旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

フィリピン・パラワン島のヒパルギリアヒイロシジミ・メスの紹介

2018-01-01 | 
フィリピン・パラワン島を示す地図です。


下に掲げているのは、パラワン島産・ヒパルギリアヒイロシジミのメスの画像です。


ヒパルギリアヒイロシジミDeudorix hypargyria Elwes, 1893)は Treadaway & Schroeder(2012)の「 Revised checklist of the butterflies of the Philippine Islands(Lepidoptera: Rhopalocera)」ではフィリピンに分布しないことになっています。
ところが, Eliot(1992 )の「マレイ半島の蝶・第4版」では、アッサムからスンダランドに分布するとの記述があるので、 パラワン島には分布すると認めています。

Seki, Takanami & Otsuka( 1991)の「ボルネオの蝶・シジミチョウ編」 においても他亜種としてパラワンに分布することが明記されています。

Takanami(2016)の「A Synonymic List of Lycaenidae(Lepidoptera) from the Philippines・電子版」では亜種名を決定せずに♂の表・裏のみが図版に掲載されています。

翅表から判断するとボルネオ産よりマレイ半島産に近いと思われます。 僕の知る限りでは本種♀のパラワンでの採集記録は無く、♀の標本画像の存在も知らないので、パラワン島における♀の記録を2017年7月発行の日本鱗翅学会の「やどりが 253号」紙上で報告しました。

亜種名についてはマレイ半島亜種に充てられている名義タイプ亜種名が妥当と思われますが、 本種名が変更される可能性が上述のSeki, Takanami & Otsuka( 1991)の「ボルネオの蝶・シジミチョウ編」中で言及されているのを考慮して、あえて亜種名決定は保留しておきたいと思います。

参考のためにオスの画像を下に掲出しておきます。


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