旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

レピ・アート(蝶画)の世界

2016-02-01 | 
昭和40年(1965年)代から50年(1975年)代にかけて、蝶の翅を使って絵を描く蝶屋さんたちが日本にあらわれた。ブラジルの土産でモルフォチョウを使った工芸品はあったが、モルフォの青光りする翅が敷きつめられているだけで絵画と呼ぶには縁遠い代物であった。蝶マニアの中で絵心がある人なら自分が描きたい絵にどんな種類の蝶の翅を使えば表現出来るか比較的容易に想像出来たに違いない。レピ・アートとは僕が勝手に創った言葉で、「蝶と蛾の」を意味する英語の形容詞 lepidopteran の lepi に美術の art をくっつけた造語である。幾つか作品を紹介しよう。上掲の作品のタイトルは「夕焼け」である。頭に物を乗っけて立っている娘さんと彼方で手を振る人物が橙色に染まった夕空に映えて、東南アジアの山野を蝶を追って駆け回った僕は深い郷愁にかられる。


早春」 まだ春浅き一日、残雪をいだいた山と麓の枯れ草の原野に氷が解けた湖の碧色が目映い。絵の周囲を彩る様々な蝶の翅の彩りが春の訪れの間近いことを告げている。


月影」 上方の三日月が水面に映えている様を仔細に描いていて、作者の苦労が偲ばれる佳作である。


これにはタイトルがついていなかった。モルフォチョウの青い翅は見る角度や光線の当たる角度により美しい色彩が変化し、構造色と呼ばれている。この絵の一部は写真の撮り方でモルフォの青光りする部分がくすんでいるが、実際は青色のいろんな輝きが見られてとても美しい。黒色の模様は中南米の遺跡に残されている信仰の対象のような絵画を彷彿させるので、僕は「神像」と名付けている。

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