朝日新聞の特集記事で紹介されていた、辻村深月さんの'12年作品『鍵のない夢を見る』を読みました。5つの短編が収められた本です。
『仁志野町の泥棒』では、母と参加したバスツアーのガイドが“りっちゃん”であることに私は気付きます。律子は小3の時に転入してきたのですが、やがて彼女の母が空き巣狙いで、これまで1年ごとに引越してきたことを仲間から知らされます。そしてある日、私が母と帰宅すると、律子の母が空き巣をしている最中でした。翌日弟と我が家に現れた律子は、「ごめんなさい」と言って体を折り、涙を流します。そしてまたしばらくして私と律子は仲間と一緒に文房具を買いに行きますが、そこでも私は律子が万引きをしようとしているのを発見し、私は物事をはっきりさせようと思って、律子にお金を払わせます。それから私は律子と疎遠になりましたが、高校生になって彼女と偶然再会し、小学生の頃の思い出が胸に膨らむのでした。
『石蕗南地区の放火』では、公有物件の保険事業を仕事としている私は、消防団の詰め所が放火された現場に行くと、そこでは大林が張り切って指揮を取っていました。大林は役人で、以前合コンで知り合い、しつこく横浜へのデートに誘われ、つい一回だけ付き合ったことのある男でした。私は大林のしつこさを思い出し、私に会いたいために彼が放火したのではと疑います。そしてその一ヵ月後、公民館への放火容疑で大林は逮捕されます。私への会いたさで放火したと動機を話すのではとと心配した私でしたが、翌日の朝刊では「ヒーローになりたかった」と供述していると書いてありました。私はつまらない男にしか会えない自分に嘆息するのでした。
『美弥谷団地の逃亡者』では、私はご近所サイトで知り合った男に相田みつをの詩を教えてもらうなどして親しくなりましたが、やがて男がストーカー的行為とDVをするようになり、それを知った母は警察に被害届を出します。ある日、男は母を刺殺し、私を連れて、私が行きたいという海へ行きますが、そこで逮捕されるのでした。
『芹葉大学の夢と殺人』では、工学部デザイン科の私は絵本を作ることを夢見ていましたが、そのことでサッカーの日本代表となり、医学部に入り直すという夢を持つ雄大と親しくなります。坂下教授は酒とタバコを私がたしなむことからか、私を贔屓しますが、授業に遅れることについて私にだけ教授が電話で注意したことに対して、雄大は教授を批判します。私は母の勧めで高校教師になって夢の実現を待つことにします。雄大は私と一緒にいたいという理由でとりあえず工学部の卒業を目指そうとしますが、教授から卒業点をもらえません。私は雄大と週末に会い続けますが、雄大は教授を恨むようになり、卒業の最後のチャンスの年、雄大は足を複雑骨折してサッカーの夢から遠ざかり、ある日教授を惨殺してしまいます。彼は私と最後に一度だけ会いたいと言ってきて、私は会いに行きますが、彼はあくまで逃げ続けると言い、もう夢をあきらめて私を受け入れてという私の言葉にも反応しません。私は彼の目の前で非常階段から飛び降り、彼が死刑になることを望み、新聞では殺人の指名手配中の容疑者が元交際相手を突き落として重体に陥らせたと報道されるのでした。
『君本家の誘拐』では、良枝が心から望んで産まれて来た咲良が、ショッピングモールでベビーカーごと消えます。良枝は動揺し、実家に電話するも誰も出ず、とりあえず店の警備員が防犯カメラを調べてくれている間に、家に忘れた携帯を取りに帰ります。すると家にはベビーカーがあり、咲良も眠っていました。良枝は育児ノイローゼで、最近咲良を殺す夢を何度か見たことを思い出し、「やってしまった」と思います。良枝は直ちに咲良を連れてショッピンングモールの男子トイレにそれが置かれていたように仕組もうとしますが、目を覚ました咲良に驚き、自分が泣き叫んでしまい、警備員たちに無事発見されたと思われてしまうのでした。
一番長編である『芹葉大学の夢と殺人』は特にそうでしたが、私が苦手とする“私小説”で、今一つ乗れませんでした。それでも話の構成力で面白く読ませる術は持っている方だとは思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
『仁志野町の泥棒』では、母と参加したバスツアーのガイドが“りっちゃん”であることに私は気付きます。律子は小3の時に転入してきたのですが、やがて彼女の母が空き巣狙いで、これまで1年ごとに引越してきたことを仲間から知らされます。そしてある日、私が母と帰宅すると、律子の母が空き巣をしている最中でした。翌日弟と我が家に現れた律子は、「ごめんなさい」と言って体を折り、涙を流します。そしてまたしばらくして私と律子は仲間と一緒に文房具を買いに行きますが、そこでも私は律子が万引きをしようとしているのを発見し、私は物事をはっきりさせようと思って、律子にお金を払わせます。それから私は律子と疎遠になりましたが、高校生になって彼女と偶然再会し、小学生の頃の思い出が胸に膨らむのでした。
『石蕗南地区の放火』では、公有物件の保険事業を仕事としている私は、消防団の詰め所が放火された現場に行くと、そこでは大林が張り切って指揮を取っていました。大林は役人で、以前合コンで知り合い、しつこく横浜へのデートに誘われ、つい一回だけ付き合ったことのある男でした。私は大林のしつこさを思い出し、私に会いたいために彼が放火したのではと疑います。そしてその一ヵ月後、公民館への放火容疑で大林は逮捕されます。私への会いたさで放火したと動機を話すのではとと心配した私でしたが、翌日の朝刊では「ヒーローになりたかった」と供述していると書いてありました。私はつまらない男にしか会えない自分に嘆息するのでした。
『美弥谷団地の逃亡者』では、私はご近所サイトで知り合った男に相田みつをの詩を教えてもらうなどして親しくなりましたが、やがて男がストーカー的行為とDVをするようになり、それを知った母は警察に被害届を出します。ある日、男は母を刺殺し、私を連れて、私が行きたいという海へ行きますが、そこで逮捕されるのでした。
『芹葉大学の夢と殺人』では、工学部デザイン科の私は絵本を作ることを夢見ていましたが、そのことでサッカーの日本代表となり、医学部に入り直すという夢を持つ雄大と親しくなります。坂下教授は酒とタバコを私がたしなむことからか、私を贔屓しますが、授業に遅れることについて私にだけ教授が電話で注意したことに対して、雄大は教授を批判します。私は母の勧めで高校教師になって夢の実現を待つことにします。雄大は私と一緒にいたいという理由でとりあえず工学部の卒業を目指そうとしますが、教授から卒業点をもらえません。私は雄大と週末に会い続けますが、雄大は教授を恨むようになり、卒業の最後のチャンスの年、雄大は足を複雑骨折してサッカーの夢から遠ざかり、ある日教授を惨殺してしまいます。彼は私と最後に一度だけ会いたいと言ってきて、私は会いに行きますが、彼はあくまで逃げ続けると言い、もう夢をあきらめて私を受け入れてという私の言葉にも反応しません。私は彼の目の前で非常階段から飛び降り、彼が死刑になることを望み、新聞では殺人の指名手配中の容疑者が元交際相手を突き落として重体に陥らせたと報道されるのでした。
『君本家の誘拐』では、良枝が心から望んで産まれて来た咲良が、ショッピングモールでベビーカーごと消えます。良枝は動揺し、実家に電話するも誰も出ず、とりあえず店の警備員が防犯カメラを調べてくれている間に、家に忘れた携帯を取りに帰ります。すると家にはベビーカーがあり、咲良も眠っていました。良枝は育児ノイローゼで、最近咲良を殺す夢を何度か見たことを思い出し、「やってしまった」と思います。良枝は直ちに咲良を連れてショッピンングモールの男子トイレにそれが置かれていたように仕組もうとしますが、目を覚ました咲良に驚き、自分が泣き叫んでしまい、警備員たちに無事発見されたと思われてしまうのでした。
一番長編である『芹葉大学の夢と殺人』は特にそうでしたが、私が苦手とする“私小説”で、今一つ乗れませんでした。それでも話の構成力で面白く読ませる術は持っている方だとは思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)