旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

ヤンバルテナガコガネ命名者にささげた蝶の学名

2007-09-01 | 
若き日、ロンドンの大英(自然史)博物館に留学したことは先に述べたが、留学中のある日、東京の国立科学博物館動物研究部長の黒澤良彦博士が欧州の研究機関視察の途次、大英博物館に来られて研究のため数日滞在された。

先生の専門は甲虫であるが、鱗翅類(蝶、蛾)についても詳しく、多くの業績を残しておられて、僕のようなアマチュアの蝶の研究者にとっても憧れの存在であった。その先生にロンドンでお目にかかれるとは予想だにしていなかったので、僕の胸は高鳴った。高名な学者であるにかかわらず、先生は初対面の僕にとても丁寧に接して下さった。
 
帰国後も交流は続き、先生の研究室を訪れるといつもにこやかに歓迎して下さった。国立科学博物館所蔵のシジミチョウの研究を快く許していただき、おかげで所蔵標本の中からいくつもの新種を発見、記載することが出来た。もちろんこれら新種の基準となったホロタイプ(完模式)標本はすべて国立科学博物館に大切に保管されているので、少しは先生への恩返しが出来たのでは、と思っている。

前述のように黒澤先生は甲虫の専門家で、山原(やんばる)と呼ばれる沖縄本島北部の山地に生息する日本最大の甲虫で、国天然記念物である  ヤンバルテナガコガネ   Cheirotonus  jambar Y. Kurosawaを記載された学者であるといえば、一般の方に理解してもらえるのではないかと思う。

フィリピンを中心に繁栄しているDacalana属の中、パラワン島特産の稀種に Dacalana  kurosawai H. Hayashi  クロサワ ウラオビフタオシジミと名付けて先生への感謝の気持ちをあらわした。
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