海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「未解決のマックス・プランク研究所問題」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2008年01月10日 | 教育と科学技術
のだめカンタービレ (19) (講談社コミックスKiss (673巻))
二ノ宮 知子
講談社

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上海のジアオトン大学のランキング・リストにもとづいて、「勝ち組」を公示するのに数週間先だって、世界的にベストの大学のリストが公刊された。ランク上位の50の大学のなかにドイツの大学はひとつもない。最上位の10大学のうち8校はアメリカで2校はイギリスである。
これらの大学は、総じて、われわれが躊躇なくエリート大学に数える大学に属している。それらに属しているのは、ハーバード、スタンフォード、バークレー、ケンブリッッジ、マサチューセッツ工科大学、カルテック、プリンストン、オックスフォードである。上海の大学のランク付けなどまじめに取る必要はないという意見は、国際的な評価の意味を非常に過小評価している。メルケル首相が、インド訪問の際に、募集した、若くて才能のあるインド人がインターネットで50校のもっと高く評価された大学を見つけるのに、ドイツの大学を選ぶと言うことはあり得ない。
 「優秀者イニシャティブ」を求めるわれわれの政治家たちの努力は、歓迎すべきだ。ドイツの学問風土と英米の学問風土のあいだにある構造的相違の分析が殆どなされていないということは、われわれを驚かせる。われわれが78のマックス・プランク研究所を持っているということをなぜ誰も言及しないのか。われわれは、そこにわれわれのエリート研究者の大部分を、きれいさっぱり大学から切り離して、囲っているのだ。われわれの基礎研究の二分がドイツの研究と後継者養成にとってかなりの不利をもたらしているとをなぜ誰も議論しないか。2007年度のノーベル賞を二人のドイツ人学者が得たことは喜ばしいことだが、なぜノーベル医学賞は、1995年にクリスチアーネ・ヌスライン=フォアハルト以来、アメリカ人が16個、イギリス人が6個、オーストラリア人が3個手にれたのに、ドイツ人は1個も取れなかったのか?(後略)
[訳者の感想]この後の記事で、マックス・プランク研究所が優秀な研究者を大学から引き抜いていること、そのために優秀な研究者が大学の学生とは接触できないことなどの欠点が挙げられ、解決策としては大学とマックス・プランク研究所とが共同研究を行ったり、MP研究所員が大学で講義をする機会を得たりすることを可能にせよと主張している。「マックス・プランク研究所」の前身である「カイザー・ウイルヘルム研究所」をモデルにして日本で作られたのが、仁科芳雄博士の「理化学研究所」です。
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