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ジョン・フォードの命日

2006-08-31 17:06:59 | ノンジャンル
 本日、8月31日は、映画監督ジョン・フォードの33回目の命日です。
 戦前・戦中派の方たちなら、西部劇の神様としてジョン・フォードの名前を聞いたことがあると思いますが、現在の若い人たちには見知らぬ名前かもしれません。
 大平洋戦争が始まる直前の1940年、淀川長治さんが日本の題名をつけられ、宣伝に携わった「駅馬車」が空前のヒットとなり、これがきっかけでジョン・フォードの名前は日本国民の間に広く知れ渡ることになりました。
 戦後、アメリカ映画が解禁になり、戦時中に輸入されなかったアメリカ映画が一気に日本に輸入され、その面白さに国民がこぞって酔っていた時、「怒りの葡萄」で社会問題を扱い、アカデミー賞受賞作「わが谷は緑なりき」では家族愛を描き、「荒野の決闘」や騎兵隊三部作で西部劇の面白さを堪能させ、アカデミー賞受賞作「静かなる男」で男の友情を描き、「捜索者」で人種差別を超えた人間愛を示し、「シャイアン」でインディアンの悲劇を描き、71年にはベトナム戦争のドキュメンタリーも撮ったという人です。
 1917年から映画を撮り始めた人で、サイレント映画から出発し、'34年に私の大好きな「プリースト判事」を撮るまでにすでに75本もの映画を撮るというキャリアの持ち主でした。アメリカやフランスでは今でも映画の神様としてのステイタスは確立しています。
 私の個人的な思い出を語らせてもらえば、大学生の夏休みだった時、毎日のように京橋のフィルムセンターで行われていた「ジョン・フォード」特集に通いつめ、映画が終わると、暑さが静まりつつあるビル街に友人達と降り立ち、映画の余韻に浸りながら生ビールを飲みに行ったことが忍ばれます。特に「若き日のリンカーン」の日は、友人の一人がこの映画のラストで流れる「ごんべえさんの赤ちゃんがかぜひいた~」のメロディーを口ずさんで、皆が合唱しながら帰ったという幸福な記憶もあります。
 ジョン・フォードに関しては「Favorite Movies」でも扱っています。彼の映画を知らなかった方、DVDで多くの作品が発売されていると思うので、ぜひご覧になってください。


父の認知症に対処するために

2006-08-30 16:47:38 | ノンジャンル
 今日はちょっと個人的なことを書きます。
 この1~2週間ほど、父の認知症が急速に悪化しています。以前は同じことを何度も聞いたり、といった程度だったのが、最近は、死んだ親戚が今いたのにどこに行ったのか、とか、死んだ親戚が今大変なことになっているんで、田舎に電話しないと、とかいうことを一日中話して母を困らせたり、朝起きると「ここはどこだ?」と必ず聞いたり、母の姿が少しでも見えなくなると、そこら辺をうろうろと歩き回って捜しまわったり、という状態で、これが夜中の1時、2時まで続くこともあって、母が参ってきています。
 疲労困憊した母が東京に嫁いだ妹を呼んだところ、彼女が認知症に関する本を3册買ってきてくれて、対処法を教えてくれました。訳の分からないことを言い出したときには、正論で反論するのはよくないのだそうです。あくまで相手に話を合わせてやるのがいいそうです。例えば、「さっきまでいた姉の○○はどこに行ったのか?」と言ったら、「○○さんはもう何十年も前に死んでるじゃないの」などと言わず、「さっき田舎に帰ったわよ」といった感じで適当に話を合わせるといいというのですね。うちの母は真面目で、つい正論で相手を追い詰めるところがあるので、それだと本人を苦しめることになるのだそうです。またうちの父など特にそうなのですが、認知症になってもプライドはある訳で、自分の言っていることを真っ向から否定されると、この点でも本人はストレスがたまるのだそうです。
 妹の買ってきてくれた本の話を読んで、どこまで母と私が実行できるかは分かりませんが、少しでも本人の気持ちが安らかになり、我々もストレスがたまらないようになることを祈るのみです。
 同じ悩みを抱えている方、多くいらっしゃると思いますが、妹に言わせると認知症にどう立ち向かうか、に関する本は飛躍的に出版が増えているそうです。本屋でそういう本を探すのもいいかもしれません。

日本でオリンピック?

2006-08-29 18:00:36 | ノンジャンル
 毎週月曜深夜0時からNHK・BS2で「コンバット」が放映されている話は以前したと思いますが、昨日のは開巻早々サンダース軍曹の小隊が捕虜になってしまうという異色の展開でした。ドイツ親衛隊の知的で冷酷な将校を、フェリーニの「道」で印象的だったリチャード・ベイスハートが演じ、これはキャストのロールには出ていませんでしたが、先に捕虜になった小隊長を、「荒野の七人」などに出演していた名脇役クロード・エイキンズが演じていました。今回は2話完結というのも珍しく、来週が楽しみです。

 ところで、今日の朝日新聞の朝刊に、朝日新聞の行ったアンケートで「日本でオリンピックを開催してほしい」と答えた人が、どの年代でも5割を越していたと載っていました。逆に「日本で開催してほしくない」と答えた人は30%だったということでした。
 正直言って驚きました。東京オリンピックのことを思い出してください。あのために新幹線が作られ、首都高速が作られ、町並みの近代化が図られ、莫大な資金が投入されました。今回また日本でオリンピックが開かれたら、どれだけの資金が投入されるのでしょう? また作った競技施設の維持費はどうするのでしょう? 国も自治体も財政が火の車の現状を考えれば、オリンピックを日本で開くなんて夢のまた夢なんじゃないでしょうか?
 トリノオリンピックが終わって日が浅いので、あのオリンピックの華やかさばかりに目がいって、その弊害がすっかり忘れさられているのではないですか? 何かオリンピックが来れば、それだけマネーチャンスがあると単純に考えている人も多いような気もします。新しい施設を何もつくらなくてもオリンピックを開ける都市、必要な資本投下がなるべく少ない都市を選ぶべきだと思います。そのためには、日本はまったくふさわしく無いと思いますが、いかがでしょうか?

平安寿子『Bランクの恋人』

2006-08-28 17:05:07 | ノンジャンル
 優香さんが推薦していた平安寿子さんの「Bランクの恋人」を読みました。全7話の短編からなっています。
 第一話「Bランクの恋人」は、女性にモテる技を身につけている主人公が、合コンを頼まれるようになってから評判になり、自分がつきあっている女性からも合コンを頼まれるようになってしまう話、第二話「アイラブユーならお任せを」は、活動的な妻を持ち、小さい頃から「愛してる」という言葉を言い続けることが恋を成就させることだと父から教え込まれてきた主人公が、店員の若者が恋した薬局の出戻りの女性との恋のかけはしをするという話、第三話「サイド・バイ・サイド」は、結婚願望は強いが責任感の強さでバリバリのキャリアウーマンとなってしまった42才の女性が、DVから守るという理由でミナという女性を知り合いの男性から預かることになりますが、片付けも家事もできないミナに振り回され、暴力男を撃退した後、ミナとともに引っ越して彼女の生活力を教え始めることになる話、第四話「はずれっ子コレクター」は、誰からももてない男の子を恋人にしていく35才の小学校の音楽教師に、はずれっ子の一人を紹介してもらう女性の話、第五話「ハッピーな遺伝子」は、普段はラーメン屋を営んでいるが、たまに自称ミュージシャンでバーコード禿げにアフロヘアのカツラをかぶりドラマーに変身する父、離婚してヨガ教室、リフレクソロジーと商売の幅を広げつつある母、そして27才にして初恋をする娘の話、第六話「利息つきの愛」は、塾教師に恋してしまうゲイと彼のゲイ友だちの話、第七話「サンクス・フォー・ザ・メモリー」は、嫁に来て、亡くなった義父の介護をしてきた亜希が、市会議員をやりプライドが高く自分勝手な長女のあまりの横暴さに激怒し、義父から感謝された時に教えられた「サンクス・フォー・ザ・メモリー」の歌を心の中で大事に守っていこう、という話。
 第二話などに、ここには書けなかったいいエピソードが結構あるのですが、同著者の「くうねるところすむところ」と同じく、性格のきつい女性、計算高い男性がここでも多く出てきます。私はそこがネックになってこの著者の小説はどうしても心から好きになれないのですが、みなさんはどうでしょうか?

山田詠美『アニマル・ロジック』

2006-08-27 16:34:39 | ノンジャンル
 山田詠美さんの「アニマル・ロジック」をやっと読み終わりました。単行本で373ページ、本の厚さは4cmという大作です。
 主人公はヤスミンという女性で、多くの男性、女性と関わり、様々な人間模様が展開していきます。そしてこの小説の変っているところは、語り部が、ヤスミンの血液の中に住み、ヤスミンの心の中にある自由を糧にして生きている不思議な生物であることです。彼はヤスミンの行動描写、真理描写をし、物語りを組み立てて行きます。
 そして物語りの中盤になると、この生物と同種の生物がヤスミンの体に入ってきます。当初、自分のような生物は自分しかいない、と思い込んでいたこの生物は、新たに入り込んできた生物にとまどいますが、やがてそれと同居することを受け入れ、次第に自分がオスで、新たに入ってきたのがメスだということに気付きます。そして生殖器もお互いの頭のてっぺんにあることに気付き、彼女の望みに従って、生殖行為をし、体の弱った彼女は別の人間の肉体に移って行きます。
 この頃から、クラブなどで突然死する人が頻発するようになります。そして、ある日自分の息子だという生物がヤスミンの体に移って来て、父に、母が死んだこと、突然死の原因は自分たちのように血液中に住む自由を破壊して生きている悪玉生物がフンで心臓の血管を塞ぐことによるものであることを教えます。そして、しばらくしてとうとうヤスミンの血液の中にも悪玉生物が入って来て、心臓を止めようと活動を始めます。語り部の生物はフンをかき出しますが、間に合いません。そしてヤスミンは最愛の少年に看取られながら、死んで行きます。
 と、ここでは生物の話が大半を占めてしまいましたが、もちろん本文ではヤスミンとその人間関係の描写が大半を占めます。そして、この小説の大きなテーマは人種差別です。新たな登場人物が現れる度にこの問題が話題になり、ニューヨーカーはこれを常に考えて生きていることが分かります。
 大作ですが、読みごたえはあります。時間のある方、チャレンジしてみたらいかがでしょうか?