海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ウランに対する中国の欲望はカナダ人を憤激させる」と題する『ヴェルト』の記事。

2005年07月30日 | 中国の政治・経済・社会
小見出し:核エネルギー取引をめぐる激しい論戦--中国の将官の力の誇示は国際的供給者をたじろがせる。
7月30日、ヴァンクーヴァー発:中国は台湾紛争がエスカレートした場合、アメリカの都市を数百、原爆で抹殺するだろうという中国の陸軍大将チュウ・チェンフーの粗野な警告は、外交的には世界から取り除かれている。李肇星外相は、「いつであろうとどんな事情であろうと核による第一撃を意味しない」と言った。
だが、チュウ大将の言葉による力の誇示は、カナダとオーストラリアで議論を呼び、それは中国のエネルギー計画にとって致命的な結果をもたらすかもしれない。チュウ大将の警告は、世界中のウラン生産の三分の二を占める二つの国で、放射性物質を中国に供給ことに対して激しい批判を生ぜしめた。
中国の視察団は、昨年末以来、何回かカナダのウラン生産者を訪れ、供給について議論した。カナダは、世界で最大のウラン生産国である。中国が莫大な量のウランを必要とするわけは、それが2020年までに400億ドルを投じて原子力発電所の発電量を倍加したいからである。だが、ウランの埋蔵量は少なくなった。専門家達は、カナダ・アジア太平洋財団の報告によれば、2015年までに4万5千トンの供給不足を予想している。
2004年の年末、中国の投資家はカナダ中央のサスカチワン州のカメコ(Cameco)を訪問した。カメコは、全世界のウラン産出量の5分の1を生産している。会合の後、カナダのポール・マーティン首相は中国を訪問し、北京で、ウラン開発のための両国の協力を予定した協定に署名した。
中国からの第二の使節団が、最近、ヴァンクーヴァーにある「キャンアラスカ」という探査会社を訪問した。この会社は、カナダ西部のアサバスカ盆地で大きな採掘参加権をもっている。7月半ばには、カナダ西部のアルバータ州で中国の外交官がコゲマ資源会社の支配人と会った。これはフランスのアレヴァ・コンツェルンの鉱山会社である。
カナダの外交官と中国の高官とは、会談については黙っている。何十億ドルものウランをめぐるポーカー・ゲームは非常に敏感な問題である。この原料は、核エネルギーをめぐる議論のためだけでなく、核兵器と結びつきのために、微妙である。まさに、この点が、現在、カナダとオーストラリアにおいて、中国との可能なウラン取引に対する増大する抵抗を引き起こしているのだ。「中国軍部の核に基づく力の誇示は、ウラン供給が中国の核兵器計画に貢献するのではないかという心配を強めている」とカナダの環境組織グリーンピースの責任者デイビッド・マーティンは言った。「中国へのウラン売り渡しは、カナダを東アジアの地域的軍拡の共犯者にする」ことを彼は恐れているのだ。「チュウ大将の脅しは、核兵器を最初に投入しないという中国の約束に対する疑いを増大している」とカナダ教会の平和グループである「鋤の刃」の代表アーニー・レゲールは警告している。
カナダの最大のウラン顧客である米国では、政府はウランをめぐるポーカー・ゲームに対するいくつかのコメントで満足している。だが、舞台裏の興奮は大きいように見える。「ワシントンには、中国へのウラン供給について非常に怒っている人たちがいる」とニューヨークにあるエンパイア・ステート・カレッジの中国通トム・グランフェルドは言う。「カナダが中国に原子力発電所を2基売った後で、両国は協力協定を結んだのだから、中国へのウラン供給は全く合法的である」とカナダの政府代表は言っている。目下、オーストラリアは、ウランを中国に売っていない。しかし、今年、中国を訪問したジョン・ハワード首相は、オーストラリアからのウラン輸出が中国の核兵器の製造に利用されないように、中国と二国間協定を結ぶつもりである。オーストラリアは、中国に対する供給で2億4600万ドルにのぼるウラン輸出を2倍にしたいと思っている。この放射性物質は、5月には1ポンドあたり30ドルでこの23年間で最高の価格に達した。これは15ヶ月間で100パーセント上昇したことを意味している。
7月30日付けの『ヴェルト』紙に掲載されたマルクス・ゲルトナー記者の記事です。
[訳者の記事]中国で、軍人が主席や首相を差し置いて、重大な発言するようになってきたのは危険な兆候だと思います。文民統制が利かなくなっているでしょうか。
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