海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ギュンター・グラスが企画したロシアでの作家たちの集会」

2008年06月01日 | 人物
常務島耕作 6 (6) (モーニングKC)
弘兼 憲史
講談社

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 ある日、アレクサンダー・ヴァシリエヴィッチは女に変身した。彼はある写真館で自分の写真を撮らせた。初めは、酔っぱらって幾つかの写真を取り間違えた写真家のだらしなさだと思われたものは次には悪夢へと変わり、最後には否定できない事実だと判明した。アレクサンダーが実際、アレクサンドラ・ヴァシリエヴィッチになり、彼女は、最後に、あるロシアの核実験施設で放射能を浴びたために、インポテンツになった大佐によって結婚させられ、奇妙な性転換の幸福な果てにいくらか得ることができるという筋の小説。
カブトムシに変身したグレゴール・ザムザを巡るカフカの物語の変形を書いたのは、1963年カザフスタンに生まれたディミトリ・ゴルチェフである。彼は10年前からペテルスブルクに住んで、小説を書いている。グロテスクの程度を高め、少しも亜流には見えない物語は、明らかにギュンター・グラスの趣味に合っている。なぜなら、彼はゴルチェフのウイットと魅力をほめたからだ。その後で、自分のベルリンを舞台にした小説『意地悪の羊』を朗読したカチャ・ランゲ=ミュラーは、この不条理な物語の中に「オポチュニズム」の定式を発見し、ゴルチェフが彼女自身の読み方を超えて、テキストについての意味の権利を読者にゆだねているという理由で、ゴルチェフを賞賛した。
 グラスが2007年の夏にペテルスブルグで自分より幾つか年上で病気のために体が不自由になっているロシア人作家のダニエル・グラニンに逢い、共同でドイツとロシアの作家の出会いを考え出したとき、彼は明らかにこのような事態を予想していた。ペテルスブルグにある「ドイツ文化センター」の所長であるラルフ・エッペネーダーは、この計画を取り上げ、10ヶ月前から、ミュンヒェンの「ドイツ文化センター」本部からの応援を得て、モスクワ在住の作家立ちだけが問題視しているこの文学の中心での会合を立ち上げた。
[訳者のコメント]これがきっかけとなって、新しい現代のロシア人作家の作品がどんどんドイツ語に翻訳されることになるかもしれません。
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