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北尾トロとレオナルド調査隊『出版業界裏口入学』

2008-03-31 19:49:13 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊で若いアスリートを特集した記事の冒頭文を「一瞬の風になれ」で一気にメジャーになった佐藤多佳子さんが書かれていました。朝からラッキーな一日でした。

 さて、「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」が面白かった北尾トロさんが編集者たちと作ったレオナルド調査隊が著者の'97年の作品「出版業界裏口入学」を読みました。
 内容は題名とは全く関係なく、本に関するいろんなことについて調査するという内容です。では、実際にどんなことを調べているか目次の項目とその内容を列挙していくと、「あなたはなぜ、その本を買ったのですか」(本屋で本を買った人にどうしてその本を買ったか聞く)、「自費出版の世界に明るい未来はやってくるのか?」(自費出版の現状を調べる)、「エロ漫画の“今日まで、そして明日から”」(エロ漫画雑誌の現状を調べる)、「国立国会図書館と末永くおつきあいする方法」(国立国会図書館の実態を調べる)、「あなたの本棚にあるイチバン“恥ずかしい本”を教えてください」(そのまんま)、「調査隊がインドで見つけた真実『あなたもサイババになれる!?』」(実際にインドに行き、サイババの奇跡が本物かどうか調べる)、「聖地“神保町”古本屋オヤジへの挑戦!」(神保町の古本屋で本がいくらぐらいで買ってもらえるか調べる)、「『趣味は読書』っていったいなんだ?」(履歴書の趣味欄にやたら多く書かれている「読書」の実態を調査する)、「秋の夜長は本当に読書向きなのか?」(そのまんま)、「ラムブックセンター芳進堂店長 武藤浩平の一日」(そのまんま)、「ああ絶版! いつまでもあると思うな親と名作」(絶版になっている文庫本を調べる)、「神戸復興のシンボルは書店だった!?」(阪神大震災の一年後の神戸の書店の状況を調べる)、「地獄のラッシュアワー読書術」(ラッシュアワーの中でいかに本が読まれているか調べる)、「読書感想文と課題図書」(課題図書をどこが決め、どのくらいの読書感想文が書かれているか調べる)、「旅人の友は一冊の文庫本だった!?」(本当に一人旅をしている人は文庫本を持っているのか調べる)、「決定! 世界『イヌ・ネコ本』人気番付」(著者が犬派、猫派に分かれて、番付を発表する)、「本を売るのもガッツだぜ!?」(フリーマーケットや古本屋で本をいくらで買ってくれるか調べる)、「本読みに引退なし」(老人の読書事情を調べる)、以上です。
 内容は今一面白くありませんでしたが、一番インパクトがあったのは、絶版になった文庫本を調べるという企画で、'64年と'94年を比較した場合、例えば川端康成は40册から29册へ、谷崎潤一郎は33册から12册へ、武者小路実篤は41册が11册へ、石坂洋次郎は24册が1册へ、というように有名な明治時代の作家は軒並みすごいダウンぶりで、尾崎士郎、織田作之助に至っては、19册、8册あったのが、0册になっていました。全集が出ているような大作家であれば、文庫本でなくても読めるでしょうが、すごい絶版ぶり。大手の出版者では単行本は出版してから3年、その後文庫本にしてから3年は出版するといいますから、3年以上生き残る新しい文庫本が出現する度に、今まで出されていた文庫本が消えて行くということになるらしいです。これは明治の作家だけに言えることではなく、最近の人気作家でも代表作が文庫から消えていくことは珍しくないようでした。
 そしてもう一つ、阪神大震災の時に本は役にたったか、というアンケートがなされたのですが、結果はまっぷたつ。本を読むどころじゃない、と本をまったく読まなかった人と、本を読むことによって現実逃避でき、心が休まったと言う人とに完全に分かれました。この辺も聞いてみないと分からないなあ、という感じです。
 ということで、「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」ほどではありませんが、ほどほどに楽しませてくれる本でした。

茶色い雲 越境?

2008-03-30 22:21:09 | ノンジャンル
 3月27日の朝日新聞の朝刊に、「茶色い雲 越境」という分けの分からぬ見出しの、大きい記事が載っていました。
 記事の冒頭を引用すると「人や車がひしめき、企業の生産拠点が集まる大都市は、呼吸するように汚れた空気を吐き出す。人間や動植物に害のある大気汚染物質で茶色く変色した雲が、風に乗り、国境を越え、広く地球に広がっている。しかし、東アジアには脅威に立ち向かう枠組みはなく、無防備のままだ。」
 大気には国境がありません。したがって、隣国で空気を汚染していれば、風向きによってはその汚い空気が自分たちのところへ流れて来る可能性は当然ある訳です。
 私たちがこれを最初に意識したのはチェルノブイリ発電所の事故の時でしょう。遠いロシアで起こった原子力発電所の爆発事故でしたが、爆発とともに上空に吹き上げられた放射性物質が貿易風に乗って、日本にも何日後にやって来るというのがニュースになりました。特にちょうど上空に放射性物質が来た時に雨が降れば、大変危険であるとして、万が一のために雨傘を用意して出かけてください、とテレビで放送していた記憶があります。
 そして最近では、中国の黄砂。車がざらざらになり、数日間はガソリンスタンドの洗車コーナーに行列ができていました。
 北京オリンピックで北京の大気汚染が話題になっていますが、これだって、北京から日本に有毒な空気が今までも流れてきていた可能性があります。対岸の火事だと思っていましたが、とんでもありません。
 記事には世界地図も載っていましたが、最長でアメリカ東海岸の地表から3千メートルの大気がモスクワまで流れていっていました。大気汚染はグローバルな視点から考える必要がありそうです。

ロバート・マリガン監督『おもいでの夏』

2008-03-29 06:44:33 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊の別冊で、晩年の団鬼六と愛人さくらの物語りが載っていました。ちょっと感動ものです。興味のある方、オススメです。

 さて、WOWOWでロバート・マリガン監督の'71年作品「おもいでの夏」を見ました。
 1942年のニューイングランドの島。思春期を迎えた主人公(ゲイリー・グライムズ)は仲間とセックスに興味津々ですが、近くの家に新婚の夫婦が引越して来ます。主人公は美しく若い妻(ジェニファー・オニール)に惹かれます。しばらくすると夫は兵役に取られ、妻はひとり残されます。ショッピングセンターで荷物を持ってあげたことで2人は親しくなり、主人公は度々妻の家を訪れ、家事を手伝ったりします。そしてある晩。訪ねて行くと、明かりはついているのに、彼女の姿が見られません。机の上には夫の戦死を知らせる書類が置いてありました。しばらくして泣き濡れて現れた彼女。彼女は無言でレコードをかけ、主人公の肩に頭を乗せ、音楽に合わせて踊ります。彼女は主人公にキスすると、主人公の手を引いて寝室に行き、服を脱ぎ、2人は全裸で抱き合います。その翌日に主人公が彼女の家に行くとドアに別れの手紙が貼ってあり、昨日のことは将来分かるようになるでしょう、と書いてありました。主人公はこの時大人への一歩を踏み出したのでした。

 10代の頃に1度見て以来、久しぶりに見ました。一度目に見た時で記憶に残っているのは、ジェニファー・オニールがパンティーを立ったまま降ろすところをバックから撮ったシーンだけでした。今回見ると、カメラはパンティーとともに下に移動し、裸のヒップは見えないように撮っていました。このことからも分かるように、とにかくジェニファー・オニールの美しさが際立った映画です。今見てもその印象は変わりません。そして哀調を帯びた音楽の素晴らしさ。米アカデミー賞音楽賞を取っているということでしたが、作曲者は何とミッシェル・ルグランでした。素晴らしさも納得です。ジェニファー・オニールは大した代表作もなく消えて行ってしまいましたが、今どうしているのでしょう。幸せな人生を送っていてほしいと思う私なのでした。

ごみ山に眠る宝を狙え!

2008-03-28 18:22:12 | ノンジャンル
 リチャード・ウィドマーク氏の訃報が入って来ました。享年93才。コネティカット州の自宅で死去。最近、脊椎を骨折、容態が悪化していた、ということです。大学教授から転身した珍しい経歴の持ち主で、その凶暴な顔つきから悪役が多かったですが、存在感のある役者さんでした。代表作は何といってもサミュエル・フラー監督の「拾った女」でしょう。孤独なスリですが、人の道に外れたことは大嫌いという難しい役を見事にこなし、ラスト近くで共産党員からフィルムをスリとり、仲間の仇を討つシーンは今思い出しても興奮してくるほど、素晴らしい演技、そして映画でした。個性的な顔だちの俳優が少なくなった今、最も求められているタイプの俳優さんがまた1人旅立れました。御冥福をお祈りするとともに、いつまでも彼のことを忘れないでしょう。

 さて、昨日の朝日新聞の朝刊に「ごみ山に眠る宝 狙え」という見出しのかなり大きい記事が載っていました。
 ゴミから発生するメタンガスを利用して発電し、また発電に使うことによって今までは大気中に放出されていたメタンガスが減ることにより温暖化防止にもなり、また排出枠を獲得することもできるという一石三鳥の仕組みの研究が進んでいると言うのです。実際、これからもゴミは増え続け、世界銀行が調べたアジア各国の1日1人当たりの都市ごみ排出量予測は、中国で'95年に0.79gだったのが'25年には0.9g 、マレーシアでは0.81gだったのが1.4g と軒並み増え、日本だけが1.47g だったのが1.3g に減る(といっても元の数字がでかい)ということで、温暖化ガスを出さないゴミ処理方法の開発が急務と言えます。そこに出て来たメタン発電。久々の朗報ではないでしょうか?
 また、ゴミは貴金属の宝庫でもあるらしく、パソコンや携帯電話に含まれる白金、インジウム、タンタル、銀、金、銅、コバルト、バナジウムなどは馬鹿にならない量が今まで埋め立てられ再利用されてきませんでした。これからは要らなくなったパソコンや携帯電話を回収する業者が増えるのは必至とのことです。また逆にこうした貴金属を回収しないと、埋蔵量が底をつき、新製品を作ることができなくなるそうです。すぐにでも着手してほしいものです。

これでいいのか 介護の報酬!

2008-03-27 16:11:48 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞の朝刊の1面の連載記事で、介護施設の介護人の待遇の悪さに関する記事が載っていました。
 記事によると、認知症ケアの切り札といわれるグループホームは、5人から9人ほどの少人数の認知症のお年寄りと介護スタッフが共同生活をして家庭的なケアをする場で、介護保険導入前は300足らずだったのが、今は9千をこえる、のだそうです。昨年8月、埼玉県で「これからの介護はだれが担うのか グループホームの介護現場から社会に訴える!」と題するシンポジウムが開かれ、30才の女性スタッフが「いま私たち、泣きそうです」と訴えたそうです。ぎりぎりの人手なのに、上司は採算第一、疲れはてた仲間がやめていく。夜勤は1人でお年寄り9人をみる。「どなる、つねる、『殺される』と叫ぶ、何時間もドアをたたくお年寄りもいます。体調が急変したとき救急車を呼ぶべきか、1人でとても不安」とのことでした。
 シンポジウムの呼び掛け人の西村さんは、ある認知症の女性が特別養護老人ホームに移ったとたん、自分では脱げないつなぎ寝巻着を着せられ、ベッドにひもでつながれるのを見てショックを受け、自分でグループホームを作った人でした。スタッフの養成や研修をしながら、現実の厳しさを思い知ったと言います。シンポでは、仕事にやりがいを感じているのに報われないという悲鳴が次々とあがりました。
 「7年勤めて昇級は3千円。月給は手取り20万あるかないか。高校受験の息子が公立に受かってくれればいいが、私立なら仕事を変えるしかない」と40代の男性スタッフ。別のホームで働く友人は月15回も夜勤をするといいます。
 西村さんは「お年寄りの人権を守ろうといいつつ、スタッフの人権が守られていない」と憤っています。
 根っこにあるのは介護報酬の低さ。社会的評価の低さのあらわれであり、年々、社会保障費が抑えられ、介護報酬は切り下げられています。
 もう一つは、経営者の意識の問題。不動産や建設などの業者が参入し、熟練スタッフが辞めたあと未経験者を安易に雇ったり、夜勤にケアを知らないガードマンなどを入れたりするところもあるそうです。
 西村さんは「ケアする人は社会の財産。そこを大切にしないで人材崩壊すると、介護は砂上の楼閣になる」と危機感をつのらせています。 
 グループホームで働く人の入れ替わりは、あまりに激しく、介護労働者は112万人いますが、毎年5人に1人が辞めていき、とりわけグループホームは3割を越えます。
 福祉学校でも福祉の現場にすすむ子が減っており、一般企業は初任給20万前後のところが多いのに、介護は16万円ほど。福祉が好きで実習でも頑張ってきた学生も、一般企業に入るケースが多いといいます。
 介護職につく理由は「働きがいがある」が7割なのに対し、辞める理由は「賃金や労働時間などの待遇が不満」が3割を超し、辞める人の4割が1年未満で辞めています。志しと意欲はもっているのに、手応えを感じる前に去ってしまう。待遇改善はもちろん、チームワークを高め、ケアの力をつける研修も、と指導者は言います。

 私も現在介護の現場で働いていますが、夜勤もなく残業もなく日曜は必ず休めるデイサービスなので、それ以上の働きを要求されるグループホームで働く人の大変さはとてもよく分かります。父が認知症で一時かなり進行したので、そうした人たちと共同生活を営むグループホームは、さぞかし重労働でストレスもたまりやすいでしょう。その上給料も安いのでは、辞めていく人が続出しても何の不思議もありません。政府や自治体には予算配分の際、介護の現状をしっかり考えた上で行ってほしいと思います。