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リヴァイアサン

2006-05-31 20:12:16 | ノンジャンル
 「ムーン・パレス」「偶然の音楽」に続くポール・オースターの小説「リヴァイアサン」を読みました。
 一人の男が道端で爆死します。自分で爆弾を作っている最中に誤爆したらしい、ということが分かります。著者はこの男の正体がFBIによって明らかになる前に、この男の真実の話を書いて世間に発表する決心をします。
 ということで、著者とこの男の出会いの話から始まるのですが、主要人物が少なくとも5人いて、それぞれが自分の物語を持ち、またその物語がそれぞれ関連しあって話が進むので、単に男の謎解きのための小説というよりも、ある種の大河ドラマ的様相を呈してくる小説です。
 登場人物が皆魅力的なキャラクターで、それだけでも楽しめますし、またそれぞれの人物の起こす行動も非常に面白く、また説得力があり、ナマの「人間」が描けていると思います。
 映像が頭に浮かぶようなシーンもあって、オースターが映画の製作にも踏み込んでいったのが分かるような気もしました。
 「ムーン・パレス」にも劣らない魅力的な小説だと思います。未読の方がいらっしゃったら、無条件にオススメです。

木住野佳子のニューアルバム

2006-05-30 16:36:21 | ノンジャンル
 5月24日にリリースされた木住野佳子さんのニューアルバム「ボッサ・ノスタルジア」を今日ゲットしました。
 題名からも分かるように、全曲ボサノバ調のアレンジがされていて、全12曲中、オリジナル曲が7曲、それ以外はすべてアントニオ・カルロス・ジョビンの曲です。
 ストリングスを効果的に使っていて、ギターとピアノだけの曲もあり、いろいろ冒険してます。どれも素直に耳に入ってくる曲ばかりで、逆にいうとちょっとパンチに欠けているともいえますが、「この夏をクールにすごすための一枚」という売り文句には忠実と言えるでしょう。
 私が思うに、今回のアルバムの最大の成功は、ジャケット写真です。今までは変にクールにしてみたり、変に寂し気にしてみたり、逆に「シエスタ」の時は変に明るくしてみたり、と彼女の素顔がちゃんと表現されていなかったと思うのですが、今回のアルバムの彼女の写真はどれも自然体で撮られていて、ライヴで見る木住野さんの姿を伺える写真になっていると思いました。
 木住野さんのファン、あるいはまだ木住野佳子は知らないけれどビル・エヴァンスは好きだと言う方、オススメです。

リトル・ブッダ

2006-05-29 16:51:01 | ノンジャンル
 WOWOWでベルナルド・ベルトルッチ監督'93年作品「リトル・ブッダ」を見ました。
 チベット仏教の高僧が死に、その生まれ変わりの候補にシアトルに住む建築士の子供が選ばれます。始めは相手にしなかった父は同僚の不慮の死をきっかけに、息子をネパールへ連れていく決心をします。そこには、やはり生まれ変わりの候補の子供二人がいて、彼らがチベット仏教に関わっていく様子が語られるのと平行して、ブッダがどのようにして悟りを開いていったのかの過程も語られていく、というものです。ブッダはどっかキアヌ・リーブスに似てるなあ、と思ってたら、やっぱり本人でした。
 スタッフは、撮影がヴィットリオ・ストラーロ、音楽が坂本龍一、製作がジェレミー・トーマスと、「ラスト・エンペラー」と同じスタッフ。ストラーロ独特の光と色、坂本龍一の美しい音楽が楽しめました。難解な映画ではないので、まだ見ていない方オススメです。

偶然の音楽

2006-05-28 16:54:00 | ノンジャンル
 「最後の物たちの国で」に引き続き、ポール・オースターの次作の「偶然の音楽」も読みました。これも、とても楽しく読めました。
 離婚し、一人娘も姉の家に預けて一人暮らしをしている消防士のところへ、ある日突然弁護士が現れ、幼少時に家を去って音信不通だった父が死んで40万ドルの遺産が手に入ったことを告げられます。とまどう主人公はとりあえず新車を買い、娘を引き取りに姉の家へ向かうのですが、‥‥。
 突然大金を手にした人がどういう行動に出るのか、この本を読んでるとそんな使い方もあるなあ、と思わせますし、その後の思わぬ展開も読んでいてのめり込める説得力があります。出てくるエピソードも面白いし、読み終わるとすぐに次のオースターの小説を読みたくなります。
(小説の詳細はまた「Favorite Novels」の「ポール・オースター」の項に掲載しましたので、そちらをご覧ください。)
 それにしても、処女作から「幽霊たち」までの3册のつまらなさは何だったんでしょう? 「最後の物たちの国で」以降の3冊の面白さが圧倒的なだけに謎です。もしかしたら、この二つのグループにはさまれた「鍵のかかった部屋」にその謎を解くヒントが隠されているのかもしれません。明日、さっそく入手したいと思います。

誰も知らない

2006-05-27 20:34:00 | ノンジャンル
 是枝裕和監督の「誰も知らない」('04)をWOWOWで見ました。カンヌ映画祭で14歳の柳楽優弥君が主演男優賞を受賞して話題になった映画です。
 YOU演じる母親と14歳ぐらいの長男明が引っ越しの挨拶をアパートのご近所さんにしています。家に帰ると、ボストンバッグの中から7歳ほどの次男のシゲルと5歳ほどの末っ子のユキが出てきます。また近所で待機していた12歳ぐらいの長女京子もやってきます。彼らは施設送りになって兄弟姉妹がバラバラになるのを怖れて隠れて暮らしているのです。仕事のある母に代わり、料理は明が、洗濯は京子がし、行きたい学校にも行けません。周囲を気にして京子は好きなピアノも弾けず、シゲルとユキはベランダに出るのも禁止です。
 母は前触れもなく数カ月帰ってこないことがあり、その間明は母の仕送りで生活のやりくりをします。が、クリスマスには帰るとまた出ていった母は、とうとう帰って来なくなります。仕送りも途絶え、生活費も底をつき、電気・水道が止められます。4人はついに外に出ることを決意し、公園の水をバケツで運び、洗濯も公園でし、食料は親しくなったコンビニの店員さんから正味期限切れのものをもらうようになります。また、イジメで登校拒否になっている女子高生と仲良くなり、家にも出入りするようになりますが、そんな折りユキが椅子から落ちて死んでしまいます。女子高生と明はユキの死体をボストンバッグにつめ、飛行機を見せてやりたいという思いで、羽田の滑走路付近に埋めてやります。久しぶりに来た母からの仕送りには、「明、みんなをよろしくね」という無邪気な言葉がいつものように書いてありました。
 という話なのですが、家の中の子供たちの描写がほとんどドキュメンタリーで、羽仁進の名前を思い出したりしました。みんなほとんど地で演じてる感じで、YOUも鼻に付くことなく、ユキのかわいさにノックダウン状態になりました。2時間20分という長い映画なのですが、何とか乗り越えることもでき、是枝監督作品は過去のものも含めてこれから見ていこうかな、と思っています。