「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」('04)の続編で、北尾トロ氏の'07年作品「裁判長! これで執行猶予は甘くないすか」を読みました。裁判傍聴記で章は22に分かれ、それぞれの章で一つ、または複数の裁判傍聴記が掲載されていて、傍聴マニアである阿蘇山大噴火氏とダンディー氏との対談も載せられています。
笑えるものには、まず高裁で、窃盗で捕まり執行猶予を受けた帰り、スーパーで缶コーヒー2本を万引き、一審判決8ヶ月が思すぎると控訴した32才の男。これが豪快に泣いて「やったことは認めますが(ズズッ)、もうちょい短くなれば、ム、ムショはつらいんで‥‥く、くく」。執行猶予をくらった直後に万引き。この時点で同情の余地なし。そしてムショの暮らしがつらいんで、と泣く情けなさ。とりあえず笑っておきましょう、という感じでしょうか?
あと、傍聴マニアの芸人・阿蘇山大噴火氏と北尾トロ氏との対談で、検察官に美人がおおいという話の中で、阿蘇山氏が「でも質問するときにケツ振りながらする人、いるすよ」という話も、そこに注目する方もする方だけど、ケツ振る方も振る方だなあ、と笑えました。
いい話というのもあって、夫婦で子連れで駆落ちしたのはいいが、夫の仕事が見つからず、妻が働いて家計を支えていたが、子供も小学校にあがる年になり、妻の働き口もつぶれ、生活費にも事欠くようになって、夫が妻には内緒で空き巣狙いを始めて御用となった事件。やった犯罪が25件で被害総額100万円ぐらい。初犯。常習犯のため実刑も覚悟しなければならないケースですが、ポイントは被害者への弁償など、示談がすんでいるので、社会に復帰したとき、同じことを繰り返さないためにも、仕事のアテがあるかどうかなのだそうです。そこへ証人としておばちゃん登場! この人は工務店の社長で、職を探していた夫を、以前に面接したのだが、その時はたまたまやってもらう仕事がなかったので断ったらしい。しかし付き添って来ていた奥さんが、娘が小学校に上がるがパリッとした服もないので入学式は休ませようかと言うのを聞き、知人から服を借りて届けたのだそうです。そしてどこかで就職したと思っていたところに逮捕の知らせ。驚いて奥さんに連絡を取り、米を差し入れたりして面倒を見てきて、住居も、以前娘が住んでいた家賃3万円のアパートへ、自分が保証人になって引っ越しさせたらしい。米を差し入れた時に、子供は「おかあさん、明日、ごはん食べられるね」と言ったと言います。北尾氏はここで泣いてしまいます。執行猶予になれば、自分が被告を雇い、悪いことを言いふらす人がいたって気にしません、と毅然といい、「どうして、そこまで面倒を見ようとするのですか」と言う検察官の問いに「そうしたいんです」ときっぱり。世の中、こんな優しく強い人がまだいるんだなあ、とほろり、というか感動した裁判でした。
逆に読んでて呆れたのは、罪悪感の全く無い準強姦(意識のない女性を強姦すること)罪のウーパーフリーの男。女性をものとしか見ない、女性の人格など全然考えない、どうしようもない人間。でもこれは氷山の一角で、そういう男は山ほどいるような気もします。
その他にもやる気のない裁判官の話や、取り調べでねつ造したと思われる自白について警官を責め立てる弁護人の頼もしさとか、読みごたえ満点の本でした。裁判員制度が来年から始まりますが、その前に読んでおきたい本だと思います。文句なしにオススメです。
笑えるものには、まず高裁で、窃盗で捕まり執行猶予を受けた帰り、スーパーで缶コーヒー2本を万引き、一審判決8ヶ月が思すぎると控訴した32才の男。これが豪快に泣いて「やったことは認めますが(ズズッ)、もうちょい短くなれば、ム、ムショはつらいんで‥‥く、くく」。執行猶予をくらった直後に万引き。この時点で同情の余地なし。そしてムショの暮らしがつらいんで、と泣く情けなさ。とりあえず笑っておきましょう、という感じでしょうか?
あと、傍聴マニアの芸人・阿蘇山大噴火氏と北尾トロ氏との対談で、検察官に美人がおおいという話の中で、阿蘇山氏が「でも質問するときにケツ振りながらする人、いるすよ」という話も、そこに注目する方もする方だけど、ケツ振る方も振る方だなあ、と笑えました。
いい話というのもあって、夫婦で子連れで駆落ちしたのはいいが、夫の仕事が見つからず、妻が働いて家計を支えていたが、子供も小学校にあがる年になり、妻の働き口もつぶれ、生活費にも事欠くようになって、夫が妻には内緒で空き巣狙いを始めて御用となった事件。やった犯罪が25件で被害総額100万円ぐらい。初犯。常習犯のため実刑も覚悟しなければならないケースですが、ポイントは被害者への弁償など、示談がすんでいるので、社会に復帰したとき、同じことを繰り返さないためにも、仕事のアテがあるかどうかなのだそうです。そこへ証人としておばちゃん登場! この人は工務店の社長で、職を探していた夫を、以前に面接したのだが、その時はたまたまやってもらう仕事がなかったので断ったらしい。しかし付き添って来ていた奥さんが、娘が小学校に上がるがパリッとした服もないので入学式は休ませようかと言うのを聞き、知人から服を借りて届けたのだそうです。そしてどこかで就職したと思っていたところに逮捕の知らせ。驚いて奥さんに連絡を取り、米を差し入れたりして面倒を見てきて、住居も、以前娘が住んでいた家賃3万円のアパートへ、自分が保証人になって引っ越しさせたらしい。米を差し入れた時に、子供は「おかあさん、明日、ごはん食べられるね」と言ったと言います。北尾氏はここで泣いてしまいます。執行猶予になれば、自分が被告を雇い、悪いことを言いふらす人がいたって気にしません、と毅然といい、「どうして、そこまで面倒を見ようとするのですか」と言う検察官の問いに「そうしたいんです」ときっぱり。世の中、こんな優しく強い人がまだいるんだなあ、とほろり、というか感動した裁判でした。
逆に読んでて呆れたのは、罪悪感の全く無い準強姦(意識のない女性を強姦すること)罪のウーパーフリーの男。女性をものとしか見ない、女性の人格など全然考えない、どうしようもない人間。でもこれは氷山の一角で、そういう男は山ほどいるような気もします。
その他にもやる気のない裁判官の話や、取り調べでねつ造したと思われる自白について警官を責め立てる弁護人の頼もしさとか、読みごたえ満点の本でした。裁判員制度が来年から始まりますが、その前に読んでおきたい本だと思います。文句なしにオススメです。