旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

色彩の妙・フィリピンヒイロシジミ

2015-05-01 | 


フィリピンヒイロシジミ Deudorix philippinensis Schroeder, Treadaway & H. Hayashiはフィリピン特産種でルソン、マリンドゥク、ミンドロ、マスバテ、ネグロス、ミンダナオなどの島々から知られている。

ヒイロの和名の如く♂の翅表の赤色はまことに鮮やかである。前翅の黒色部は中室と外縁を除いて光の当たり具合により紫色の幻光を放ち、♂とはいえ妖艶な美しさが印象的である。

一方、♀には2タイプがあり、橙色の♀はフォームA、黒褐色の♀はフォームBとされている。フォームAは♂の緋色に対応してやや控えめな色彩であるが、いかにも本種の♀として好一対である。

フォームBは一見黒っぽく地味だが、♂の黒色部に似て光線の加減で薄緑色を帯びて見える。上掲の黒化型♀の少し翅を開いた写真をよくご覧ください。チラリと見える翅表が少し淡い緑に彩られているのに気付いていただけたでしょうか(画像のサイズが小さくてわかりにくいかもしれません)。

フォームBの薄緑の幻光も実は♂の紫の幻光と対をなしているのかも知れない。そう考えるとフォームBもまた本種の♀にふさわしいと言えるのではないだろうか。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする