昨日、「あつぎ市民発電所」第2回通常総会&記念講演会に参加してきました。その中でも「若い人に農業を始めてもらう」プロジェクトや、長野県上田市でソーラーパネル「相乗り君発電所」の設置を推進する藤川まゆみさんの「気候変動を止めるため、ソーラー化は待ったなし。まず市民が声を上げ、コンパクトシティを目指す」という話が特に印象に残りました。(詳しい内容は、FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)をご覧ください。)
さて、また昨日の続きです。
わたしたちは1958年万国博覧会に三日間滞在する計画だったが、二日めの途中で最後の聖書を配り終えた。(中略)今後連絡を取り合うことは、許されていない。ふたりの神父がどこへ向かうのかも知らなかった。ただ、わたしは翌日ハーグ行きの列車に乗り、ハーグで管理官(ハンドラアー)と会って、次の任務の説明を受けることになっていた。
東 1958年9月~10月
第二十二章 雲に住む者 受賞者
(中略)ひとりの訪問者がやってきて、ボリスは鍬を白樺の木に立てかける。
「友よ」訪問者はそう言い、柵越しにボリスに片手をさし出す。
「我が手に?」ボリスが尋ねる。
訪問者はうなずき、ボリスに続いて家へ入る。(中略)訪問者はリュックサックをあけ、青いリネン装丁のままの本をその作者の前に置く。(中略)目に涙があふれる。「我が手に」彼はまた言う。
訪問者はふたつめの土産を取り出す━━ウォッカの瓶だ。「乾杯するかね?」
「これを本にしたのは?」ボリスが尋ねる。
訪問者は自分用に酒を注ぐ。「アメリカ人たちだと聞いている」(中略)
ボリスは朝の散歩に出かける。(中略)だれかが彼の名前を大声で呼び、そこに集まっていた人々が大型の哺乳動物さながらこちらへ向かってくる。柵に座っていた若者が飛び下り、真っ先に彼のところへやってくる。そして、メモ帳を取り出し、ペンを持ってかまえる。「あなたの受賞が決まりました」若者が言う。「あなたのノーベル文学賞受賞が決まったんです。〈プラウダ〉にいまのお気持ちを」(中略)
ボリスは遠くからオリガの赤いスカーフに気づき、心が軽くなる。(中略)『ドクトル・ジバゴ』が外国で出版されてからというもの、髪を巻いたり、宝石を身につけたりもしない。おそらく、もう目立ちたくないのだ。(中略)
「これはいいことだよ」ボリスは言う。「我々は祝うべきだ。彼らは我々に手出しできないだろう。世界中から注目されることになるのだから」
「そうね」オリガはそう言い、墓地を見渡す。「みんなが見張ってるわ」(中略)
西 1958年10月~12月
第二十三章 ツバメ 情報提供者
(中略)
「ボリス・パステルナークがノーベル文学賞を受賞と」
「なら、本の売り上げが急増するわね」あたしは言った。「あなたは読んだ?」
「もちろん!」
だれもがそれを読んでいた。(中略)
パリに到着したその日、あたしはホテル・ルテシアにチェックインした━━サリー・フォレスターやサリー・フォレッリ、あるいはこれまでに使ったことのあるどの名前でもなく、レノーア・ミラーという新しい名前で。それから、〈サラのドライクリーニング店〉宛ての手紙をまばゆい黄色の郵便ポストに投函した。その手紙には、ベイルートでのヘンリーの居所と、西欧諸国に好意的でシハーブ支持のメッセージを放送するラジオ局設立に協力するという、彼の新しい任務に関する詳細が含まれていた。(中略)
べヴだけには、あたしが国外に出ることを知らせた。(中略)
ワシントンですごす最後の晩、あたしはレコードをかけ、スーツケースを取り出しながら、まだ行く先を決めかねていた。(中略)イリーナにあげようと思っていたエッフェル塔の版画が、まだ包肉用紙に包まれて赤い紐で結わえてあるままなのを見つけて、ようやく、心が決まった。
彼らはバラを使ってメッセージを送ってきた。(中略)
数週間がすぎた。(中略)
毎日に規則正しいリズムを与えるため、あたしは『ドクトル・ジバゴ』を探してセーヌ川沿いのあらゆる書店、本を扱う露店、図書館、古本屋に足を運びはじめた。読みたいと思いながら、あたしはまだ実行に移していなかった。(中略)
やがてお金がなくなり、あたしは『ドクトル・ジバゴ』を一冊ずつ返品しはじめた。そんなとき、ル・ミストラル書店で列に並んでいると、だれかに軽く肩を叩かれた。(中略)
「彼はベイルートのホテルにウィンストンという名前でチェックインしたわ。あなたが言っていたとおりに。それから一時間以内に、彼はまたそのホテルからチェックアウトした━━我々のベルボーイふたりが手を貸して」女はちょっと間を置いた。「わたしたち、あなたが知りたいんじゃないかと思って」(中略)
ホテルの部屋に戻ると、枯れたバラが真新しい花束と交換されていた。(中略)
あたしは二重スパイを見つけ出すよう訓練された。(中略)
(また明日へ続きます……)
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)
さて、また昨日の続きです。
わたしたちは1958年万国博覧会に三日間滞在する計画だったが、二日めの途中で最後の聖書を配り終えた。(中略)今後連絡を取り合うことは、許されていない。ふたりの神父がどこへ向かうのかも知らなかった。ただ、わたしは翌日ハーグ行きの列車に乗り、ハーグで管理官(ハンドラアー)と会って、次の任務の説明を受けることになっていた。
東 1958年9月~10月
第二十二章 雲に住む者 受賞者
(中略)ひとりの訪問者がやってきて、ボリスは鍬を白樺の木に立てかける。
「友よ」訪問者はそう言い、柵越しにボリスに片手をさし出す。
「我が手に?」ボリスが尋ねる。
訪問者はうなずき、ボリスに続いて家へ入る。(中略)訪問者はリュックサックをあけ、青いリネン装丁のままの本をその作者の前に置く。(中略)目に涙があふれる。「我が手に」彼はまた言う。
訪問者はふたつめの土産を取り出す━━ウォッカの瓶だ。「乾杯するかね?」
「これを本にしたのは?」ボリスが尋ねる。
訪問者は自分用に酒を注ぐ。「アメリカ人たちだと聞いている」(中略)
ボリスは朝の散歩に出かける。(中略)だれかが彼の名前を大声で呼び、そこに集まっていた人々が大型の哺乳動物さながらこちらへ向かってくる。柵に座っていた若者が飛び下り、真っ先に彼のところへやってくる。そして、メモ帳を取り出し、ペンを持ってかまえる。「あなたの受賞が決まりました」若者が言う。「あなたのノーベル文学賞受賞が決まったんです。〈プラウダ〉にいまのお気持ちを」(中略)
ボリスは遠くからオリガの赤いスカーフに気づき、心が軽くなる。(中略)『ドクトル・ジバゴ』が外国で出版されてからというもの、髪を巻いたり、宝石を身につけたりもしない。おそらく、もう目立ちたくないのだ。(中略)
「これはいいことだよ」ボリスは言う。「我々は祝うべきだ。彼らは我々に手出しできないだろう。世界中から注目されることになるのだから」
「そうね」オリガはそう言い、墓地を見渡す。「みんなが見張ってるわ」(中略)
西 1958年10月~12月
第二十三章 ツバメ 情報提供者
(中略)
「ボリス・パステルナークがノーベル文学賞を受賞と」
「なら、本の売り上げが急増するわね」あたしは言った。「あなたは読んだ?」
「もちろん!」
だれもがそれを読んでいた。(中略)
パリに到着したその日、あたしはホテル・ルテシアにチェックインした━━サリー・フォレスターやサリー・フォレッリ、あるいはこれまでに使ったことのあるどの名前でもなく、レノーア・ミラーという新しい名前で。それから、〈サラのドライクリーニング店〉宛ての手紙をまばゆい黄色の郵便ポストに投函した。その手紙には、ベイルートでのヘンリーの居所と、西欧諸国に好意的でシハーブ支持のメッセージを放送するラジオ局設立に協力するという、彼の新しい任務に関する詳細が含まれていた。(中略)
べヴだけには、あたしが国外に出ることを知らせた。(中略)
ワシントンですごす最後の晩、あたしはレコードをかけ、スーツケースを取り出しながら、まだ行く先を決めかねていた。(中略)イリーナにあげようと思っていたエッフェル塔の版画が、まだ包肉用紙に包まれて赤い紐で結わえてあるままなのを見つけて、ようやく、心が決まった。
彼らはバラを使ってメッセージを送ってきた。(中略)
数週間がすぎた。(中略)
毎日に規則正しいリズムを与えるため、あたしは『ドクトル・ジバゴ』を探してセーヌ川沿いのあらゆる書店、本を扱う露店、図書館、古本屋に足を運びはじめた。読みたいと思いながら、あたしはまだ実行に移していなかった。(中略)
やがてお金がなくなり、あたしは『ドクトル・ジバゴ』を一冊ずつ返品しはじめた。そんなとき、ル・ミストラル書店で列に並んでいると、だれかに軽く肩を叩かれた。(中略)
「彼はベイルートのホテルにウィンストンという名前でチェックインしたわ。あなたが言っていたとおりに。それから一時間以内に、彼はまたそのホテルからチェックアウトした━━我々のベルボーイふたりが手を貸して」女はちょっと間を置いた。「わたしたち、あなたが知りたいんじゃないかと思って」(中略)
ホテルの部屋に戻ると、枯れたバラが真新しい花束と交換されていた。(中略)
あたしは二重スパイを見つけ出すよう訓練された。(中略)
(また明日へ続きます……)
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