海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「カンダハル情勢を改善しようとする米国の軍事行動は落とし穴だらけ」と題する記事。

2010年04月02日 | アフガン問題
 この古代の交通路の要衝をコントロールしようとする次の戦闘は、アフガニスタンでの戦争の最も困難な挑戦になるだろう。その理由は、それが必然的に流血の戦闘になるからではなくて、米軍司令官が供給できる最も困難な品目を要求しているからである。それは、統治の改善である。
 カンダハルは、パシュトーン族の中心地であって、そこでは、種族や麻薬のやり取りや密輸で得られた隠れた富が競い合い、大統領の兄弟アーメド・ワリ・カルザイによって象徴された悪名高い権力のブローカーが競い合っている場所だ。
 地方政府を改革することは、棒を寄せ集めて作られたピラミッドを崩すようなものだ。引き抜きを一本間違うと、全体の山が崩れる。けれども、もし、米国が現存する権力構造に適応するならば、ここでの腐敗を大目に見ているように見えるだろう。それは、アフガニスタンや米国の公衆にとっては悪いメッセージだ。
 目前に控えた軍事行動について米国人官吏と話すと、ある範囲の良いアイディアは聞けるが、明確な戦略は聞けない。米国政府官吏達は、自分達が地方族長の足場を壊さないで、反政府勢力に対して住民を保護するという約束を護ることはできないということを知っている。けれども、彼らは体制を倒し、もっと悪い情勢への道を開くこと、つまり米国の介入に対する反感を引き起こすことに対しては用心深い。
 カンダハル軍事行動は、米軍がこの町を取り囲んでいるタリバンの牙城を片付けることを軍事面の要素にしている。しかし、カンダハルでは、問題は、敵ではなくて、アーメド・カルザイのようなわれわれの名目上の友人である。町を取り返す戦闘は、軍事的というよりは政治的なものだ。それは、巧みさと専門的知識とを要求するが、それらはどちらも不足している。(後略)
(訳者のコメント)この解説を書いたのは、デービッド・イグネイシアスという『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「エルドアン首相、メルケル... | トップ | 「黄色い呪い」と題する『シ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アフガン問題」カテゴリの最新記事