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ティム・バートン監督『アリス・イン・ワンダーランド』

2011-05-31 07:09:00 | ノンジャンル
 ティム・バートン監督の'10年作品『アリス・イン・ワンダーランド』をWOWOWで見ました。
 怖い夢を見て父から慰められる幼いアリス。「13年後」の字幕。亡くなった父の事業を買い取った男の息子ヘイミッシュから結婚の申し込みを受けるため、パーティに向かったアリスでしたが、皆が注視する中で行われたプロポーズに「考えさせて」と答えたアリスは、服を着た三日月ウサギを追って途方もなく深い穴に落ちます。落ちた先の部屋には多くの扉がありますが、どれも鍵がかかっていて、テーブルの上にある鍵で開く唯一の扉は小さすぎて入れません。テーブルの上にある「私を飲んで」と書かれた飲み物を飲むと体が縮み、「私を食べて」と書かれたケーキを食べると体が大きくなります。扉を抜けたアリスは不思議な庭に迷い込み、そこで双子と三日月ウサギ、ヤマネらに会いますが、賢者の芋虫・アブソレムは、龍に似た怪物ジャバウォッキーを倒すと絵暦で予言されているアリスはこのアリスではほとんどないと言います。そこへハイエナに似た巨大なバンダースナッチが襲いかかり、ヤマネが目をくりぬいて何とかアリスは助かりますが、傷を負います。双子はそこへ現れたジャブジャブ鳥に赤の女王の城へ連れて行かれると、そこでは残酷な赤の女王(ヘレン・ボナム・カーター)が気に入らぬ召使いの首と次々にはねていました。アリスを探すことを女王に命じられたハートのジャックのイロソヴィッチは、、家族を人質に取られている犬のベイヤードにそれを命じます。アリスは出会ったチェシャ猫にマッドハンター(ジョニー・デップ)のところへ連れていかれると、彼は自分が仕えていた白の女王が、彼女の姉である赤の女王の操るジャバウォッキーに襲われ、王国を失ったことを回想した後、イロソヴィッチ率いる赤の騎士団に自らが捕まることによって、アリスを逃がします。ハッターを救い出すため、ベイヤードに赤の女王の城へ自らを連れていかせたアリスは、城にいた白うさぎからもらったケーキで巨大化し、赤の女王にはアムと名乗って気に入られます。白うさぎに導かれ、ジャバウォッキーを倒すための剣を手に入れようとしたアリスでしたが、バンダースナッチが剣を守っていました。しかしアリスがヤマネから奪った目を返し、以前に受けた傷を見せると、それはアリスの味方となり、アリスは剣を手に入れます。赤の女王はイロソヴィッチをアリスが誘惑したとして処刑しようとしますが、アリスはバンダースナッチの背に乗って、白の女王の城へ向かい、白の女王から縮み薬をもらい、ちょうどいい大きさになります。一方、ハッターは赤の女王の家来らが皆嘘をついていることを暴くと、赤の女王は家来全ての首をはねることを命じますが、ハッターは家来たちに赤の女王への反乱を起こそうと先導し、反乱が起こります。赤の女王はジャブジャブ鳥を呼び出し、反乱を鎮圧し、ハッターは双子とヤマネとベイヤードの家族とともに白の女王の元へ向かいます。アリスはさなぎになろうとするアブソレムから、剣を持ってさえいればジャバウォッキーを倒せると最後の言葉をかけられ、戦士として白の女王と白の騎士団とともに赤の女王の元へ向かいます。二人の女王が会いまみえると、赤の女王はジャバウォッキーを呼び出し、アリスとの決闘が始まります。アリスを加勢したハッターに怒った赤の女王は、自分の軍勢をハッターに襲いかからせ、白と赤の騎士団の戦闘も開始されます。しかしアリスが見事ジャバウォッキーの首を斬り落とすと、赤の騎士団は赤の女王の命令を聞かなくなり、チェシャ猫が赤の女王から冠を奪って白の女王の頭に被せると、白の女王は赤の女王とイロソヴィッチの追放を命じます。そしてジャバウォッキーの血を白の女王から贈られたアリスはそれを飲むと穴の外に出て元の世界に戻り、ヘイミッシュとの結婚をはっきりと断り、彼の父と事業を中国まで広げることを相談します。そして中国へ向かう船に乗り込んだアリスは、肩に留まった蝶に「アブソレム」と呼びかけると、蝶は空へ舞登るのでした。
 あらすじを書いていて虚しくなるほど、圧倒的な画面構成で魅せてくれました。CGを使ったファンタジーとしては今まで見た映画の中で最高傑作だと思います。

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佐藤多佳子『聖夜』

2011-05-30 00:45:00 | ノンジャンル
 佐藤多佳子さんの'10年作品『聖夜』を読みました。
 キリスト教系の高等学校の毎日の礼拝や行事で礼拝奏楽をしている俺らのオルガン部は、3年で部長の俺と渡辺、2年の青木と天野、1年の北沢からなっていて、俺は天野の出す音が気になっている。俺は牧師の父と父方の祖母と住んでいるが、元ピアニストだった母は、俺が10才の時にドイツ人の有名なオルガン奏者とともに家を出ていってしまった。俺は聖書研究会にも入っていて、神の残酷さと気紛れを理不尽と感じ、信仰を見い出していない。今までは父の友人であり聖書科の主任である近藤先生が聖書研究会とオルガン部の顧問をしてくれていたが、先生はオルガン奏者ではなく、今回俺の通っている学校の大学院のオルガン科から倉田ゆかりコーチがやってきてくれることになった。倉田コーチは9月の文化祭にオルガン部でコンサートをやろうと提案し、俺は母の演奏で音に酔った曲、メシアンの『主の降誕』から『神はわれらのうちに』を演奏することにする。いつも初見でどんな曲でも弾ける俺が、この曲は弾けず、音楽の専門でもない学校でちょっと弾けるだけでいい気になっていたことを俺は思い知る。倉田コーチはこの曲で卒論を書いたと言ってくれ、俺がこの曲を弾くことを応援してくれる。俺は学校からの帰り、歩道橋を頑固に登る老人についての曲を作った時、自分の感情をオープンにすることになり、それがきっかけで、これまで音楽に関わる時、心をオープンにしていなかったことに気付く。俺は幼い頃から、ELPのキース・エマーソンがキーボードを暴力的に弾く様子に魅せられてきていたが、ある日気紛れから、礼拝の後奏でELPの『展覧会の絵』を演奏してしまい、近藤先生に確信犯でそれを行ったことを叱られ、奏楽のメンバーからしばらく外されることになる。その直後、同級生の深井にELPを演奏しただろうと言われ、彼から知り合いにELPが大好きなキーボード奏者がいると教えられる。文化祭のコンサートの前日、俺は青木に告白され、俺の中も外もカッコイイを言われるが、俺はその言葉を素直に受け入れることができない。コンサート当日、深井に誘われた俺はコンサートをすっぽかして、彼の家に遊びに行ってしまい、彼のレコードを聞いて楽しい時を過ごし、その後新宿の輸入レコード店に行くと、そこで例のキーボード奏者である笹本さんを紹介され、その夜、彼のライブを聞きに行く。ライブ後、笹本さんはキース・エマーソンは単純に音楽家なんだと言い、その言葉は俺に素直に入ってくる。翌日家に帰った俺は、祖母から、一切悪さをしない父のような生き方はつらいので、明るく悪さをした祖父のように生きろと言われ、また父のことをかわいそうだと言って涙ぐむ祖母を見て、母に会いたいと強く思う。その夜俺は父の部屋で初めて面と向かって話をし、その場で母から俺に宛てて送られてきていた手紙の束を渡される。俺はコンサートのことで迷惑をかけたコーチや部員に一人ずつ詫び、年末のクリスマスコンサートでは必ず演奏しようと決意する。そしてある日、本部のパイプオルガンを部員が弾かせてもらえることになり、最初に弾いた天野は弾いた喜びを先ず俺に伝えてくれ、また部の皆が笑顔だったのがいいと思い、クリスマスコンサートへの決意を新たにする。そしてコンサートの前日、またパイプオルガンを弾かせてもらえることになり、俺は天野の音に神を見、そして自分が弾き終えた後、弾いてよかった、そしてまた弾きたいと思い、音楽の素晴らしさを強く心に刻む。そして建物から夜空の下に出た俺たちの口は、自然と賛美歌を口ずさむのだった。
 音楽の素晴らしさを文章で表現しようという困難な試みを、かなりの程度まで成功させた作品だと思いました。いい意味での青春小説にもなっていたと思います。

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ジャン=ピエール・メルヴィル監督『仁義』

2011-05-29 07:22:00 | ノンジャンル
 ジャン=ピエール・メルヴィル監督・脚本の'70年作品『仁義』をスカパーの洋画★シネフィル・イマジカで再見しました。
 「ガウタマ・シッダールタ、またの名を釈迦は、ひとくれの赤い粘土をつかみ、輪を描き、こう言った『人はそれと知らずにめぐり逢うものだ。互いの身に何が起こるとも、どのような道を歩もうとも、その日がくれば必ずや、その赤い輪の中で結ばれる』ラーマクリシュナ」の字幕。寝台列車でマテイ警視(アンドレ・ブールヴィル)によってマルセイユからパリに移送されていたヴォージェル(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は手錠を外して窓を蹴破り脱走します。刑務所に入っていたコーレイ(アラン・ドロン)は、看守から宝石強盗を持ちかけられ、釈放されます。知人のリコを訪ねて拳銃と大金を奪ったコーレイは、指紋を拭き取った拳銃を車のトランクに入れ、レストランで食事をしますが、警察犬による山狩りをかけられていたヴォージェフは彼の車のトランクに隠れます。リコに頼まれたポールがコーレイの車を森林の中で襲い、コーレイはポールに射殺されそうになりますが、トランクから現れたヴォージェルがポールを射殺します。コーレイはヴォージェルを宝石強盗の仲間に加えることにすると、ヴォージェルは元警官で汚職でクビになった狙撃手ジャンセン(イヴ・モンタン)を紹介します。アル中の幻覚に怯えるジャンセン。彼はコーレイに会って仕事を引き受けることにすると、酒を断ちます。マテイはショーパブのオーナーであるサンティ(フランソワ・ペリエ)をわざと店で逮捕して、サンティの旧友であるヴォージェルのことの垂れ込みを強要しますが、サンティは拒否します。ジャンセンは宝石店を下見に行き、森で射撃訓練を行います。鍵穴にうまくめり込むように銃弾を鋳造するジャンセン。コーレイとヴォージェルは屋根から縄梯子で宝石店のトイレの窓の外に降りると、窓を破って店に侵入して警備員を拘束し、中からジャンセンを導き入れます。ジャンセンは三脚を立てて鍵穴を一旦は狙いますが、おもむろに三脚からライフルを引き剥がすと、驚くコーレイらの目の前で見事鍵穴を打ち抜き、宝石ケースのスイッチをオフにします。まんまと店中の宝石を盗み出し、盗品故買者(ポール・クロシェ)に持ち込んだコーレイでしたが、故売者は強盗事件が大々的に報道されている中で、数カ月待たないとさばくことができないと言い出し、コーレイは一旦宝石を持ち帰ることにしますが、故買者はリコの息がかかっていました。ヴォージェルの意見でコーレイはサンティに故買者を新たに紹介してもらうことにしますが、サンティの息子がマリファナ所持の罪で逮捕され、自殺未遂を起こしたことから、サンティはマテイに通報し、コーレイはマテイが扮した故買者に会います。マテイの指定した森の中の一軒家におびき出されたコーレイとジャンセンでしたが、罠に気付いたヴォージェルが駆けつけ、彼らは走って逃げ出します。丘を越えて走りながら次々と撃たれ倒れる3人。マテイは同期のジャンセンが一味だったことを知って、茫然とするのでした。
 常に曇った空の元、コーレイらの行動が淡々と描かれていきます。特にジャンセンの幻覚のシーンは、蜘蛛や鼠、蛇、カメレオンが迫って来る印象的なシーンでした。

金城一紀『レヴォリューションNo.0』

2011-05-28 09:32:00 | ノンジャンル
 金城一紀さんの'11年作品『レヴォリューションNo.0』を読みました。
 典型的な落ちこぼれ男子高校に入学した僕は、学校の屋上で総当たり戦の喧嘩の後にタバコを仲間(舜臣、萱野、ヒロシ、山下)と吸っていて1週間の停学を喰らい、それが過ぎて登校してみると、同級生の数が随分と減っていました。抜き打ちの持ち物検査が頻繁に行われ、違反者が停学を喰らい、そのまま自主退学する者が続出したとの話です。そして1年の風紀の乱れを理由に、間もなく群馬県の赤城山で三泊四日の合宿が行われることが分かります。僕の仲間たちは同じ班になり、行きのバスの中で、今回の合宿は人材不足の自衛隊がリクルートのために行うという噂を聞きますが、父が同校の暴力教師である野口は、真実を知ってか、それは違うと言い切ります。山中の隔離施設に送られた1年全員は、着くとすぐに4時間で鍋割山を登るように言われ、暴力体育教師の猿島の竹刀に追い立てられます。4時間以内に一人も戻れず、全員殺人的な筋トレの制裁を受け、その夜5人が脱走を試みますが失敗し、僕らの前で猿島の鉄拳制裁を受けます。その直後、部屋に帰った僕らは、野口からこの合宿の真相を聞きます。それはこれからの私立高校の生き残りに備えるために、学校は体育館の立て直しとグラウンドの拡張を行うことによってスポーツ校としての名を挙げることを画策していて、その資金作りのために僕らの学年の入学者を200人も平年より水増しし、入学させた生徒数を維持するコストを減らすために、退学者を増やそうと今回の殺人的な合宿を実施しているというのでした。翌日の午前中はまた4時間以内の山登りをさせられ、午後はスポーツ研修という名で、1500m走、30分の殴り合いというしごきが行われ、午後5時からの講話では、今回のような団体訓練を毎月実施することが検討されていると伝えられます。その夜、夕食を何も食べずに寝た野口が就寝時間が始まって2時間後に起き出すのを待っていた僕らは、彼の脱走に自分たちも加わることを伝え、彼に取っておいた食べ物を与えて、班全員で脱走をしようと言うと、彼は涙を流します。明日の夜に決行することにし、脱走プランは僕が全て立てることを引き受けると、翌日の朝、僕はさっそく舜臣の強烈なビンタを受けて大量の鼻血を出し、保健室に行くことを許されます。女医を味方につけてそこでくつろいでいるアジーに僕は3つのお願いをし、彼に1万を渡すことを約束します。その日の夕食時、計画通り野口が嘔吐すると、どうも様子がおかしいと気付いている猿島は僕達が囮であることに気付かず、野口が保健室に行くことを許します。アギーは猿島の勘の鋭さを見抜き、野口にブツを直接渡さず、一旦トイレに隠すという手を使って、野口にブツを取りに行かせることに成功します。そのブツとは正門の門扉のスペアキーと、前橋市の地図のコピー、そして前橋駅の時刻表でした。就寝時間後に脱走するとして、最短距離15kmを1時間余りで行かなければならないことが分かり、僕は絶望的になりますが、もう決行するしかありません。就寝時間開始10分後、シーツで作ったロープで僕らは地上へ降下すると、門扉に向かいますが、そこには新たに鎖で繋がれた南京錠がかかっていました。僕らは同じ班の仲間が作ってくれた人間の壁をよじ登って門扉を乗り越え、迫り来る猿島と野口の父から逃れます。途中、森林公園の駐車場で女性の悲鳴を聞いた僕らは、そこへ駆けつけ、以前僕らに空き缶をぶつけてきた暴走族の連中が2人の女性を襲っているのを発見し、彼らを撃退し、女性には110番に電話させます。終電の終わった前橋駅に僕らは着きますが、明日アメリカに発つ女の子に告白したいという野口をタクシーで送った後、僕らは駆けつけた猿島らに捕まります。しかし、女性たちを襲っていた暴走族らが札付きの犯罪者だったことが分かって、僕らは英雄となり、警察から表彰され、新聞の取材も受けるに当たって、学校側は合宿のことを口外しなければ、今回の脱走劇は無かったことにすると言って来ます。そして、野口がいなくなった2学期、学校の陰謀を暴く怪文書が父兄の元へ届けられ、父兄の猛抗議により、退学者も出なくなります。僕は母と離婚した父から勧められていた転校を断り、「君たち、世界を変えてみたくないか?」と身を乗り出した生物の先生の言葉に再び熱い心を取り戻すのでした。
 150ページ余りの作品でしたが、一日で一気に読んでしまいました。やはり金城さんのこのシリーズは圧倒的に面白いと再確認した次第です。

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齋藤寅次郎監督『花ごよみ八笑人』

2011-05-27 03:09:00 | ノンジャンル
 齋藤寅次郎監督の'55年作品『花ごよみ八笑人』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
 長屋の熊吉(堺駿二)と八五郎は、敵討ちのために同じ長屋に住む青池の妹の気を引くために、乾燥・アイロン・畳むまでをする洗濯機を発明し、長屋の女性たちに実演してみせますが、留造(益田キートン)の着物は洗剤の入れ過ぎでサイズが縮み、別の着物はダイヤルの回し過ぎで穴だらけとなり、黒い紋付は色抜きのスイッチを入れてしまい白紋付になりますが、もう一度同じスイッチを入れてやると黒に戻ります。そこへ国九郎親分の子分たちがやって来て、長屋を潰して種子島の射的場を作るための測量柱を立てようとしますが、騒ぎを聞きつけた青池によって退散させられます。その時に姿を現した国九郎の用心棒が自分たちの仇だと妹に知らされた青池は、すぐに国九郎の番屋へ駆けつけますが、髭を剃り落として別人の顔になった用心棒が仇と気付きません。玉城屋の娘・お玉は路上で簪を掏られ、お付きの亀吉は掏りに逆に因縁をつけられますが、通りかかった青池が助け、お玉は青池に一目惚れします。やはりお玉に一目惚れした若い殿様(大泉滉)は召使いを通して国九郎を玉城屋にやりますが、玉城屋は最初は猫と勘違いした後、娘のことと分かると色好い返事をせず、国九郎に恫喝されているのを盗み聞いた熊吉と八五郎は、その場の嘘で、お玉が明日留造と祝言を挙げると言います。国九郎が見張る中、お玉を招いた長屋で祝言の真似事をした熊吉と八五郎でしたが、夜になって裏から逃げ出そうとしたお玉は隣に住む青池に気付き、仲良く時を過ごします。茶番に気付いた国九郎は留造の部屋に踏み込み、隣の青池とお玉に気付きますが、内職の糊張りをしていた青池の部屋で糊にすべってしまい、紙に包まれたミイラのような姿となって番屋に担ぎこまれます。翌日青池は印篭を掏られ、その夜、用心棒は玉城屋を闇討ちにすると、その手にその印篭を握らせます。玉城屋と一緒にいた亀吉は熊吉らに助けられますが、ショックから記憶喪失になり、熊吉らが呼びに行った医者は、長屋の連中が診察料を10両も溜めているので診察を拒否します。熊吉らはお花見仮装コンクールの一等賞の賞金が10両なのを思い出し、敵討ちの仮装で出場することにします。翌日玉城屋の闇討ちの容疑で青池の元に国九郎率いる捕り物がやって来ますが、青池は抵抗し、路上に出ます。熊吉らは敵討ちの仮装は始めますが、本物と勘違いした武士が助太刀に入り、仇役の留造は逃げ回ります。そこへ青池と国九郎らの一団がやって来ますが、青池の斬った国九郎の髷が用心棒の鼻の下に貼り付き、青池は用心棒が自分の仇と気付き、見事本懐を遂げます。青池は仮装の一等賞も受け、花祭りで皆踊り騒ぐのでした。
 早回しの立ち回りや、カタカナ言葉の多用、猫のギャグや親分のミイラなど視覚的なギャグも多く、楽しませてもらいました。寅次郎監督のトーキーのコメディは、無声映画のコメディの雰囲気を色濃く残していて、毎回楽しませてもらいます。60分足らずの作品でしたが、見て損はないと思いました。

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