てて」「スカートを当てて?」「マネキンの代わりよ。すそを見るの」(中略)「はけないぞ。どう着るんだ?」「ボタンを留めるのよ。お腹を引っ込めなさい。華奢な体ね」「あんまり、からかわんで」「いい? まっすぐ立って。ちゃんと当てて」「こうか? 冗談みたいだろ」。歌い出す親爺。「静かにしなきゃ刺すわよ。黒人になったつもり?」「黒人? それ以外も知ってるぞ。ヨコハマ、メルボルン、シャンハイ、パペーテ、サンフランシスコ、1903年、ドロシー…、シンガポール、サン・セバスチャン」。スカートで闘牛のマネをする親爺。「スカートが破けるわ」。スカートを取り戻す。

(また明日へ続きます……)

 →「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

 →FACEBOOK(名前を入れて、FACEBOOKに登録しておけば、ご覧になれます)(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135

ジャン・ヴィゴ監督『アタラント号』その1

2020-12-29 07:33:00 | ノンジャンル
 DVDで、ジャン・ヴィゴ監督・共同脚色の1934年作品『アタラント号』を再見しました。

 はしけ。煙。教会。親爺(ミッシェル・シモン)、少年の腕を引き、「モタモタするな」。いったん教会に戻り「父と子と聖霊の御名において。アーメン」と言うと、走り出す二人。
 結婚式。音楽。新郎新婦を先頭にした行列。「もう泣くのはやめなさい。いい婿じゃないか。いつか里帰りするさ」。「あの娘が村を離れるなんて」「祝宴を楽しみにしてたのに」「おい、おい」「船まで行くのか? 花婿も知らんのにな」。
 親爺「船長の花嫁への挨拶は?」少年「教わったよ」「わしが教えた?」。
「二人ともいやに急いでますな」「遅れると船会社が文句を言うらしいんです」「ほら、男女二人ずつ並んで歩いて下さい」「船乗りと結婚なんて」「昔から変わった娘でね」「村が嫌いなのかしら」「二人はもう村に入ったぞ」。
 新郎新婦が間をあけて先頭を歩いていく様子をパン。
 堤防の上を歩く新郎新婦。
 猫を肩にのせて親爺「花嫁への挨拶は?」「まあね」「ちゃんと言ってみろ。最初はどうする?」「花嫁の前に進んで」「何って言うんだ?」「“アタラント号で楽しく暮らせますように”だ」「そうだ。花は?」「バケツに」(猫に)「お食べ。(少年に)紙を取り換えろ。衣装が濡れちまう。来たぞ」。アコーディオンを弾き始める親爺。踊る少年は、バケツを蹴っ飛ばしてしまい、花は川面に。「バカ野郎。ダメな奴だ。ヘマばかりしおって。よこせ」。バケツで少年に水をかける。「帽子が川に…」「花はどうする?」「買ってくる」「花屋なんかあるもんか。間に合わん。腹が立つ。どこへ行く? もう気にするな。いいから戻ってこい。怒ってないぞ。おい」「花を摘んでくる」。母さん猫を抱く親爺。「やれやれ、ほら」。
 新郎新婦が歩く。
「早くしろ。急ぐんだ。そこだ。落ちるなよ。紙で包むんだ」。少年、花嫁に花束を渡し、「アタラント号にようこそ」「紙を巻け」。
「すぐ出港で?」「エンジン始動」。
 悲しげな花嫁。
 作業ズボンをはく新郎のジャン。エンジンを始動させる。「花嫁を」。長い棒を回してそれに乗って船に乗る花嫁。「ジュリエット! ジュリエット!」「あんたの娘さんだね」。親爺も船に乗る。ジャン、手を振り「さよなら」。帽子を飛ばし、両手を上げて「行ってきます」。黙って見つめる人々。
 甲板上で花嫁を後ろから抱くジャン。そのままそこに横たわる二人。そこにネコが襲いかかり、花嫁は歩き出す。すれ違う船。
 仰角で子供を連れた老女。ジャンをネコらが襲う。顔に傷を受けるジャン。花嫁をお姫様抱っこするジャン。
 親爺「早くしろ。花嫁を歌で起こそう。一、二、三、船の上じゃさぼれない♪働かなくちゃ♪舟遊びじゃない。船を走らせるんだ♪(笑顔の花嫁)俺たち、ケツで舵とる、いかつい男♪美人の顔と声が俺たちを呼ぶ♪待ち遠しくても耐えねばならぬ♪陽気な気分の船乗りならば♪」。甲板を這ってくるジャン。花嫁を抱く。「恋人たちは船出したのさ♪これからずっと船の上♪(ジャンの帽子を取る花嫁)二人の首は日に焼けて♪(ヒソヒソ話をして笑い合う二人)4つの“ひとみ”は風の色♪船乗りたちが二人をさらい♪(キスする二人)」。「さあ、ロープを岸につけるぞ」「親爺さん、またネコがベッドの上にいる。来てくれ」「ネコの方が人間よりずっとマシだ」。ネコを抱いている。天井からのショット。花嫁「これよ」親爺「かわいいぞ。ここにいたのかい。(黒ネコと子ねこ3匹)それで姿が見えなかったんだ(ネコをなでる)」。ジャン「ベッドだぞ。何とかしろ」「わしの“せい”じゃない。見てくれ」。3匹の子ネコ。「連れてけよ。水に放るぞ」「水に? まだ泳げもしない子ネコを? 行こう。子ネコちゃん。おいで、怖い人から逃げよう」ジャン「あんな子ネコがまだ3匹もいる」「シーツは?」「戸棚へ」。戸棚から大勢のネコ。「洗濯したことあるの?」「たまには」「不潔よ」。カバンからエプロンを出す花嫁。「明日やれよ」「どうして?」「今日はもういいから、やめろよ」「やるの」「いつでもできるだろう」「ダメよ」「じゃ一緒にやろう」。
 親爺「今メシを作ってやる」ジャン「汚れ物を出して」「汚れ物?」「子供を産んだんだね」「汚れ物?」「洗うんだって」「花嫁が洗濯を?」。
 洗濯する二人。「親爺さんはいいって」「洗わないの?」親爺「自分で洗う。花嫁に洗ってもらうなんて」「バカ言わないで早く渡せ」「洗いたいのか? お返しに買い物でもしてくるかな」。口笛。ジャン「ほら、友だちが来たぞ」親爺「ラスプーチン!」「レコードを?」「持ってんのか? 長い奴か?」「見てくれよ」「蓄音機が直っとらん」ジャン「親爺さんの友だちさ。いつも何か買わされる。壊れたバネや古い物をね」。

(明日へ続きます……)

 →「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

 →FACEBOOK(名前を入れて、FACEBOOKに登録しておけば、ご覧になれます)(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135

斎藤美奈子さんのコラム・その72&前川喜平さんのコラム・その33

2020-12-28 06:57:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず12月23日に掲載された「恋愛の作法」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
 「愛の不時着」「半沢直樹」「鬼滅の刃」。そんな派手めの映像作品が目立った年だったけど、二十一日配信の「東洋経済オンライン」で、コラムニストの木村隆志さんがこの秋放送の「重苦しいムードをやわらげるような3作の恋愛ドラマ」について書いている。
 「この恋あたためますか」(TBS系)、「姉ちゃんの恋人」(関西テレビ・フジテレビ系)、「#リモラブ~普通の恋人は邪道~」。三作とも原作のないオリジナル脚本で、職場が舞台の恋愛劇で、スローな展開。世帯視聴率は低くても視聴者の評価は高く、ツイッターでも話題沸騰。十分成功といっていい、と。
 なるほどねえ。付け加えれば、不倫なし、肉体関係なし、暴力的にぐいぐい迫るのもなし。婚活とか寿退社とかいう邪念もないのが好ましい。
 十七日、「同意のない性行為はレイプである」とする法律がデンマークで成立した。ヨーロッパ諸国の中では十二番目。日本でも同様の法改正を求める動きが広がっている。性暴力とドラマは別と思われるかもしれないが、人は物語から恋愛の作法を学ぶ。小説もマンガも映画もドラマも性教育のツールなのだ。
 「嫌よ嫌よも好きのうち」は過去の妄言と思うべし。「恋あた」「姉恋」は昨夜、「リモラブ」は今夜が最終回。さて新しい恋愛作法は根付きそうかな。」

 そして、12月20日に掲載された「少人数学級のこれから」と題された前川さんのコラム。
「来年度から五年で、公立小学校の一学級の児童数の上限を35人にすることが決まった。新型コロナの感染防止や長期休校による学習の遅れの回復に苦労する学校現場や自治体、学界から少人数学級を求める声が高まっていた。他方、相次ぐ大型補正予算で財政規律が一挙に弱まった。この絶好の機会を逃(のが)さなかった文部科学省は、よく頑張ったと思う。中学校も含めた30人学級は、今後また頑張ってほしい。
 既存の加配定数の一部を振り替えることは少し心配だ。少人数指導やチームティーチングができなくなるのは困る。新採教員が確保できるか、非正規教員が増えないかという心配もある。勤務条件の改善と非正規任用の規制が必要だろう。
 現下の三密回避のためには、各自治体での国の計画を先取りした総人数学級化が望まれる。加配教員の学級担任への振り替えや特別支援学級と通常学級のインクルーシブな少人数学級への再編成など、現場での柔軟な対応も認めるべきだ。
 将来的には、基礎定数を学級数で計算するのをやめ、加配定数は縮小し、学校ごとの定数を児童生徒の総数に応じて定めるようにするべきだ。特別支援学級も含め学級編成の権限は教育委員会から学校に降ろす。チームティーチングや通級指導も学校に任せる。教職員定数の使い方は現場に委ねるべきなのだ。」

 また、12月27日に掲載された、「客室乗務員を学校へ」と題された前川さんのコラム。
 「二十一日の記者会見で萩生田文科相は、新型コロナウイルスの影響で仕事が減った航空業界から、教員免許を持つ客室乗務員を学校現場に受け入れる考えを示した。
 文部科学省は、来年度予算に九十億円を計上している「補習等のための指導員等派遣事業」の中で客室乗務員も受け入れる方針だという。教育委員会の非常勤職員として採用され学校に派遣されることになるが、その報酬額と現在の給与との差額は航空会社が負担することになるのだろう。
 しかし、本当に意欲と能力のある人なら、補助的な非常勤職員ではなく、正規の教員として受け入れたらいい。客室乗務員に限らず、さまざまな分野で職業経験を積んだ人たちを教員として中途採用することは、学校教育を豊かなものにする上でも望ましいことだ。
 特に教員採用氷河期に当たる四十歳前後の教員の数は全国的に少ないから、この年齢層の中途採用は積極的に行うべきだ。その際には、例えば三十五歳以上というような年齢を区切った特別枠を設けて面接や実技を重視した選考を行うことや採用後の処遇について職業人としての前歴を正当に評価した給与を支給することが必要だろう。
 学校にさまざまな職歴を持つ人が加われば、教師集団の多様性が高まり、子どもたちの社会への目を大きく開かせてくれるに違いない。」

 どのコラムも勉強になる文章でした。

 →「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

 →FACEBOOK(名前を入れて、FACEBOOKに登録しておけば、ご覧になれます)(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135

ジャン・ヴィゴ&ボリス・カウフマン共同監督『ニースについて』

2020-12-27 06:50:00 | ノンジャンル
 DVDで、ジャン・ヴィゴ&ボリス・カウフマン共同監督、ジャン・ヴィゴ脚本の1930年作品『ニースについて』を再見しました。

 住宅地を空撮。海岸線を空撮。ルーレット。汽車の模型。旅人の模型。ルーレットの札とともに模型は片づけられる。波。海岸の空撮。波。仰角でヤシの木。波。水で道路の掃除をする二人の男。波。巨大な顔の像に着色する男。テーブルを拭くウエイター。日傘を立てるパイプをテーブルに差していくウエイター。着色の終わった巨大な顔の像を移動させる人たち。日傘をテーブルに置いていくウエイター。ヤシの木の手入れをする男。小さなヤシの木の鉢。仰角で巨大なヤシの木。傾いた建物の映像を直す。同じような映像が4回繰りかえされる。路上を前進していく映像。海岸線の通りを歩く人々。ミニカーを運転する男。サングラスの紳士。労働者。着飾った中年女性。サングラスの初老の男と日傘の女。カメラ。カメラで撮影する男。犬を連れた女。ゴミを片付ける映像。荷車。路上の店。海に向かって座る人々。通り全景。砂浜。水上飛行機。通り全景。水上飛行機。通り全景。水上飛行機。ヨットの帆。ヨットの群れ。テニス。ヨット。ヨットの群れ。テニス。見物客。カメラに向かって転がってくるテニスのボール。ボッチャ。カーレース。海のブイ。ヨット。ヨットが立てる波。カーレース。赤い絨毯を歩く女性。バルコニーの男や女の客。犬。杖。ダチョウ。椅子に座る人々。新聞を読む男たち。海鳥の群れ。居眠りする男たち。路上でダンス。女、下着姿になり、全裸になる。像。テントの外で乾布摩擦をする男。海上でボールを使って遊ぶ男たち。砂浜のベンチ。日焼けする男。ワニ。仰角で建物の壁。路地。洗濯をする女。はためくシーツ。円形の帽子をかぶる女たち。手遊びする若者たち。血まみれの顔の少年。ドブ。どら猫。社交ダンス。テーブルでダンスを見る人々。パレード。山車に乗り、進む巨大な顔の像。山車に乗り、進む初老の女性。馬。花を摘む女たち。パレード。投げられる花。進む巨大な顔。仰角で踊り狂う女たち。進む巨大な着ぐるみ。行列。仰角で踊り狂う女たち。墓。船。仰角で踊り狂う女たち。船。仰角で踊り狂う女たち。船。仰角で踊り狂う女たち。船。仰角で踊り狂う女たち。船を一通りめぐる映像。仰角で踊り狂う女たち。立ち止まる神父。仰角で踊り狂う女たち。道を渡る神父。仰角で踊り狂う女たち。車に列。仰角で踊り狂う女たち。自転車。仰角で踊り狂う女たち。馬。勲章をたくさん胸につけている男。靴磨き。裸足を磨く靴磨き。勲章のアップ。仰角で煙突。丸い穴の上を歩いていく人々。仰角で踊り狂う女たち。像。仰角で踊り狂う女たちをスローモーション。像。仰角で踊り狂う女たちをスローモーション。立派な墓。像つきの墓。天使の像。仰角で踊り狂う女たちをスローモーション。天使の像。天使の像。雲。波。風で揺れる木。踊り狂う女たち。手を振る老女。仰角で踊り狂う女たちをスローモーション。見上げてほほ笑む老女。仰角で高い煙突。笑顔で話す老女。仰角で高い煙突。笑顔で話す老女。仰角で高い煙突。見上げてほほ笑む老女。仰角で高い煙突。巨大な顔の像。煙。笑う男たち。煙突から白い煙。燃える石炭。煙突を包む煙。映画は終わる。“リュス・ヴィゴへ”の字幕。

 カットバックやスローモーションを印象的に使っている映画でした。

 →「Nature Life」(表紙が重いので、最初に開く際には表示されるまで少し時間がかかるかもしれません(^^;))(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

 →FACEBOOK(名前を入れて、FACEBOOKに登録しておけば、ご覧になれます)(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135