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マルセル・カルネ監督『愛人ジュリエット』

2009-05-10 14:59:00 | ノンジャンル
 「山田宏一のフランス映画誌」の文章に触発されて、ビデオでマルセル・カルネ監督の'51年作品「愛人ジュリエット」を見ました。
 「牢獄の男が恋人の夢を見る」「夢は彼を“忘却の国”へ導く」「目覚めて釈放されるが、現実に失望し再び夢に逃げる」の字幕。ミッシェル(ジェラール・フィリップ)は留置場の中でジュリエット(シュザンヌ・クルーチエ)を思って眠れませんが、隣の男に夢の中で娑婆に出ろと助言されます。しばらくすると扉が開いてそこから光が射し、外は山で丘の上に村が見えます。村に着くと駐在から村人たちにジュリエットを知らないか尋ねてもらいますが、村人は皆記憶を失っていています。そのうちに駐在は白いドレスを着たジュリエットに出会いますが、彼女はミッシェルに会うのをためらいます。ミッシェルはアコーディオン弾きからここが記憶喪失者の村だと教えられますが、そこへ男が来て逮捕されてしまい、男は自分の記憶を取り戻すためにジュリエットとのことを尋問します。一方ジュリエットは馬車で領主の元に連れていかれ、これからは自分の奥方だと言われますが、誰かが訪ねてきた物音がすると部屋に閉じ込められてしまいます。やって来たのは男から逃れて来たミッシェルで、領主は自分が歴史上で何かをしたのだが思い出せず、すべての歴史書を読んだ話をし、自分が誰か教えろとミッシェルに迫りますが、ミッシェルは扉を叩く音に導かれてジュリエットを探しに行きます。ジュリエットを見失った彼は、森の中で踊る村人たちのところへたどり着き、再び会ったアコーディオン弾きに彼女のことを忘れろと言われます。森に入り込み磁石を見て前を見ると、そこにはジュリエットがいました。彼女は彼の記憶を取り戻します。ガラクタを売る記憶売りがやってくると、ジュリエットはありもしない記憶のために世界の写真集を欲しがりますが、ミッシェルは彼女のために店の売り上げ金を盗んで捕まったために外国へは行けかったと話します。彼がわずかに離れている間に彼女は領主に見つかり、連れていかれてしまいます。領主は様々な衣装を彼女に見せて彼女の思い出を作り出し、彼女に請われて開けた鍵のついた扉の中の衣装に、彼女は魅了されます。ミッシェルは村人を率いて城に乗り込み、血のついた6つの衣装と最後の空の戸棚を見つけます。領主とジュリエットが結婚式を行なっているところへ駆けつけたミッシェルは、領主が青髭だと告発しますが、村人たちは皆先程の記憶を失っていて、結婚式を邪魔する彼を運び出そうとします。彼は何とかジュリエットに記憶を取り戻させることに成功しますが、そこにベルが鳴り響き、彼は留置場の中で目を覚まします。彼は絶望しますが、すぐに告訴が取り下げられたことを知らされ、夢の中で領主だった元雇い主はジュリエットが事情を話してくれたからだと言います。釈放されたミッシェルはジュリエットの部屋に忍び込み、彼女に会いますが、新しい彼女が出来たと言って去ります。追いかけるジュリエットを振り切った彼は絶望しますが、「あなたを見つけた」というジュリエットの声がする「危険 立入禁止」と書かれた扉を開けると光が差し込み、また丘の上の村に向かって彼は歩いていくのでした。
 冒頭の留置場の中から外に出る場面の夢幻的な美しさ、とてもセットとは思えないアレクサンドル・トローネルによる森の装置などなど、見ごたえ十分でした。こうした寓話的な話ではジェラール・フィリップの魅力が更に輝きを増すと思います。映画好きの方なら文句無しにオススメです。