海外のニュースより

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「ハリー・ベラフォンテ、アメリカ社会に大きな反響」と題する『ヴェルト』紙の記事

2006年01月26日 | アメリカ社会
ワシントン発:ジョージ・W・ブッシュを「最大の暴君、最大のテロリスト」と呼び、コリン・パウエル元国務長官を「嘘つきで、主人の家でこびへつらうお気に入りの奴隷」と呼び、「本土安全庁」をゲシュタポにたとえ、ヴェネズエラのチャベス大統領の革命におめでとうと言った一人のアメリカ人は、米国の主流の言説からは抜け出している。但し、彼が有名であり、黒人であり、恐れを知らず、金持ちで、マーチン・ルーサー・キング牧師の協力者として非の打ち所がないとしたら話は別である。ハリー・ベラフォンテは、この記述が当てはまる唯一の男である。目下、かってジャマイカ系の移民として貧困を経験し、1950年代の終わりにカリプソの「バナナ・ボート・ソング」で世界的に有名になったた歌手兼市民権活動家は、政府に対して修辞上の戦争を行っている。
 ハリー・ベラフォンテの言ったこと全部がナチとの比較ほど馬鹿げたことであるわけではない。いずれにしても、上院でただ一人の黒人であり、将来の大統領選に対する民主党の希望の星であるバラック・オバマ議員は、そう思っている。ベラフォンテの非難で触れられているように、ブッシュの「国家安全保障庁」と「愛国法」でもってアメリカ人は、逮捕状や告訴や弁護士との接見がなくてもゲシュタポなみの取り扱いを受けるだろうとオバマ議員は答える。「ナチの犯罪は一回限りのもので類比の役には立たない。・・・私もわれわれが基本的人権とテロリズムに対する防衛との間に正しいバランスを見出せるか本当に心配している。」ブッシュをテロリストだと言ったベラフォンテの非難は、オバマ氏適切だと思う言葉ではない。だが、政治的にラディカルな発言をする権利はアメリカでは認められているということを忘れてはならない。
 2008年の大統領選挙の候補者と目されているヒラリー・クリントンの最近の発言によれば、「ブッシュ政府は、われわれの国を統治した最悪の政府として歴史に残るだろう。」
クリントンとベラフォンテは、どうやって日常的喧騒のなかでメディアの注意を惹きつけたらいいか知っているのだ。そういうわけで、月曜日には、CNNのベテランであるウオルフ・ブリッツァーは、ハリー・ベラフォンテとの生インタービューでそう判断した。ナチとの比較は、それがホロコーストを過小評価するが故に、不適切ではないかと彼は興奮して尋ねた。それに対して、「いやそんなことはない」とベラフォンテは、落ち着いて答えた。「ドイツ人たちが早い時期に全体主義的で殺人的な政権の始めに自分の身を守っていたら、ユダヤ人の大量殺戮にはならなかっただろう。「それでもって、あなたは、ユダヤ人たちが彼らの殺戮の共犯者だと言いたいのですか」とブリッツァーが突っ込んだ。ベラフォンテは、どの宗教に属していようと、自分と他人の権利を奪われることに反抗しない市民は、彼らの国が没落するのに協力しているのだと答えた。
ジョージ・W・ブッシュに対する怒りの余り、音を出し誤る上層階級の黒人がいることが目立つ。ニュー・オルリーンズ市長のレイ・ネイギンは、まるでブーヅー教の司祭のように、ハリケーン・カトリーナをイラク侵略に対する神のバチだと言ったために、謝罪しなければならなかった。ベラフォンテは、降参する気はない。マーチン・ルーサー・キング牧師は、彼を「戦術兵器」だと呼んだ。デューク大学で開かれた「キング・記念日」の演説で、ベラフォンテは、多くの同時代人がキングを共産主義者だと呼んだことを思い出させた。ベラフォンテも沢山非難されている。だが、彼が墓碑銘を選ぶことができれば、そこには「愛国者ハリー・ベラフォンテ」と書いて欲しいと彼は言った。
[訳者のコメント]この前に訳した記事の続きです。共和党が、次の大統領選挙で勝つ可能性はかなり下がっていると思います。民主党の大統領が出てきたとき日本の首相はどうするのでしょうか。

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