しばらく更新をしませんでしがた、また不定期的に更新していきたいと思います。
その第一弾。
水曜日の東京新聞に「本音のコラム」と題して斎藤美奈子さんの時事エッセイが載っています。かなり鋭い目線で世間を切って捨てているので、読むのが毎週楽しみです。ここでは、その過去のいくつかのコラムを紹介しようと思います。
まず1月27日付の「18歳へのメッセージ」と題するコラム。
「フォトジャーナリズム誌『DAYS JAPAN』二月号が『2016年をどう生きるか---26人の提言』というメッセージ特集を組んでいる。
表紙には『特集 平和を叫び続けろ!』。ページを開くと、もっと単刀直入に『特集 安倍政権に命の舵(かじ)は渡さない』。
『文化と文明のせめぎ合いがこの数世紀、地球を引っ掻き回してきた。今はその断末魔のような時』と書くのは歌手の加藤登紀子さん。『まさかこういう時代が来るとは思いもよらなかった。この国が、他国や他民族に対して武力でものを言う時代になるとは!』と嘆くのはフォトジャーナリストの大石芳野さん。
この特集が秀逸なのは図らずも(いや図ったのか)夏の参院選に向けた十八歳へのメッセージになっている点だ。
『君たちが一票を巧みに投ずることによって、世の中を、いや世界を変えることさえできる』と書く元沖縄知事の大田昌秀さん。『若者よ自由であれ、賢くあれ、そして蛇のごとく疑い深くあれ』と述べる映画監督の山田洋次さん。そして天文学者の海部宣男さんは『一番大事なことは、生物は、生きるのが仕事だということです。だから『生物』、ひとりひとりが生きていく。それが仕事で、それが生物です』。改憲、辺野古、原発問題。ついくじけそうになる気持ちを立て直してくれる保存版にしたい一冊だ。」
また2月3日付の「大統領選の異変」と題するコラム。
「共和党ではクルーズ氏がトランプ氏を制し、民主党はクリントン氏がサンダース氏に辛勝。と報じられても、いまいちピンと来ない米大統領選のアイオワ州党員集会。
ニューヨーク在住の友人が送ってくれたリポートを読んで、やっと少し事態がのみ込めた。
日本ではトランプ氏の不規則発言ばかり報道されているが、サンダース氏の健闘も予想外だったらしい。なぜならサンダース氏は自ら(民主)社会主義者を名乗る再分配論者だから。冷戦時代以来、社会主義アレルギーが極端に強い米国で、ここまで左寄りな候補者の追い上げは奇跡に近い。富の集中が進み、中間層の生活まで苦しくなった米国では、無邪気にアメリカ・イズ・ナンバーワンなどともう言っていられなくなったのだ。
ただし、サンダース人気もトランプ人気も根はいっしょ。保守もリベラルも、今のアメリカは『エスタブリッシュは信用できない』との思いがあり、それが、かたやトランプ、かたやサンダース支持につながる。ヒラリーもいまやリベラルの星ではなく『民主党のエスタブリッシュメント』なのだと。
一方の日本。『民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい。』なんてコピーを掲げるどこかの党の腰の引け方には熱が出そうだ。最左派の候補者の猛追をどう見るか。自虐に逃げてる場合じゃないぞ」
2月10日の「女性が輝く党」と題するコラムでは、
「八日の衆院予算委員会で、電波法七六条を念頭に、放送が政治的な公平性を欠いた場合は『電波停止の可能性もある』と答弁した高市早苗総務相。放送局の生殺与奪の権限は政府にあり、とでも思ったのだろうか。
一方、丸山珠代環境相は七日、長野県松本市での講演で、除染の目標値『年間追加被ばく線量一ミリシーベルト』は『反放射能派』が騒ぐ中で『何の科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた』と述べた。
『電波停止』も『反放射派』もあまり聞かない言葉だけれど、それはまあいい。二人の発言に共通するのは『私がルールブックです』といわんばかりの不遜な姿勢だ。既存の法律は都合よく解釈し、気に入らない取り決めは無視する。安倍内閣はどんな教育をしているのか。あ、教育はないか。大臣ですからね。
そういえば、三日の予算委員会の質問で、憲法九条二項は自衛隊の規定と合わず『立憲主義を空洞化させるもの』と述べた自民党・稲田朋美政調会長の憲法観も『どんな教育を?』と聞きたくなる案件だった。
権力は人を腐らせるとはいわない。権力は人を粗忽にさせるのだ。彼女たちに比べたら、歯舞群島の『歯舞』を読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当相などご愛敬かもしれないが、ダサイのはたしか。参院選に向けて出馬を打診されているみなさまはよく考えたほうがいい。」
2番目のコラムの中の「『民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい。』なんてコピーを掲げるどこかの党」がどの党なのか私は分かりませんでしたが、後に民主党であることを知りました。あきれた話です。それはともかく、来週も水曜日の東京新聞が楽しみです。
その第一弾。
水曜日の東京新聞に「本音のコラム」と題して斎藤美奈子さんの時事エッセイが載っています。かなり鋭い目線で世間を切って捨てているので、読むのが毎週楽しみです。ここでは、その過去のいくつかのコラムを紹介しようと思います。
まず1月27日付の「18歳へのメッセージ」と題するコラム。
「フォトジャーナリズム誌『DAYS JAPAN』二月号が『2016年をどう生きるか---26人の提言』というメッセージ特集を組んでいる。
表紙には『特集 平和を叫び続けろ!』。ページを開くと、もっと単刀直入に『特集 安倍政権に命の舵(かじ)は渡さない』。
『文化と文明のせめぎ合いがこの数世紀、地球を引っ掻き回してきた。今はその断末魔のような時』と書くのは歌手の加藤登紀子さん。『まさかこういう時代が来るとは思いもよらなかった。この国が、他国や他民族に対して武力でものを言う時代になるとは!』と嘆くのはフォトジャーナリストの大石芳野さん。
この特集が秀逸なのは図らずも(いや図ったのか)夏の参院選に向けた十八歳へのメッセージになっている点だ。
『君たちが一票を巧みに投ずることによって、世の中を、いや世界を変えることさえできる』と書く元沖縄知事の大田昌秀さん。『若者よ自由であれ、賢くあれ、そして蛇のごとく疑い深くあれ』と述べる映画監督の山田洋次さん。そして天文学者の海部宣男さんは『一番大事なことは、生物は、生きるのが仕事だということです。だから『生物』、ひとりひとりが生きていく。それが仕事で、それが生物です』。改憲、辺野古、原発問題。ついくじけそうになる気持ちを立て直してくれる保存版にしたい一冊だ。」
また2月3日付の「大統領選の異変」と題するコラム。
「共和党ではクルーズ氏がトランプ氏を制し、民主党はクリントン氏がサンダース氏に辛勝。と報じられても、いまいちピンと来ない米大統領選のアイオワ州党員集会。
ニューヨーク在住の友人が送ってくれたリポートを読んで、やっと少し事態がのみ込めた。
日本ではトランプ氏の不規則発言ばかり報道されているが、サンダース氏の健闘も予想外だったらしい。なぜならサンダース氏は自ら(民主)社会主義者を名乗る再分配論者だから。冷戦時代以来、社会主義アレルギーが極端に強い米国で、ここまで左寄りな候補者の追い上げは奇跡に近い。富の集中が進み、中間層の生活まで苦しくなった米国では、無邪気にアメリカ・イズ・ナンバーワンなどともう言っていられなくなったのだ。
ただし、サンダース人気もトランプ人気も根はいっしょ。保守もリベラルも、今のアメリカは『エスタブリッシュは信用できない』との思いがあり、それが、かたやトランプ、かたやサンダース支持につながる。ヒラリーもいまやリベラルの星ではなく『民主党のエスタブリッシュメント』なのだと。
一方の日本。『民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい。』なんてコピーを掲げるどこかの党の腰の引け方には熱が出そうだ。最左派の候補者の猛追をどう見るか。自虐に逃げてる場合じゃないぞ」
2月10日の「女性が輝く党」と題するコラムでは、
「八日の衆院予算委員会で、電波法七六条を念頭に、放送が政治的な公平性を欠いた場合は『電波停止の可能性もある』と答弁した高市早苗総務相。放送局の生殺与奪の権限は政府にあり、とでも思ったのだろうか。
一方、丸山珠代環境相は七日、長野県松本市での講演で、除染の目標値『年間追加被ばく線量一ミリシーベルト』は『反放射能派』が騒ぐ中で『何の科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた』と述べた。
『電波停止』も『反放射派』もあまり聞かない言葉だけれど、それはまあいい。二人の発言に共通するのは『私がルールブックです』といわんばかりの不遜な姿勢だ。既存の法律は都合よく解釈し、気に入らない取り決めは無視する。安倍内閣はどんな教育をしているのか。あ、教育はないか。大臣ですからね。
そういえば、三日の予算委員会の質問で、憲法九条二項は自衛隊の規定と合わず『立憲主義を空洞化させるもの』と述べた自民党・稲田朋美政調会長の憲法観も『どんな教育を?』と聞きたくなる案件だった。
権力は人を腐らせるとはいわない。権力は人を粗忽にさせるのだ。彼女たちに比べたら、歯舞群島の『歯舞』を読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当相などご愛敬かもしれないが、ダサイのはたしか。参院選に向けて出馬を打診されているみなさまはよく考えたほうがいい。」
2番目のコラムの中の「『民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい。』なんてコピーを掲げるどこかの党」がどの党なのか私は分かりませんでしたが、後に民主党であることを知りました。あきれた話です。それはともかく、来週も水曜日の東京新聞が楽しみです。