北尾トロ『ほんわか！』

　北尾トロさんが'08年に出された「ほんわか！　本についてわからないこと、ねほりはほり！」を読みました。月刊誌「ダ・ヴィンチ」'94年５月号から'08年10月号までに連載された文章の中から14本を選び、加筆・訂正、再構成されたもので、主に本にまつわる様々なテーマのもと、編集部員とともにリサーチするというものです。
　読書好きな人がもてるかどうか、出会い系パーティで実行してみたり、古本をフリーマーケットや地方都市の古本屋で売ってみたり、目当ての本を個人情報誌やネットを使って探してみたり、捨てた本が処分される様子を調べたり、またゴミ捨て場に本を置いて持っていく人がいないか調べたり、チリ紙交換をして古本を集められるかどうか試したり、官能小説の題名の付けられ方を調べて、実際に自分達で付けてみたり、車内吊り広告における雑誌の広告の割合を路線別に調べ、その広告の制作現場を取材したり、日本のマンガを海外に輸出している会社に取材した後、秋葉原の外人に日本のギャグマンガを見せて反応を見たり、ラブレターについてエッセイストに取材した後、実際に自分たちで書いてみたり、本人の写真を写真集にまとめて母にプレゼントしてみたり、寝て読書するのに体に負担にならない方法を調べたり、マンハッタンでの書店・古書店・日本書店を調べ、文豪ゆかりのバーなどを探索し、人々がどのように読書しているか調べたり、震災１年後の神戸での本の読まれ方や本屋の実態を調査したり、若い女性によるお遍路紀行を読んで、実際にお遍路に挑戦してみたり、といった内容です。企画倒れに終わっていたり（資源ゴミの処分の様子を調べようとしたのに曜日を間違え、燃えるゴミの処分工場を視察するなど）あまり面白い内容になっていなかったり（自分たちでつけた堪能小説の題名が「聖令嬢・奇根の森美術館　愛襲のガウディ」であるなど）明らかに時代遅れである内容だったり（アマゾンやヤフーオークションがある現在、古本の売り買いのため古本屋を奔走するなど）ものたりない部分も多々ありましたが、「いじわるばあさん」にはまる若いアメリカ女性の話とか、寝て読書するには横向きでひじをクッションの上に置くといいとか、これは無理矢理本のこじつけてる企画ですがお遍路さんでの「お接待」の素晴らしさとか、役立つ情報も多々ありました。
　買って損はない本だと思います。ちょっとした時間つぶしになる本をお探しの方にはオススメです。