海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「黄色い呪い」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2010年04月03日 | アフリカの政治・経済・社会
ニジェール出身のその男は、ドイツ最大の銀行の総裁と話すためにやってきた。昨年5月、アル・ムスタファ・アルハセンは、フランクフルトの会議場に座っていた。彼は金融危機以来再び銀行の経営はうまくいっているという話に耳を傾けていた。この会議ではアルハセンは、異星人のように不釣合いだった。彼はトアレグ族の民族衣装を着、顔を布で覆い、ターバンをしていた。彼が演壇に登ったとき、彼は落ち着いていた。彼の表情は、スクリーンに大写しされた。
「アッカーマンさん、今日は」とアフリカ風のアクセントをもったフランス語で始めた。彼が9年前から戦ってきた災害について「ドイツ銀行」総裁アッカーマンに記述するために彼に与えられた時間は、5分間だった。彼はニジェール北部の都市アルリ出身のある世界的な組織の創設者だと述べた。彼は、フランス企業「アレヴァ」がそこでウラン鉱石を採掘していると述べた。放射能をもった廃棄物や、放射能に汚染された水、多くの人々が罹っている重病について語った。彼は「アレヴァ」の出資者である「ドイツ銀行」にはいくらか責任があると述べた。
アルハセンは、責任について述べた。ウラン産業に資金を提供している人は「採掘に際して生じた重大な問題と戦っている」自分達を助けなければならないと述べた。アッカーマン総裁は、「ドイツ銀行」とっては、環境保護は重要であると答えた。しかし、それ以来、アルハセンは、「ドイツ銀行」については何も聞いていない。
彼の仲間の多くが謎めいた病気で死んでいくのに気づいた9年前に、アルハセンは、彼の組織「アギリン・マン」を創設した。「アギリン・マン」とはトアレグ語で「魂の保護」を意味している。
アルハセンは、学校に通ったことは一度もない。今日まで、彼にとってはラクダに乗ること以上に楽しいことは何もなかった。彼は黒い肌をし、口ひげを蓄えている。彼に何か気に入らないことがあると、彼はスカーフで顔を覆うので、目だけが見える。「アギリン・マン」は、アルリに服屋の隣に二部屋持っている。オーストリア出身の医師夫婦が古いコンピュータを寄付してくれた。アルハセンの事務室の椅子には背もたれがない。赤い土ぼこりがたまっている。
このみすぼらしい二部屋が世界的大企業「アレヴァ」に対する戦いのセンターである。
「アレヴァ」の中枢はパリにある。「アレヴァ」は、ウラン鉱山を経営し、原子炉を建設している。2009年には、「アレヴァ」の総売上額は、120億ユーロ(1兆4400億円)だった。この会社は、1960年までニジェールを植民地にしていたフランス国家の完全な所有である。ニジェールの独立後、9年たって、フランス人は最初の鉱山会社を設立した。数百万年前、この地域は、ウランが層をなして堆積した川のデルタ地帯だった。1968年以来、バッガーは、このサハラの地盤から10万トン以上の核燃料を取り出した。(後略)
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2 コメント

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コメント有難うございました。 (medicus19)
2010-04-06 09:08:14
この記事、本来、訳した部分の三倍はある記事です。採掘したウラン鉱石を粉砕し、水で洗って、ウランの純度を上げるらしいのですが、労働者にはマスクや手袋など一切支給せず、そのために肺がんになる人が続出しているそうです。どんな神経で経営しているのか理解に苦しみます。
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Unknown (黒目川太郎)
2010-04-05 15:32:20
 昨晩、NHKスペシャル番組でアフリカの新興国ルワンダの特集をしておりました。
ここもかっては、ベルギーの植民地で宗主国の勝手な理屈から部族闘争が起こり、大虐殺にまで発展しました。その後、国外に出た一部の優秀な人が戻って、めざましい経済発展を遂げているようです。この姿を見るにつけ、先進国の思い上がりがいつもこうした国を虐げてきた歴史を映し出していると思えました。
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