旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

地上86m、大阪都心のマンションに飛来したクロマダラソテツシジミ♀

2009-07-01 | 
クロマダラソテツシジミChilades pandava Horsfield)はもともと台湾、フィリピンなど東南アジアに分布している小型のシジミチョウで、1992年沖縄本島で初めて発見されたのが日本での最初の記録である。当初は台風などによってたまたま日本に運ばれてきた迷蝶だったが、2006年には石垣島で大発生、2007年に至っては沖縄県、鹿児島県はもとより兵庫県、大阪府、さらに東京都や埼玉県など関東地方でも見られるようになった。幼虫はソテツの新芽や若葉を食草としているので、沖縄方面から運ばれた園芸用のソテツに幼虫が付いて来て、発生したのではないかと考えられている。

僕は去年(2008年)の春、大阪市天王寺区から大阪駅(梅田)や中之島地区にほど近い福島区に引っ越して来た。いわゆるタワーマンションの高層階なので、南側の窓からは中之島の高層ビル群が間近に眺められる。86mの高さにあるベランダであるが、ひょっとしてアゲハチョウやツマグロヒョウモンがやって来るのでは、と期待してミカン類の樹とパンジー、ビオラなどスミレの仲間をプランターに植えてベランダに置いた。蜂やてんとう虫などはやって来るが、目的の蝶は残念ながらまったくやって来なかった。

冬に間もない11月の小雨の降る日、雨粒を避けるようにベランダのガラスフェンスの内側にシジミチョウが止まっているのに気付いた。「何シジミやろ?」、はるか昔に記憶した日本のシジミチョウを思い浮かべるが、裏面の斑紋に思い当たる種類は浮かんで来ない。

最近、話題になっているクロマダラソテツシジミでは急いでカメラを持ち出し、ベランダに出る。当たり!!背景には中之島、西部地区の象徴であるリーガロイヤルホテルや大阪国際会議場がバッチリ入っている。 ニュースでしかお目にかかったことがない蝶にまさかこんな都心の、こんな高さで出会えるとは・・・。 しばらくして雨の中を弱々しく飛び去っていった。ソテツの害虫だとわかっていても、とても
いとおしく思えた。

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