中川信夫監督の'69年作品『妖艶毒婦伝・人斬りお勝』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
農民から厳しく年貢を取り立て、抵抗する者は虐殺する旗本・塩崎に対し、旅人のおるい(大信田礼子)は農民を逃がします。おるいらは郷士の真壁の家へ逃げ込み、そこの娘・お勝(宮園純子)は塩崎に許しを請い、受け入れられます。真壁家は代々こうげん一刀流を伝える道場を構えていて、お勝の父・真壁(西村晃)は、血のつながっていないお勝がその道に長けているのに比べ、実の子である、お勝の弟の林太郎(近藤正臣)のふがいなさに呆れています。幼くして母を亡くしたため、不憫さから甘やかして育てたことを悔いる真壁。
塩崎が幕府へ賄賂を送り江戸への帰参を急いでいることを真壁にたしなめられた塩崎は、真壁を亡き者にするため、真壁の師範代・四谷左衛次を味方に引き入れます。一方、林太郎は恋人である農民の娘・お咲から妊娠を告げられ、家を出てお咲と百姓をしようと決意します。お咲が働く飲み屋で林太郎が酔っていると、お勝がやってきて、2人のためと言ってお咲に金を渡し、自分は2人の味方なので、今後も居所だけは知らせてほしいと言います。金を見て「何だ、これっぽっち」と言う林太郎。
左衛次はそんな林太郎に博打で金儲けしようと持ちかけ、塩崎の息のかかっている龍王親分の賭場でイカサマをし、林太郎に多額の借金を負わせます。そこへ現れたおるいはイカサマのからくりを暴き、林太郎を逃がし、襲いかかる龍王の手下のまげを次々に斬り落とします。森の中に逃げ込んだ林太郎とお咲に出会ったお勝は、大月の滝小屋に以前真壁家に出入りしていた甚句郎が猟師として住んでいるので、そこで匿ってもらえと言い、逃がします。そこへやってきた龍王は、林太郎が賭場の金を盗んだと言いますが、お勝は自分が償うと言います。
龍王はお勝に塩崎の妾になれと言い、言うことを聞かないお勝をムチで打ち、柱に縛ります。やがて真壁が塩崎とともに現れ、自分の命と替えて娘を助けてくれと言います。縄で縛り上げられ、吊るされ、左衛次に木刀でめった打ちにされる真壁。その目の前でお勝は塩崎に犯されます。血を抜かれ、火であぶられ、最後には目に木刀を突き立てられて、「林太郎‥‥」と言って息絶える真壁。そして塩崎は南町奉行としての帰参が許され、今晩までに死か自分の妾になるか決めろとお勝に言って、先に出発します。一方、甚句郎の妻・おきわ(沢淑子)は真壁とお勝が殺されたと聞き、林太郎を殺し、お咲を売り飛ばすことにします。その晩、おるいの助けもあって逃げ出したお勝は、龍王と手下らを皆殺しにします。
甚句郎の許を訪ねたお勝は、おきわの盛った薬で体の自由を奪われ、江戸の売春宿に売られ、そこでお咲と再会します。中絶させられそうになったお咲を、おるいとともに助け出したお勝は、林太郎が殺されたとお咲から聞き、父と弟の仇を取ることを誓います。殺人の罪で人相書の立て札を立てられるお勝。左衛次の一味は淡路屋を襲って金を奪いますが、おるいに現場を見られます。塩崎はお勝と同じ手口だとして、新たな人相書を立てますが、お勝は左衛次の道場へ殴り込みをかけ、木刀で左衛次をめった打ちにし、最後に目を突いて殺します。一旦は御用堤灯に囲まれたお勝でしたが、おるいに助けられ、逃げます。塩崎は淡路屋の娘を慰めたいと言って自宅に呼びますが、そこへお勝が現れ、雷鳴の轟く中、塩崎の背中に刀を突き立て、彼の首にかけた縄を情婦に引かせ、苦しませた末にとどめを刺します。そこへ賞金稼ぎの男(若山富三郎)が現れますが、1年後には賞金が2倍になるだろうと言って、今回は見逃してくれます。現れたおるいの馬を借りて逃げ出すお勝。そして旅姿のお勝の姿で映画は終わります。
首や手首が飛んだり、拷問シーンや中絶シーンがあったりと、残虐な趣向が施された映画でしたが、縦の構図(手前と向こうに物が見える構図)が多用され、見事な“ショット”で形作られた、見ごたえのある映画でした。中川監督の隠れた名作だと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
農民から厳しく年貢を取り立て、抵抗する者は虐殺する旗本・塩崎に対し、旅人のおるい(大信田礼子)は農民を逃がします。おるいらは郷士の真壁の家へ逃げ込み、そこの娘・お勝(宮園純子)は塩崎に許しを請い、受け入れられます。真壁家は代々こうげん一刀流を伝える道場を構えていて、お勝の父・真壁(西村晃)は、血のつながっていないお勝がその道に長けているのに比べ、実の子である、お勝の弟の林太郎(近藤正臣)のふがいなさに呆れています。幼くして母を亡くしたため、不憫さから甘やかして育てたことを悔いる真壁。
塩崎が幕府へ賄賂を送り江戸への帰参を急いでいることを真壁にたしなめられた塩崎は、真壁を亡き者にするため、真壁の師範代・四谷左衛次を味方に引き入れます。一方、林太郎は恋人である農民の娘・お咲から妊娠を告げられ、家を出てお咲と百姓をしようと決意します。お咲が働く飲み屋で林太郎が酔っていると、お勝がやってきて、2人のためと言ってお咲に金を渡し、自分は2人の味方なので、今後も居所だけは知らせてほしいと言います。金を見て「何だ、これっぽっち」と言う林太郎。
左衛次はそんな林太郎に博打で金儲けしようと持ちかけ、塩崎の息のかかっている龍王親分の賭場でイカサマをし、林太郎に多額の借金を負わせます。そこへ現れたおるいはイカサマのからくりを暴き、林太郎を逃がし、襲いかかる龍王の手下のまげを次々に斬り落とします。森の中に逃げ込んだ林太郎とお咲に出会ったお勝は、大月の滝小屋に以前真壁家に出入りしていた甚句郎が猟師として住んでいるので、そこで匿ってもらえと言い、逃がします。そこへやってきた龍王は、林太郎が賭場の金を盗んだと言いますが、お勝は自分が償うと言います。
龍王はお勝に塩崎の妾になれと言い、言うことを聞かないお勝をムチで打ち、柱に縛ります。やがて真壁が塩崎とともに現れ、自分の命と替えて娘を助けてくれと言います。縄で縛り上げられ、吊るされ、左衛次に木刀でめった打ちにされる真壁。その目の前でお勝は塩崎に犯されます。血を抜かれ、火であぶられ、最後には目に木刀を突き立てられて、「林太郎‥‥」と言って息絶える真壁。そして塩崎は南町奉行としての帰参が許され、今晩までに死か自分の妾になるか決めろとお勝に言って、先に出発します。一方、甚句郎の妻・おきわ(沢淑子)は真壁とお勝が殺されたと聞き、林太郎を殺し、お咲を売り飛ばすことにします。その晩、おるいの助けもあって逃げ出したお勝は、龍王と手下らを皆殺しにします。
甚句郎の許を訪ねたお勝は、おきわの盛った薬で体の自由を奪われ、江戸の売春宿に売られ、そこでお咲と再会します。中絶させられそうになったお咲を、おるいとともに助け出したお勝は、林太郎が殺されたとお咲から聞き、父と弟の仇を取ることを誓います。殺人の罪で人相書の立て札を立てられるお勝。左衛次の一味は淡路屋を襲って金を奪いますが、おるいに現場を見られます。塩崎はお勝と同じ手口だとして、新たな人相書を立てますが、お勝は左衛次の道場へ殴り込みをかけ、木刀で左衛次をめった打ちにし、最後に目を突いて殺します。一旦は御用堤灯に囲まれたお勝でしたが、おるいに助けられ、逃げます。塩崎は淡路屋の娘を慰めたいと言って自宅に呼びますが、そこへお勝が現れ、雷鳴の轟く中、塩崎の背中に刀を突き立て、彼の首にかけた縄を情婦に引かせ、苦しませた末にとどめを刺します。そこへ賞金稼ぎの男(若山富三郎)が現れますが、1年後には賞金が2倍になるだろうと言って、今回は見逃してくれます。現れたおるいの馬を借りて逃げ出すお勝。そして旅姿のお勝の姿で映画は終わります。
首や手首が飛んだり、拷問シーンや中絶シーンがあったりと、残虐な趣向が施された映画でしたが、縦の構図(手前と向こうに物が見える構図)が多用され、見事な“ショット”で形作られた、見ごたえのある映画でした。中川監督の隠れた名作だと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)