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かとうかなこさんのアコーディオン

2008-06-30 19:04:10 | ノンジャンル
 先週末、私の通う病院の院内コンサートにクロマチック・アコーディオン奏者のかとうかなこさんが来てくれました。クロマチック・アコーディオンとは、右手の鍵盤も左手と同じようにボタンになっていて、右手だけで70のボタンがついていて、全部合わせると200ものボタンがついたアコーディオンのことです。
 先ず、感じたのは華奢な人だなあ、ということです。重さが10kg~12kgもあるアコーディオンを引くのに良く大丈夫だなあ、と思いました。案の定、このアコーディオンを引くのは重労働らしく、「皆さん、暑くないですか。私、大汗かいてるんですけど‥‥」とおっしゃっていました。
 そして彼女は大阪生まれの大阪育ち、今も大阪に住んでるということで、当然大阪弁なんですね。私は大阪弁を話す女の子に弱く、それでも好印象を持ってしまいました。
 さて、肝心の演奏ですが、これが素晴らしい! アコーディオンというのは左手でジャバラを広げたり閉じたりするスピードを調節することによってピアノ以上の音の強弱が付けられる楽器なのです。したがって演奏をとてもドラマティックにすることができます。当日は3種類のアコーディオンを持って来られていたのですが、1番小さな片手のボタンの数が10個位しかないものは弾かなかったので、残り2つの内、私は一番大きい「にょろきち」という名前をかとうさんが付けているアコーディオンの低音の魅力にはまりました。そして演奏曲はほとんどかとうさんのオリジナル曲で、私の病院の院内コンサートの企画をしてくれている方が「彼女の風を表現する音楽を聴いていると、本当に風が吹いてくる気がします」という表現通りに、日本をイメージした曲では哀愁を感じることができ、子犬をイメージして作った曲では、かわいい子犬がイメージでき、と、私の好きなジャズピアニストの木住野佳子さんと同じように、イメージの膨らむ曲が多かったと思います。
 病院の性格上、不規則発言をする方が多くいたり、まだ最後の曲ではないのにアンコールをねだったりと冷や汗をかく場面もありましたが、一人一人に丁寧に接していただき、かとうさんの人間性が伺えるミニコンサートでした。
 かとうかなこさんに興味を持った方は、彼女の公式ホームページがあるので、そちらをご覧ください。

上橋菜穂子『天と地の守り人・第三部』

2008-06-29 15:57:31 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'07年作品「天と地の守り人・第三部」を読みました。
 タルシュ軍はついに新ヨゴ領内に攻め入り、大勝します。その時、新ヨゴ軍に徴兵させられていたタンダは重傷を負います。バルサは村人に介抱されているタンダを探し当てますが、既にタンダの左腕は腐り始めていて生死の境をさまよい、バルサはタンダの左腕を斬り落とし、命を救おうとします。
 一方、チャグムはサンガルとロタの騎兵を従え、都に迫るタルシュ軍を追い、都を守る新ヨゴ軍と挟み撃ちにし、タルシュ軍に壊滅的な打撃を与えます。都に入ったチャグムは、これまでの戦況と都がまもなく大洪水に飲み込まれるので民を避難させてほしいと願いでますが、帝は好きにするがよい、と言い、自分は都に残る道を選びます。そして東側に回っていたタルシュ軍の本隊は、チャグムの親友であり、新ヨゴの星読博士見習いでもあるシュガの入れ知恵によって、平野に誘き寄せられ、都を飲み込んだ濁流に飲み込まれ、頭上からの矢の攻撃も受け、降伏します。大洪水の後、新しい帝になったチャグムは、新しい都の建設を始めるとともに、民主主義を夢見るシュガと、民を一番に考える政を行なう決心をします。タンダもバルサの献身的な看病のおかげで明るさを取り戻し、二人は一緒に暮らすことになります。

 「精霊の守り人」から始まったシリーズもこの本ももって大団円を迎えることとなりました。全10巻、長い道のりでした。最後にはチャグムは父を殺すことなく帝になり、民の幸福を第一に考える政を行なう決心をし、バルサは戦で左腕を失いながらも陽気な心を取り戻したタンダとともに暮らし、めでたしめでたし、という結末でしたが、シュガが最後に王制を否定し民主政治を夢見る部分で、このシリーズの底を流れていた思想が読み取れたような気がします。それにしてもこれだけの多くのキャラクターを書き分け、架空の地図も作り上げ、おのおののキャラクターが交錯しては別れ、また交錯するというこの大河小説を書いた上橋菜穂子という作家の仕事ぶりは、それこそ神から託されて仕事をしているのではないかと思えるほどの、素晴らしさでした。もし創作ノートのようなものがあれば、是非見てみたい気がします。'08年の6月の段階での最新刊は、このシリーズの登場人物を主人公にした短編集となっています。これから読むのが楽しみです。とにかく、上橋菜穂子さん、楽しい時間をありがとうございました!
 なお、詳しいあらすじは、「Favorite Novels」の「上橋菜穂子」のコーナーにアップしておきました。興味のある方は、ぜひご覧ください。


上橋菜穂子『天と地の守り人・第二部』

2008-06-28 15:39:16 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'07年の作品「天と地の守り人・第二部」を読みました。
 チャグムとバルサは苦労の末にカンバル王に会え、カンバル王国とロタ王国に同盟関係を結ばせることに成功します。そしてチャグムはカンバルの騎馬軍団を従え、ロタ王国を救いに出発します。しかしその一方で、何百年に1回というナユグ(異界)の春がきていて、春になると雪が大量に溶け、チャグムの故国・新ヨゴ皇国の都が水に飲まれてしまうことが分かり、その対策のためバルサは新ヨゴに急ぐことになります。
 この第二部では、チャグムとバルサがカンバル王に会うまでに出会う苦難の数々が書かれていて、非常にシンプルなストーリーになっています。果たしてチャグムの運命は、そしてバルサ、草兵として最前線に置かれているタンダたちはどうなっていくのでしょう。このシリーズの大団円を迎えるかもしれない第三部を読むのが今から楽しみです。

上橋菜穂子『天と地の守り人・第一部』

2008-06-27 15:47:34 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'06年作品「天と地と守り人・第一部」を読みました。
 南の大陸のタルシュ帝国は北の島国のサンガル王国を手に入れ、いよいよその北の大陸にある新ヨゴ皇国を攻略しようと考えます。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、タルシュ帝国の罠にはまり、捕虜となりますが、自国に帰って自国の帝を殺し、自らが帝になってタルシュ帝国の枝国(植民地)になる約束をタルシュ帝国の第二王子のラウルとし、母国に帰る船に乗ります。が、タルシュ帝国で捕虜となっている間に枝国になった国の悲惨な姿を見ていたチャグムは、ラウルとの約束を破り、母国の隣国のロタ王国とサンガル王国と同盟を結んでタルシュ帝国の侵攻を防ぐため、1人船から海に飛び込み、姿を消します。
 海に飛び込む前に、チャグムは旧友の女用心棒バルサと国での親友で宮にいるシュガに手紙を書き、バルサはチャグムを助けるために、チャグムを探しに行きます。港町でチャグムが持っていた宝石が取引されているのを知り、その宝石を奪った海賊から、チャグムがロタの大領主スーサンを訪ねるつもりだと言っていたことを聞きだします。バルサはスーサンの城の門衛から情報を聞き出そうとしていましたが、タルシュの第一王子とつながりがあるスーサンの兵隊に捕われそうになります。そこをタルシュの第二王子の密偵ヒュウゴに助けられます。ヒュウゴはタルシュの密偵だが、他の国を次々に攻略していくことはそろそろやめた方がいいという考えを持っていました。その点で、帝が独善的なチャグムの母国とではなく、北の大陸の他の国、ロタ王国とサンガル王国の同盟にチャグムに一役買ってもらい、タルシュの攻略を思いとどまらせたいと思っていました。その思いを話すと、バルサもタルシュに協力し、チャグムに早く会って、彼の身を守りたいと思います。しかし、ヒュウゴのアジトはロタ王のために働くカシャル〈猟犬〉に襲撃され、ヒュウゴとバルサは別れ別れになり、バルサはカシャルの頭領から、自分たちがチャグムをスーサンの城から逃亡させ、現在チャグムは、ロタの政務を仕切るイーハン王子のところへ、カシャル〈猟犬〉の護衛を受けて向かっていると聞き、バルサは一旦は安心します。が、その後ヒュウゴからの知らせで、タルシュの第一王子側がチャグムに刺客を放ったと聞き、バルサはチャグムを守るため、後を追います。イーハン王子のもとにバルサが着いた時には、既にチャグムは去った後だった。イーハン王子は新ヨゴとロタとの同盟を断ったという。チャグムはそれでは、とサンガル王に会いに向かったらしい。バルサが追い掛けると、刺客に捕らえられたチャグムに追い付き、死闘の末刺客を倒し、バルサとチャグムは共にサンガルへ向かうのであった、という話です。

 今回も政治の話が大半を占め、このシリーズの仲間との楽しい旅という要素はあまり見られなくなっています。特に国の政治に翻弄される民衆の悲惨さが強調され、政治の醜さ、冷酷さが描写されています。そうした世界の中で民の平和を願い、生涯を為政者として生きる決意をしたチャグムは最後になってようやく姿を現し、バルサとの最強タッグを組むところでこの小説は終わっています。チャグムの理想は現実のものになるのか、そしてそれが達成されるまでにどんな困難が待っているのか、楽しみです。また上のあらすじでは省略しましたが、バルサの親友の呪術師タンダも新ヨゴの草兵(徴兵された素人の兵士)に取られ、最前線に身を置いています。彼の今後も大注目です。

セルジオ・レオーネ監督『夕陽のギャングたち』

2008-06-26 16:08:01 | ノンジャンル
 WOWOWでセルジオ・レオーネ原案・脚本・監督の'71年作品「夕陽ギャングたち」を見ました。
 「革命とは、贅沢な食事でも言葉の遊びでもない、刺繍の模様でもない、優雅さと丁寧さをもってなされるものでもない。革命とは暴力行為なのだ」という毛沢東の言葉が字幕として示されて映画は始まります。メキシコの革命下、一家で山賊をしているファン(ロッド・スタイガー)は、オートバイで彼の脇の道路を通り抜けようとしたジョン(ジェームズ・コバーン)のオートバイを撃って彼を止まらせ、金品を奪おうとしますが、ジョンは全身に爆弾が取り付けてあるのを見せ「撃ったらお前たちも全員吹っ飛ぶぞ」と言い、オートバイを修理させます。ファンはジョンに一緒に組んで国立銀行を襲おうと言いますが、ジョンは若い頃の楽しい日々を回想し、ファンの申し出を拒否します。ちょっとしたスキにジョンに逃げられたファンは一家で町に出て、やっとジョンを探し出しますが、逆にジョンに革命家たちのアジトに連れて行かれ、革命軍一斉蜂起の日に、ジョンはファンの一家と国立銀行を襲撃することになります。念願叶ってファンは銀行の襲撃に成功したものの、地下に隠されていたのは政治犯ばかりで、金は一銭も見つからず仕舞い。騙したと言ってジョンにファンは怒りますが、150人の政治犯を解放した君は革命軍の英雄だとファンに言われ、ファンは革命なんてどうでもよく、俺にとっての国は家族で、金がとにかくほしいんだ、と言い、それを聞いたジョンはバクーニンの本を捨てます。それを拾った政府軍は革命軍を追い詰めて行き、一旦引くという革命軍に反して、ジョンは残って戦うと言い、ファンはジョンが金をネコババする気だと思い、一緒に残りますが、ジョンは本気で戦う気でした。そこへ戦車を戦闘にした政府軍が現れますが、2人は2台のマシンガンを撃ちまくり、橋を爆破して戦車らもやっつけ、政府軍をほぼ全滅させます。が、ファンの6人の家族も皆死んでしまい、ジョンが止めるのも聞かずファンは1人で復讐へ出向き、逆に政府軍に捕まってしまいます。リーダーが裏切り、多くの革命家たちが逮捕され、街角で銃殺されます。ファンも銃殺されそうになりますが、ファンに助けられます。政府軍による民衆の虐殺は続き、避難民で列車は満員に。その横でも銃殺が行なわれます。ジョンとファンは貨車に乗り込んでアメリカへの亡命を図ります。そして同じ列車にファンの家族を殺した政府軍の幹部も乗りました。革命軍が首都を制圧した、という新聞記事が映ります。列車は途中で革命軍の襲撃に会い、政府軍の幹部が貨車に逃げ込んで来たので、ジョンはファンに拳銃を渡し、ファンは幹部を殺して復讐を果たします。ファンは列車が止まってもアメリカに行くと言い、ジョンも共に革命軍の英雄として豪華列車でアメリカに行くことになりますが、1000人の政府軍を乗せた列車が正面からやってくると知らせが届き、100kgの爆薬と仲間を裏切った革命家のリーダーとともにジョンは機関車1台を走らせ、ジョンは衝突前に飛び降りますが、リーダーは列車に衝突し爆発する機関車と運命をともにします。衝突地点で政府軍と革命軍の銃撃戦となり、ジョンは撃たれ、昔の幸せだった日々を回想して、爆発に巻き込まれ死んでしまいます。残されたファンは茫然と立ち尽くす、という話です。

 革命の話なので、それなりに面白いのですが、ストーリーが長過ぎて段々イライラしてくるし、心理描写に凝り過ぎて冗長さも免れていないような気がしました。エンニオ・モリコーネの音楽も今一つですし、やはりどうしても「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」などと比べて勢いが落ちてるよなあ、と思ってしまいました。長い映画をのんびりと楽しみたい、という方にはオススメかも。