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矢崎仁司監督『さくら』その2

2022-12-27 07:05:10 | 日記
 昨日の続きです。

「美貴にはやっと、初めて仲の良い友だちができました。大友カオル(小林由依)は同じバスケ部で、大家族のためか美貴の家で夕食を食べることが多くなっていました。他人を寄せ付けないようなふたりの態度が気に入らないのか、不良っぽい女子グループにからまれますが、美貴とカオルは怯むことなく反撃し相手を退けます。
 大学生になり家を出ていた兄が夏休み、久しぶりに帰ってきました。優子からの手紙が途絶えて思い悩んだ一はサキコに相談し、バイトして自分のお金で九州へ会いにいく決意を固めていました。しかしその夜、コンビニに行くと家を出た一を悲劇が襲ったのです。
 交通事故に遭ってしまった一は下半身が動かせなくなり、顔の右半分の表情を失ってしまいました。家族が沈鬱な表情になる中、なぜか美貴は子どものようにはしゃぎ一を苛立たせます。そんな折、薫は環と別れていました。環に好きな人ができたのです。
 車イスで帰宅すると、玄関への長い階段が一に立ちふさがります。おしりと両手を使って一段一段登っていきますが、途中で天を仰ぎ一は泣くのでした。
それからというもの、一は暗くふさぎ込み、突然怒り出し、家の中の雰囲気は最悪でした。それでも、変わらず接してくるサクラといるときだけは穏やかでした。
 美貴の卒業式の日、卒業証書を受け取ったあと、カオルがマイクを奪って大暴れし、「長谷川美貴が好きです」と宣言しました。他の人がどう思おうと、美貴だけはカオルの気持ちを否定せずに受け入れてくれた、と。そして、自分のような人間が世の中にはいる、それがおかしくない時がくる、だからその時のために努力すると話し、颯爽と席へ戻りました。その姿を見て美貴は微笑んでいました。
 そんな美貴は進学せず、家で一の世話をしていました。公園で、子どもたちが自分の顔を見て逃げ出してしまったことを受け、まるで「フェラーリ」みたいだと一は話します。そして神様は、以前は気持ちいい直球を投げてきていたのに最近は打てない悪送球しか投げてこないと言って涙をこぼします。たまらず薫は「泣くな!」と叫び、ヒーローだった兄のこんな姿は見たくないと感情を爆発させますが、それを父が止めるのでした。
 薫が部屋で勉強していると、赤いランドセルを持って美貴が入ってきました。それをひっくり返すと中から、きれいな色の封筒が大量に出てきました。それは優子から一への手紙でした。すべて美貴が隠していたのです。しかも一の筆跡を真似て絶縁の返事まで出していました。美貴はボロボロと涙をこぼしながら暗記しているその文面を語り続け、苦しむ優子や一の気持ちが痛いほど心に刺さった薫は、美貴を殴りつけるのでした。
 一は自ら命を絶ちました。残されたメモには「この体でまた年を越すのは辛いです。ギブアップ!」と書かれていました。葬儀会場で美貴は童女のように振る舞い、参列していたサキコにそっと連れ出されます。
 その後姿を消した父は、勤めていた運送会社も辞めていましたが、毎月定期的にお金を振り込んできていました。美貴は一を思い、大量の手紙に埋もれくるみを体に這わせ自らを慰めるのでした。
 薫は一浪して東京の大学へ。それを見送るのは母つぼみ、妹美貴、サキコ、そしてサクラでした。
 大晦日。4人揃って一の墓参りをしたあと帰宅すると、サクラの様子がおかしいことに美貴が気づきます。
こんな日にやっている動物病院があるのかわからないまま4人は車に乗り込み、あちこちの病院を訪ねますがどこも開いていません。
 ずいぶん遠くまでやってきました。
 車内では美貴が、「好きな人ができたら好きやって言う。子供ができたらその子に、好きな人ができたら好きって言いなさいって言う」と話しています。「お兄ちゃんみたいにどっか行ってしまうかもしれへんから」と。そして、「お兄ちゃんは死んだけど、やっぱり生まれてきてくれてありがとう、そう思ったやろ」と両親に問いかけます。
 薫は、ボールを投げていたのは神様ではなく僕らだったのだと気づきます。何かあるたびにボールを投げ続け、それを兄は全部受け止めた。恥ずかしいけどそれが愛なのだと…。
 そうこうするうちに車はパトカーに止められ、怪しむ警察官に「病人がいるんです」と父は訴えます。
 ブウゥ~!
すごいおならの音とともにサクラは美貴の手のひらに脱糞しました。サクラは元気になり、薫たちはパトカーで送ってもらうことに。するといつの間にか年は明け、窓の外には美しい初日の出が見えていました。
新年を迎えた長谷川家では楽しそうに餃子を食べています。
そして薫は思うのです。世界中のあらゆる場所にボールを待っている誰かがいる。どんな悪送球でも受け止めてしまう、そんなあなたの愛は僕を世界の高みに連れていってくれるのだと。」

 ナレーションが多用されていました。この映画も主人公は前作と同じく若い男性でした。

矢崎仁司監督『さくら』その1

2022-12-26 07:25:30 | 日記
 矢崎仁司監督・脚本の2020年作品『さくら』をDVDで観ました。
 サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に一部加筆修正させていただくと、
「大学生の長谷川薫(北村匠海)は年末、大阪の実家に帰ってきました。2年前に出ていった父の昭夫(永瀬正敏)が久しぶりに戻ってきたというので帰ってきたのです。
 母のつぼみ(寺島しのぶ)、妹の美貴(小松菜奈)と4人で晩ごはんを食べますが、ギクシャクして話は盛り上がりません。でも美貴が飼い犬のサクラを室内に入れると、家族は一気に笑顔になるのでした。
子どものころ、長谷川家の三人兄妹・一(はじめ)、薫、美貴の三人は薫の部屋の二段ベッドで寝ていました。ある夜、三人は母の喘ぐ声を聞いてしまいます。翌日、美貴は母に昨夜の変な声は何だったのか質問します。男たちはあわてますが、母はていねいに子どもができるということを説明し、美貴に「生まれてきてくれてありがとう」と微笑むのでした。
 その美貴が生まれたとき、兄ふたりは妹にプレゼントするための花を探しにでかけ、いなくなったと大騒ぎになりパトカーに乗って帰ってきたことがありました。そのときの兄は、叱られても一切言い訳せずに黙っていました。
 薫が帰省した翌日、長谷川家では恒例の餃子づくりが始まります。かつて父と母の初デートがうまいと評判の餃子屋で、緊張した母はそれに手をつけることができませんでした。一年後、できちゃった婚をすることになったふたりは同じ店を訪れ餃子を食べました。それ以来、長谷川家では大事な日に餃子をつくって食べるようになったのです。
 今の家に引っ越してくる前、家族は別の家に住んでいました。近所には「フェラーリ」と呼ばれるちょっと頭のおかしい男(趙珉和)がいて、そいつをからかってギリギリまで近づくという度胸試しが流行っていました。ある日、幼い美貴がその男に狙われてしまい、一と薫は走ってきて美貴をかばいます。すると男は突然「思い出した」と言うと立ち去ってしまいました。その後、家族は高台にある今の一戸建てに引っ越したので二度とフェラーリの姿を見ることはありませんでした。
 父は高給取りではありませんでしたが、三人の子どもにそれぞれ個室を用意しました。引っ越してきた日、一は美貴にくるみを渡して「今日からひとりで寝るんやで」と言いました。でも結局甘えん坊の美貴のため、薫の部屋に置かれた二段ベッドの下に薫、上に一と美貴が寝ていたのです。
 飼い犬のサクラはそのころ長谷川家にやってきました。美貴と薫がもらいに行き、数匹の中から薫が選んだのです。その選択は間違っていなかったと、薫はいまでも思っています。
 高校生になると、一は野球部で活躍し目立つ存在になっていました。地味な薫は兄宛てのプレゼントを渡されたりしますが兄に対する嫉妬はなく、ヒーローのように思っていました。
 あるとき、一が家に彼女を連れてくると言い出しました。母は張り切って果物やアップルパイを用意しますが、やってきた彼女・矢嶋優子(水谷果穂)は派手で無愛想。母と美貴は案の定文句を言いまくっています。
 一は薫に、優子が既に経験済みらしいと話し、どんな男が相手だったのか悶々としています。
 それから優子はたびたびやってくるようになりましたが、そのたびに美貴はバスケットボールを壁にぶつけて音を出し、嫌がらせをするようになっていきました。
 あるとき、父宛てに溝口サキコという名前で手紙が届きました。怒った母が問い詰めると相手は同級生だと父は言い、卒業アルバムで写真を指さします。「溝口先史」、写真の人物は男子でした。
 家族は5人揃って、サキコ(加藤雅也)がオープンさせたオカマバーへやってきました。母は安心したのかすっかり上機嫌で父とダンスを踊り、子どもたちはサキコの話に耳を傾けます。「いつかウソをつくときは、愛のあるウソをつきなさい」そういうサキコの手を、美貴はそっと握るのでした。
 家にやってくる優子は次第に穏やかな表情になり、薫は“恋”の力はすごいと思うようになっていました。一方、一のことが大好きな美貴の怒りは日増しに大きくなっていきます。
 そんなある日、薫は同じ学年の須々木原環(山谷花純)に声を掛けられ彼女の部屋へついていきます。帰国子女で奔放な環はすぐに薫を誘惑し、薫は童貞を失いました。
 そのことを報告すると一は祝福してくれますが、優子が九州に引っ越すことになったと落ち込んでいました。
 一と薫は引っ越しを手伝い、去っていく優子を見送ります。いつか必ず結婚しようと誓い合うふたりの別れを間近でみた薫は、自分は環のことを好きかどうかわからないと思っていました。」

(明日へ続きます……)

矢崎仁司監督『スティルライフオブメモリーズ』その2

2022-12-25 07:26:28 | 日記
 昨日の続きです。

「鈴木は山梨の美術館で行われた比較文学者の四方田犬彦(本人)の講演会を訪れました。そこで四方田は、自分が最後に見る女性性器は誰のものであるか考えたことがあるのかを問いかけ、洞窟絵画からピカソまで人間の絵画の歴史の根底には必ずと言っていいほど女性性器が関わっていると述べました。
 そのうえで四方田は精神分析の第一人者だったフロイトの言葉を引用し、全ての人間が生まれてくる場所である女性性器は母親の肉体そのものであり、本来は懐かしいものであるがゆえに心理的に恐ろしいものにもなりうるとの考えを示しました。そこで鈴木は、この講演会でスタッフとして働いている怜と偶然にも遭遇しました。
 鈴木は、今のままでは怜の母の自画像みたいに描きかけのままになってしまうとして、金はいらないから引き続き写真を撮らせてほしいと頼みました。怜からフィルムを受け取った鈴木はそれを現像して彼女に見せ、その際に怜が自分の性器を写真に残そうとしたきっかけとなった1冊の写真集を見せてきました。
 それはフランスの画家で写真家のアンリ・マッケローニの写真集であり、マッケローニは自らの生涯をかけて女性器を撮り続けていたのです。
 帰宅した鈴木は夏生に撮りたいテーマが見つかったと告げ、怜の性器が写った写真を見せました。“ブツ撮り”とはこれのことだったのかと呆れる夏生に、鈴木は怜とは何の関係もないと付け加えたうえで、自分でも何を撮っているのかわからないが何かを感じると語りました。
 納得はしないものの鈴木の言葉を受け止めた夏生は、鈴木のアシスタントとして怜の撮影に同行しました。撮影を続けるうち、鈴木は「大事なのは時間であり、一緒に過ごす時間の中で撮り続けたい」という境地に達しました。
 やがて夏生は女の赤ん坊を出産しました。出産祝いに病院を訪れた怜は、夏生が赤ん坊に授乳しているのを見るや自分にも飲ませてほしいと夏生の乳首を吸い出しました。時を同じくして、怜の母が他界しました。怜は母の唇に絵筆で紅を塗り、母の描きかけの自画像を燃やしました。
 その後も鈴木は度々怜の写真を撮っていたのですが、ある時の撮影中に怜がよろめき、助けようとした瞬間に怜と重なり合ってしまった鈴木は、思わず一線を超えて彼女を抱きそうになりました。あくまでも被写体とカメラマンとの関係を維持したい怜はそれを必死に拒み、撮影を続行するよう迫りました。
 やがて時は流れ、鈴木は夏生と成長した娘を車に乗せてドライブに出かけました。車は長いトンネルの中へと入り、それはあたかも女性の産道の中を進んでいるようでした。」

 矢崎作品としては初めて主役が若い女性でなく、若い男性となっていました。また白黒の画面とカラーの画面の両方が見られる映画でした。

矢崎仁司監督『スティルライフオブメモリーズ』その1

2022-12-24 07:40:09 | 日記
 矢崎仁司監督・脚本の2018年作品『スティルライフオブメモリーズ』をDVDで見ました。
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に一部加筆修正させていただくと、
「新進気鋭の写真家・鈴木春馬(安藤政信)が個展を開きました。そこにやって来た女性・怜(永夏子)は鈴木の写真に魅せられて、すっかり虜になってしまいました。その帰り際、怜は偶然にも螺旋階段で鈴木とすれ違い、鈴木は自分の個展に来てくれたことを感謝しましたが、怜は何も応えることなく立ち去っていきました。
 インタビューが苦手な鈴木は、有名な専門誌からのインタビュー依頼を断っていました。そんな時、鈴木の元に1本の依頼の電話がかかってきました。それは個展で展示した写真のようなモノクロの写真を撮って欲しいという依頼であり、鈴木はその依頼者と後日会う約束をしました。
 その依頼者とは、個展ですれ違った怜のことでした。怜と落ち合った鈴木は、山梨県の山間にある彼女のアトリエに招かれました。そこで怜は2つの約束をしてほしいと鈴木に言ってきました。ひとつは「質問はしないこと」、もうひとつは「撮ったフィルムは怜に渡すこと」でした。
 鈴木が撮影の準備を始めると、怜は突然服を脱ぎ始めました。鈴木が何を撮ればいいのか尋ねると、怜はパンティをも脱ぎ捨て、股間を指差して「ここを撮ってください」と告げてきました。鈴木は「いきなり撮ってと言われても、どう撮っていいものか」と頭を悩ませながらも、怜を椅子に座らせると足を開かせ、シャッターを切り始めました。
 撮影を終えた鈴木は、フィルムをよこすよう言う怜に「自分で現像できるんですか?」と聞きましたが、質問してはいけないという約束を思い出してフィルムを渡しました。ところが、怜は帰宅後、そのフィルムに火をつけると暖炉に投げ入れ、手鏡を取り出すと自分の性器を見始めました。
 鈴木には夏生(松田リマ)という恋人がいました。ある日、鈴木は夏生から自分との子を身籠ったことを知らされました。鈴木は驚きながらも、「産むよ」という夏生に微笑みました。
 そんなある日、怜からまた鈴木に依頼がありました。再び山梨に向かった鈴木は、今度は自分のやり方で撮りたいと願い出ると、自ら怜の服を次々と剥ぎ取っていきました。鈴木は全てを脱ぎ捨てた怜の体に手を這わせ、彼女を椅子に座らせたり、次は椅子から降ろして床に座らせたうえで様々なポーズをとらせながら、彼女の性器の写真を撮り続けました。
 桜の花が満開を迎えた頃、鈴木の元にまた怜から撮影の依頼がありました。怜のアトリエにはキャンパスに描きかけの彼女の母(伊藤清美)の油絵がありました。
 怜はアトリエに向かう車中で、鈴木に撮影はどうして夕暮れなのかと問いかけてみました。鈴木は光から少しずつ闇に近づいていき、最後には完全な闇に溶けていく変化を写真に取り込みたいと語りました。鈴木は怜に、「自分で撮ったものを見たいので撮った写真をプリントさせてほしい」と頼みました。怜はそんな鈴木に、シャッターを切る時の鈴木の指が、そしてシャッターの音が好きだと語り、シャッターの音は自分の“生の時間”を刻む音に聞こえているのだと語りました。
 二人は木立の中を歩き、やがて朽ちた小さな小屋に辿り着きました。鈴木の目には、怜が開いた扉の向こうに足を広げた彼女がまるで枯葉の上に寝転んでいる姿が見えたような気がしました。ところが、鈴木のその表情を見た怜は突然走り出し、鈴木は彼女の後を追うと、怜は転んで膝を怪我してしまいました。鈴木は怜をアトリエに連れていくと彼女の怪我の応急手当をしました。
 このアトリエは怜の母親のアトリエであり、画家である母は自画像を描きかけたまま現在は入院中ということでした。画家はなぜ自画像を描くのだろうという鈴木の問いに、怜は「写真家は?」と返しました。鈴木は怜に、作品として完成させたいから改めて写真を見せてほしいと頼みましたが聞き入れられませんでした。
 怜の元から戻ってきた鈴木は、夏生がつわりに苦しんでいるのを目の当たりにしました。どこへ行っていたのかと問う夏生に、鈴木は“ブツ撮り”に行っていたとはぐらかしました。

(明日へ続きます……)

矢崎仁司監督『無伴奏』

2022-12-23 07:10:53 | 日記
 矢崎仁司監督・脚本の2015年作品『無伴奏』をDVDで観ました。
 サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に一部加筆修正させていただくと、
「1969年。世間では大学生が学生運動をしていた頃です。それに触発されて、仙台の高校に通う野間響子(成海璃子)は、自分の通う女子高校で制服廃止運動をしていました。しかし実際のところ響子はどうでもよく、打ちこめる何かが欲しかっただけです。大学生に交じって実際の学生運動に加わった響子は、自分の考えが甘いことに気づきました。制服廃止運動も、おろそかになります。そんなある日、響子は『無伴奏』という喫茶店に行きました。
 そこで地元の大学生の堂本渉(池松壮亮)と関祐之介(斎藤工)、エマ(遠藤新菜)の3人組に出会います。関とエマはカップルで、堂本はフリーでした。堂本に話しかけられた響子は彼らと親しくなり、やがて堂本に好意を持つようになります。初めてのデートで姉の勢津子(松本若菜)に紹介された響子は、姉弟が妙に親しいことに違和感を覚えました。もしかしたら姉弟は近親相姦の関係にあり、その関係をごまかすために自分は利用されているのではないかと疑います。
 ところが響子の推理は全くの勘違いでした。姉・勢津子が失恋して仙台に戻ってきており、精神的に不安定な姉を思いやっての堂本の優しさだったと知り、響子はより惹かれていきます。やがて堂本と響子は肉体関係になりました。響子は恋愛に青春を賭けます。堂本と響子の関係を、異様なほど執着し知りたがったのは関でした。堂本は親と不仲で家を出て、関の家に身を寄せています。ある夜、堂本と関が男同士で身体を重ねているのを見た響子は、ショックを受けました。
 堂本が愛し合っていたのは、関だったのです。しかし女性として好きなのは響子だと、堂本は言いました。堂本自身も悩んでいました。どうすればよいのか悩むうち、関の恋人・エマが妊娠しました。堂本と関の関係を知らないエマは、結婚して出産すると疑っていません。その関係につらくなった関がエマを殺し、逮捕されました。関がいなくなったことを嘆いた堂本は、自殺します。初めての失恋を味わいながら、響子は東京の大学に進学し、仙台を去りました。」

 この映画も主人公は若い女性でした。