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谷崎潤一郎『細雪』下巻

2009-05-22 18:25:00 | ノンジャンル
 谷崎潤一郎が'47年に発表した「細雪」下巻を読みました。
 雪子の見合いを兼ねて蛍狩のために、鶴子の夫の姉に誘われて、名古屋まで三姉妹と悦子が行きますが、見合い相手に断られて嫌な思いをし、そこから東京へ行った雪子は以前の見合い相手に出会い、これまた気まずい思いをします。そんな時、奥畑の母が死に、奥畑が店のものの無断の持ち出しを理由に兄から勘当され、妙子はそれに同情してまた付き合いを再開します。母の23回忌で神戸に行った鶴子は、東京に帰ってから貞之助にそれを知らされ、妙子を勘当にするか東京へ寄越すかするようにという夫の意向を幸子に伝え、結局妙子は芦屋の家を出てアパートで暮らすことになります。幸子の知り合いの紹介で、井谷の立ち合いのもと雪子の見合いが行なわれ、貞之助が相手の家を突然訪ねるなど、双方ともに乗り気になりますが、相手からの突然の電話に雪子が対応できずに相手を怒らせ、結局破談になります。そんな折り、奥畑の家を訪問中に、妙子が赤痢で倒れ、幸子らは病院に引き取りますが、そのことから、妙子は芦屋の家を出てから奥畑の家にほとんど寄生していたことが分かり、無理に家を出したのがいけなかったと思った貞之助は妙子の芦屋の家への出入りの禁を解きます。幸子夫婦は久しぶりに水入らずの旅で奈良に行きますが、南京虫の被害に会い、富士五湖へ行き直します。旅から帰ると、奥畑に満州行きの話が出ていて、妙子はこれを機に縁を切ろうと言い出したので、幸子は説教します。やがて井谷がアメリカに渡ることになり、東京での送別会へ三姉妹に来てもらえる機会に定職を持たない公家の男性を雪子に紹介することになり、この縁談はまとまりますが、妙子がバーテンの子供を妊娠していることも分かり、妙子は女中をつけられて有馬温泉に身を隠すことになります。そして雪子の結婚式が迫る中、妙子は難産の末に死産し、その後はバーテンと所帯を持つことになるのでした。
 妙子の死産、そして最後のシーンでは東京での結婚式に向かう雪子の下痢が止まらないという記述で終わるなど、悲惨なラストを迎えました。2回に及ぶ見合いでも、田舎を馬鹿にし、また容貌に必要以上にこだわるなど、ブルジョワの見栄が横溢していて、読んでいて楽しいものではありませんでした。それでも幸子夫婦のやりとりや、姉妹同志での会話などは生き生きとしていて、捨てがたいものでした。長い小説でしたが、明るい終わり方だった上巻が一番オススメです。