旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

蝶の種記載ランキングで銀メダルを獲得!

2010-02-01 | 
外国の蝶の研究をしていることを話すと、「世界には蝶は何種類ぐらいいるのか?」ときどき聞かれることがある。この素朴な疑問に答えるのは、実は大変むずかしくて返事に窮するのである。

日本の蝶に関しては、何冊もの図鑑が出版されているので迷蝶(台風や人為的な要因・・放蝶・・などで運ばれて、原産地外に迷い込んだ蝶。普通は、土着、繁殖に至らない。もっとも最近は地球温暖化や日本に幼虫の餌となる食草や食樹がある場合、土着して繁殖する蝶があらわれている)を除いて、だいたいの種数は分かっている。

しかし、世界ということになると、現在記載されている世界中の蝶を網羅する図鑑は存在しない。ただ最近はコンピュータによるデータベース化が進んできているので、研究者により多少の違いはあるものの(残念ながら標本の写真は付いていないが)およそ18,500という種数に落ち着いてきたようだ。

大変な労力を要求されるこのような研究に取り組んでいる研究者が実は日本にもおられる。画像上段にあるように、「日本蝶類学会」の会誌「Butterflies」の2006年発行のNo.41にずばり「世界のチョウは何種いるか?」という研究論文を発表されている。研究途中なので不完全を承知でと断っておられるものの、18,686種(ちなみにシジミチョウは5,078種)であると結論されている。

ところでこの研究者はなかなか遊び心に溢れた方で、論文中に「チョウの種数をめぐるトリビアの知識」という表(画像下段)を挿入されていて、何気なく見ていて驚いた。
「日本人による種記載」で僕の名(Hayashi)が銀メダルに挙げられているではないか!
自分で計算してみたことなど無かったので、いつのまにこんな種数になっていたのかとうれしいような、くすぐったいような複雑な気持ちであった。

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