旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

ムラサキシジミなのに羽の色が緑色?

2015-11-01 | 

わが国に産する Arhopala japonica ムラサキシジミと呼ばれているので、この種が属するArhopala属を和名でムラサキシジミ属と呼称するようになったので、少し混乱が生じてタイトルにあるように「ムラサキシジミなのに羽の色が緑色?」という現象が生じている。

シジミチョウは蝶の中でもっとも種類が多いが、Arhopala属はその中でも一番種数が多く、羽の表は青~紫色がほとんどであるが、緑~金緑色の種類も少なからずいるのに、上述の如く紫がかった色彩でなくても和名を使えば、・・・ムラサキシジミと呼ばざるを得なくなる。

青紫色でないのにムラサキシジミの名称がつくもののひとつに カマエレオナムラサキシジミ Arhopala chamaeleona  がいる。翅表は金緑色で、ニューギニア近辺で最初に記載され、四十年ぐらい前に遥か離れたフィリピンに分布することがわかった。フィリピンでは北はルソン島から南西のタウィタウィ諸島までパラワン島を除くほとんどの島々に産し、2亜種 (亜種 mi-zunumai H. Hayashiと亜種 maputi Takanami)に分けられている。

ところで、僕はルソン島で金緑色であるはずの翅表が青紫色をした個体を入手した。翅表の色彩の違い以外は正しくルソンに分布する亜種 maputi と同じであった。友人から「ルソン産ではないが、幾つかこのような標本を所持しており、他にも緑→紫の中間的な個体や、角度を変えると色が変わる個体を持っている」と聞いた。故に本種は翅表に色彩異常を生じやすい性質を持つと思われる。よく見ると羽の外側に近い部分
亜外縁と言われる部分が金緑色個体でもやや紫色を帯びて見える。元々紫色だった色彩が金緑色に変化していって新しい種の ムラサキシジミ になったのかも知れない。

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